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2014年7月15日火曜日

動物性蛋白質で脳卒中予防

中国は,日本を含む3カ国で実施された研究で,食事からの蛋白質摂取と脳卒中リスクの関連について検討。その結果,適度な蛋白質摂取により脳卒中リスクが低下すること,また植物性蛋白質に比べて動物性蛋白質,特に魚の摂取が脳卒中予防に有効である可能性が示唆された。
食事からの蛋白質の高摂取が血圧および血清脂質値低下作用に関連することが動物実験で示されたことなどから,1980年代以降,複数の研究でこの関連性が検討されてきたが,一貫した結果は得られていない。
今回,こうした関連性に加え,脳卒中のサブタイプや蛋白質の種類,摂取量の違いによる影響の有無について検討するため,日本を含む3カ国で行われた研究のメタアナリシスを実施した。
症例数は計254,489例で,4件が米国,2件が日本,1件がスウェーデンで実施された研究であった。
解析の結果,蛋白質摂取量の高摂取群では低摂取群に比べて,補正後の相対リスクが20%低下していた。
 脳卒中のサブタイプ別に見ると,蛋白質の高摂取によるリスク低減効果は脳内出血で最も高く,蛋白質の種別で見た脳卒中リスクの低減効果は植物性蛋白質の12%に対して動物性蛋白質では29%と高かった。
 また,5件の研究を対象に蛋白質の摂取が用量依存性に脳卒中リスクに関連するか否かを検討したところ,蛋白質摂取量と脳卒中リスクとの間に非線形関係は認められなかったものの,蛋白質摂取量が20g/日増加するごとに脳卒中リスクは26%低下することが示唆された。

 研究者らは「食事からの適度な蛋白質摂取は脳卒中リスクを低下させる可能性がある。さらなる臨床試験での検証が必要だ」と結論。さらに,蛋白質の種類別で脳卒中リスク低下に差が見られた理由として,今回のメタアナリシスの対象となった7件の研究のうち,魚の高摂取国である日本の2研究と動物性蛋白質の摂取源として主に魚が摂取されていた1研究における脳卒中リスクの低下が顕著であったことから,「赤肉を魚に替えることで脳卒中リスクを低減できる可能性がある」との見解を示している。

2011年6月28日火曜日

アルツハイマー病の早期発見

アルツハイマー病の早期の警告的徴候(warning sign)を検出する脳スキャンが、年内にも米国で利用可能となる見込みである。ただし、アルツハイマー病患者にとっては、まだ有効な治療法が開発されていない現状では、この診断法が有用なものとなるには時期尚早かもしれない。
アルツハイマー病は米国では死因の6番目となっており、近年、その死亡数は増加傾向にある。脳に沈着し、老化(senility)現象を引き起こすβ(ベータ)アミロイドと呼ばれる脳内蛋白(たんぱく)の徴候を検出するPET(ポジトロンCT)スキャンの有効性を示す研究結果が米国核医学会年次集会で発表された。
PETスキャナーで検出される蛋白濃度は脳における情報処理が遅い人のほうが高く、高齢者ではより高度な記憶障害に関係する。ただし、脳スキャンにより老化の徴候がみられた患者を治療するための医師の選択肢は限られている。
より正確かつ早期に診断を受けられることは、記憶力が低下し始めたときに起きている問題を知りたい人にとって重要。残念ながら、有効な治療法が見つかるまで疾患の進行を止めるためにできることはない。有効な治療法が見つかれば、本当の価値が出る。
このスキャンは安価でなく米国では何千ドルもかかるが、約90%でアルツハイマー病を正確に診断できる。医師自身が行う場合は80%になる。このスキャンにより同疾患を早期段階で検出できる。

2011年6月10日金曜日

抗てんかん薬服用中の母乳哺育

抗てんかん薬(AED)服用中の母親から母乳で育てられた乳児では,認知発達になんらかの影響が及ぶのではないかと懸念されている。エモリー大学(ジョージア州アトランタ)神経学の研究では,母乳哺育中に母親がAEDを服用しているか否かにより,小児のその後の知能指数(IQ)に有意差が生じることはなかった。
今後、より大規模な集団で検討する必要はあるが,今回の研究結果は,乳児を母乳で育てたいが,AEDの服用を継続する必要のある女性にとっては朗報である。
今回の研究では,子宮内でのAED曝露が胎児の認知機能に長期的に及ぼす影響が多施設で検討された。対象は1種類のAEDを服用していた妊婦から生まれた小児199例で,対象児が3歳になったときにIQ試験を実施した。
対象児の42%が母乳で育てられていた。IQ試験の結果,母乳哺育を受けた小児と受けなかった小児でIQスコアに差は認められなかった(母乳哺育群99点,非母乳哺育群98点)。
母親が服用していたAEDはカルバマゼピン,ラモトリギン,フェニトイン,バルプロ酸であり,最近の新しいAEDの影響に関しても,今後調査が必要だ。
米国神経学会のガイドラインでは,出生障害リスクと認知機能への影響のため,妊娠中のバルプロ酸の服用を避けるよう推奨している。また,複数のAEDの併用は,単剤のみの投与より出生障害リスクが高くなることから,妊娠中に複数のAEDを服用することを避けるよう推奨している。
今回の研究は,AED服用中の妊婦の母乳哺育に関する初めての大規模試験といえるだろう。こうした薬剤の影響に関する情報がないため,これまで多数の女性が母乳を与えないよう指導されている。母乳哺育により母親と乳児は感情面で多大な便益が得られるほか,乳児で心疾患・糖尿病・肥満リスク,母親で乳がん・子宮がんリスクが低下するなどさまざまな効果がある。
また、今回の研究により,AEDが母乳に及ぼす長期的な影響については,さらなる研究が必要だと分かった。

2011年5月11日水曜日

コーヒーの効能

コーヒーの摂取により脳卒中のリスクが低下する可能性があることが、スウェーデンのグループの研究でわかった。
これまでの研究では,コーヒーの摂取と脳卒中発症との関係は一貫していない。同グループは,スウェーデンの心血管疾患やがんの既往のない女性3万4,670例を前向きに追跡し,コーヒー摂取と脳卒中発症との関係を検討した。
平均10.4年の追跡で1,680例に脳卒中の発症が確認された(脳梗塞1,310例,脳出血154例,くも膜下出血79例,不明137例)。他の危険因子を調整した結果,コーヒーの摂取は脳卒中全体,脳梗塞およびくも膜下出血の有意なリスク低下と関係していた。脳出血については有意なリスク低下は見られなかった。
1日のコーヒー摂取1杯未満を参照(1.00)とした脳卒中全体の相対リスクは1〜2杯が0.78,3〜4杯が0.75,5杯以上が0.77だった。コーヒー摂取と脳梗塞の関係は喫煙,BMI,糖尿病または高血圧歴,アルコール摂取によって変わることはなかった。

2011年4月24日日曜日

喫煙とALS

ハーバード大学公衆衛生学部の研究で、喫煙と筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症リスクとの間に関連が認められることがわかった。
ALSは運動神経の変性疾患で、米国では毎年5,500例が新規に診断されている。ALSを治癒させる方法はなく、数少ない治療薬の効果も限定的である。ALS症例の約90%は散発性で、原因は不明だが、環境因子が関係している可能性も指摘されている。
今回の研究の結果、
ALS発症率は加齢とともに上昇し、すべての年齢群で女性より男性で高かった。試験開始時点で喫煙歴を有していた人のALS発症リスクは一度も喫煙したことがない人と比べて高いことが分かった。ALS発症リスクは、現役の喫煙者で42%、喫煙経験者では44%高かった。
ALSの発症リスクは、pack-yearsで表す喫煙量(1日に吸うたばこの箱の数と喫煙年数をかけた数字)が増すほど高くなった。pack-yearsに換算しない1日の平均喫煙本数と喫煙期間をそれぞれ独立して調べたところ、両者ともALS発症リスクとの間に正の相関が認められた。ALS発症リスクは、1日当たりの喫煙本数が10本増えるごとに10%、喫煙期間10年ごとに9%上昇した。しかし、これらの相関は、一度も喫煙したことがない者(never-smokers)を除外すると有意ではなくなった。喫煙者の中では、喫煙開始年齢が低い人ほど、ALS発症リスクが高かった。たばこの煙がALSリスクに影響を及ぼす機序に関しては、これまでの研究で複数示唆されている。例えば、たばこの煙に含まれる一酸化窒素(NO)やそのほかの化合物(タバコ栽培の際に使用された農薬の残留物など)あるいは酸化ストレスによる直接的な神経損傷などである。さらに、たばこの煙に含まれる化学物質は、フリーラジカルや過酸化脂質を産生する。また、喫煙者では主要な抗酸化物質であるビタミンCが不足しやすい。喫煙による燃焼生成物の副産物であるホルムアルデヒドに曝露されると、ALSリスクが上昇することが2008年に報告された。喫煙とALSとの関係についての理解を深めることは、他の危険因子のさらなる発見につながり、この疾患の本質解明に役立つであろう。

2011年4月19日火曜日

交通騒音と脳卒中

デンマークがん学会がん疫学研究所で、デンマークに住む成人を対象に道路交通騒音と脳卒中発症リスクとの関連を検討した結果、騒音にさらされると脳卒中リスクが上昇し、この関連は特に64.5歳以上の高齢者で顕著であることがわかった。
今回の研究は、コペンハーゲンとオーフスに住む5万1,485例(50~64歳)を対象に、既往歴や居住歴などに関するデータを収集した。全被験者の平均追跡期間は10.1年であった。
解析に当たっては、大気汚染の程度や鉄道と飛行機の騒音のほか、喫煙、食生活、アルコールおよびカフェインの摂取などの交絡因子の影響が考慮された。騒音の評価には交通量や車両の速度、道路の種類(高速道路または幹線道路など)と路面状態、道路と住居の位置関係などが考慮された。
さらに、脳卒中を発症した1,881例(3.7%、平均追跡期間6.0年)を対象に、道路交通騒音への曝露による脳卒中の罹患率比(IRR)を検討した。その結果、生活習慣や大気汚染曝露などで調整した後の全例のIRRは1.14であった。
年齢別の検討では、64.5歳未満の者では有意なリスクの上昇は認められなかったが、64.5歳以上の高齢者では道路交通騒音10dB上昇に対するIRRが1.27と有意に上昇していた。
また、自動車の騒音にさらされると脳卒中リスクが上昇することもわかった。過去の研究ではこのような騒音が血圧の上昇や心筋梗塞の発症リスクに関連することが示唆されている。
騒音と脳卒中リスクとの関連について確実な結論を導くにはさらなる研究が必要だろう。これらの間に因果関係があると仮定すれば、全脳卒中の8%、65歳以上の高齢者では19%が交通騒音の影響を受けたと推定できる。今回の研究の対象は主に都市部の住民で、交通騒音にさらされているすべての人々を代表してはいないが、デンマークの人口が550万人で、毎年1万2,400人が脳卒中を発症していることを踏まえると、デンマークでは毎年600例が交通騒音による脳卒中を発症していると推定できる。
さらに、関連が特に高齢者で強かった点について、高齢者では睡眠が分断される傾向があり、睡眠障害が現れやすい。騒音と脳卒中リスクとの関連が主に高齢者で認められたのは、このためとも考えられる。

2011年2月22日火曜日

腸内細菌と脳の発達

腸内細菌がマウスの行動に影響を与えることをスウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが発見した。
腸内細菌が肥満や免疫に関わっていることは知られていたが、脳の発達や行動にまで影響をおよぼすことが示されたのは初めて。
研究チームは、通常の腸内細菌を持つマウスと、無菌で育てたマウスの行動を比較した。箱の中で陰の区画に隠れ、警戒している時間が多い普通のマウスに比べ、無菌マウスは明るく広い場所をうろつくなど行動が大胆だった。
脳の変化を調べたところ、無菌マウスでは、不安や感情に関わる脳内物質の量が少なかった。研究チームは、進化の過程で、腸内細菌の作用が、新生児の脳の発達過程に組み込まれたのではないかと考えているようだ。

2011年2月7日月曜日

脳の回復予測

救急搬送された心肺停止患者の脳機能の回復見通しを、脳の局所的な血中酸素の割合「酸素飽和度(rSO2)」から予測する方法を、大阪府済生会千里病院千里救命救急センターの研究チームが開発した。
rSO2が25%以下だと9割が24時間以内に死亡した一方、26%以上の場合は4割が社会復帰し、値が高い人ほど回復程度が良かった。適切な治療法を素早く選択し、救命率を高めることに生かせる。また、大規模災害時に搬送された患者の治療優先順位を決める「トリアージ」にも活用できる可能性がある。
脳の神経細胞は、心停止で血流が長時間止まると死滅するが、心拍再開後も細胞死が進み、脳死や植物状態に至るケースがある。
研究チームは、心臓のバイパス手術などをする際、麻酔科医が前頭葉の大脳皮質を流れる血液中のrSO2を計測して脳の状態を把握し、呼吸や血圧などの管理の目安にしていることに着目。rSO2は、酸素を運搬するヘモグロビンの血中濃度から求められ、近赤外光を額に10秒程度あてるだけで計測できる。
同センターへ一昨年4月から1年間に搬送された18歳以上の82人について、来院から3分以内のrSO2を測定。健康な人のrSO2は80~50%だが、82人のうち、25%以下だった52人は、47人が24時間以内に死亡。残りの5人も脳機能が回復せず、感染症などで亡くなった。
一方、26~40%の9人は6人が死亡、1人が植物状態になったが、2人は社会復帰できた。41%以上では21人中、5人が死亡し、5人が脳に重い後遺症が残った状態で転院したものの、10人が社会復帰し、1人は軽い後遺症で済んだ。
rSO2の値を高く保つ治療をすれば、社会復帰の可能性が高まる。また、数値の常時監視で、効果的な蘇生治療も行えるだろう。

2010年12月15日水曜日

ビタミンE

ビタミンEの補充は脳梗塞のリスクを低下させる一方、脳出血のリスクを高めると、米ハーバード大学などのグループが発表した。
同グループは、2010年1月までに報告された論文を医学電子データベースから検索。ビタミンE補充の脳卒中への影響を1年以上の追跡で検討した試験を抽出し、解析により脳卒中全体および脳梗塞、脳出血発症への影響を評価した。
解析対象は、参加者計11万8,765例(ビタミンE群5万9,357例、プラセボ群5万9,408例)を含む9試験。うち7試験で脳卒中全体、5試験で脳梗塞と脳出血のデータが報告されていた。
解析の結果、ビタミンE補充による脳卒中全体の発症への有意な影響は認められなかった。しかし、タイプ別に分けると、ビタミンEの補充によって脳梗塞の発症が10%減少。その一方で、脳出血の発症が22%増えていた。
絶対リスクに関しては、476例がビタミンEを服用するごとに脳梗塞が1例減少。1,250例がビタミンEを服用するごとに脳出血が1例増える計算になった。
同グループは、ビタミンEの補充には十分な注意が必要であると指摘している。

2010年10月10日日曜日

心機能と脳容量

心機能を示す心係数が標準レベルかどうかにかかわらず、心機能低下と、脳容量の減少や情報処理速度の低下といった脳の加速度的なエイジングとが関連していることが明らかにされた。米国ボストン大学神経学部が、約1,500例を対象に行った調査で明らかにした。
心血管疾患を有する成人では、心機能不全が神経解剖学的および神経心理学的な経年変化と関連しているとされる。理論上、全身性の低灌流が脳灌流を途絶させ、無症状性の脳損傷を引き起こしているとされるためで、研究では、心機能が、脳MRIで認められる以前の変化を捉える指標となり得るのではないか、また虚血やアルツハイマー病の神経心理学的マーカーの代替となるのではないかと仮定し、本調査を行った。

おもな結果は 
・被験者の平均年齢は61±9歳、54%は女性だった。 
・心係数は、総脳容量と情報処理速度の間に、それぞれ正の相関関係がみられた。 
・一方で、心係数は、側脳室容量との間には、負の相関関係がみられた。 
・臨床的に心血管疾患が認められた人を除いた後も、心係数と総脳容量には有意な関連が認められた。
・事後比較の結果、心係数低値群と心係数中間値群の脳容量は、心係数高値群に比べ、有意に小さかった。

本研究より、心機能と脳容積の低下に正の相関関係があることが明らかになった。
これまで、慢性心不全患者や冠動脈バイパス術を受けた冠動脈疾患患者において、無症候性脳梗塞や深部白質病変が進行していることが知られていた。これらの無症候性脳障害が、心疾患患者の抑うつ状態や認知機能低下の背景となると考えられている。
本研究の新規性は、これらの臨床的に明らかな心疾患が発症する前の症状のない地域住民においても、心機能と脳容量に有意の関連を認めた点である。 
心機能で3群に分けたときに、最高3分位(心機能良好群)だけが、他の2群に比較して脳容積が高かったが、中間3分位群と最低3分位群では有意差がない。 このことは、心機能と脳容積に直線関連ではなく、正常範囲内においても心機能のわずかな低下が脳容積の低下と関連することを示している。
この脳・心臓器連関の機序はよくわからない。 何らかの加齢変化や合わせ持つ心血管リスクに加え、より直接的機序として、ごくわずかの心機能低下による脳血流の長期にわたる減少により、脳萎縮が進行する可能性がある。 

2010年9月27日月曜日

服薬指導

脳卒中患者の多くが薬剤の服用を途中で止めていることが新しい研究で判明した。
今回の報告では、脳卒中患者の25%が、脳卒中を起こしてから3カ月以内に1種類以上の予防的薬剤の服用を中止していることが判明。このことから、医療従事者は患者や介護者の服薬指導にもっと時間をかける必要がわかった。
研究では、脳卒中または一過性脳虚血発作で米国の106カ所の病院を受診した患者2,598人のデータを収集。75.5%は処方薬をすべて継続していたが、脳卒中から3カ月後の時点で、患者の20%は薬剤の少なくとも半分しか服用しておらず、3.5%は全く服用していないことがわかった。
服用を継続していた患者の理由としては、ほかにも重篤な疾患がある、適切な保険に加入している、薬剤の数が少ない、服用理由を理解しているなど、さまざまであった。長期的な服薬コンプライアンス(遵守)は以前から問題になっているといい、患者の教育や脳卒中患者向けの追跡プログラムの必要性を専門家は指摘している。

2010年9月26日日曜日

大脳白質病変

MRIで発見される大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクと有意な相関を示すため、その予測因子となり得ることが、イギリスSt George’s University of London臨床神経科学部の研究でわかった。
研究グループは、1966~2009年11月23日までのデータベースを検索し、MRIを用いて大脳白質の高信号域が脳卒中、認知機能低下、認知症、死亡に及ぼす影響を評価した研究や、大脳白質の高信号域をカテゴリー別に分けてこれらの疾患のリスクを予測した試験を抽出した。
46の研究が抽出され、そのうち大脳白質の高信号域と脳卒中のリスクを評価したものが12試験、認知機能低下のリスクを検討したのは19試験、認知症は17試験であり、死亡については10試験が検討を行っていた。これらの試験の内、解析は22の試験(脳卒中9試験、認知症9試験、死亡8試験)ついて実施した。
脳卒中のリスクについては、9試験の解析で、大脳白質病変の存在は脳卒中の発症リスクを3.5倍に高めていた。
認知症のリスクについては、9試験の解析で、大脳白質病変の存在は認知症の発症リスクを1.9倍に高めていた。
死亡率との関連については、8試験の解析で、大脳白質病変により死亡のリスクが2.0倍に増大していた。
大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクの予測因子である。すなわち、診断中に発見されたMRI上の大脳白質病変は脳卒中のリスクの増大を示している。この研究結果が、脳卒中や認知症のリスク因子の詳細なスクリーニングに道を開くことになるかもしれない。

2010年9月8日水曜日

内臓脂肪と脳容積

ボストン大学神経学科の研究で、腹部の脂肪と脳の総容積低下との間に有意な関連性があることがわかった。
中年では、肥満は認知症とアルツハイマー病のリスクを高めているようだが、皮下脂肪と内臓脂肪のほうが体重よりもリスクを反映しているようである。
今回の研究では、700例超を対象に脳MRIと、皮下脂肪および内臓脂肪を定量化するための腹部CT検査を行った。
その結果、腹囲や皮下脂肪組織、内臓脂肪組織が多い程、脳の総容積は低下していた。さらに今回のデータでは、内臓脂肪が脳の総容積と最も強く関連していた。
今回の研究により、肥満と認知症の関連の根底にある機序の理解が進み、新たな予防法につながるかもしれない。