診察室収縮期血圧(SBP)の最大値(外れ高値)が、同平均値とは別に、心血管イベントの強力な予測因子であることが最近報告されたが、自治医科大学循環器内科学部門の研究グループは、同様に家庭SBPの最大値が同平均値よりも標的臓器障害(TOD)の重症度を反映する可能性があるのではと仮定し、未治療の高血圧患者を対象に試験を行った。結果、最大家庭SBPとTODには相関関係があることが認められ、平均値に加えて評価をすることで、心臓や動脈の高血圧性TODの予測値を上げられる可能性があることがわかった。
研究グループは、2004年6月~2007年12月の間、山口県・岩国市立美和病院内科の外来で募った356例の未治療の高血圧患者(2週間以上あけた2回の受診時測定診察室血圧の平均値が、SBP値140mmHg以上かDBP値90mmHg以上、あるいは両方該当)を対象に試験を行った。
被験者は、家庭血圧を連続14日間、朝と夕それぞれ3回ずつ座位にて測定し、測定値は血圧計に記録された。
最大家庭SBPとは、毎日の朝測定3回の平均値、夕測定3回の平均値のうち最も高い値のものと定義した。
TOD有無については、心エコーにて計測した左室心筋重量係数(LVMI)、超音波検査による頸動脈内膜中膜厚(IMT)と、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を評価し測定した。
おもな結果は以下のとおり。 ●被験者の平均年齢は66.6歳、44.7%(159例)が70歳以上であった。被験者1人当たりの14日間の家庭血圧の測定総回数の平均値は79.8±7.9であった。 ●最大家庭SBPと、LVMI、頸動脈IMT、UACRとは、いずれも有意な相関関係が認められた。 ●LVMI、頸動脈IMTとの相関係数は、最大家庭SBPのほうが平均家庭SBPより有意に大きかった。 ●多変量回帰分析の結果、平均家庭血圧値に関係なく、最大家庭SBPは、LVMI、頸動脈IMTと独立した相関関係を示した。 ●最大家庭SBPを、平均診察室血圧と平均家庭血圧に加えて評価を行うことで、左室肥大、頸動脈アテローム性動脈硬化症の各予測モデルの適合性は有意に改善された。
本研究は、家庭血圧の変動性の増大が、平均値とは独立して、新規の高血圧性臓器障害の指標となることを示した貴重な臨床研究である。
昨年、オックスフォード大学の先生たちが、心血管ハイリスク群において、経過中の外来血圧の日差変動性(SD)やその最大収縮期血圧が、平均値とは独立して極めて大きな予後予測因子となることを示した。
この研究発表以降、血圧変動性が注目されているが、日差血圧変動性の増大は、外来血圧のみならず、家庭血圧でもみられる。本研究は、その日差変動性の増大と最大収縮期血圧が、平均家庭血圧とは独立して、左室肥大、頸動脈硬化、微量アルブミン尿と関連していることを示した。最大収縮期血圧は、家庭血圧平均値よりもより強く、さらに独立して、これらの臓器障害指標と関連していた。
また、最大収縮期血圧は、平均血圧レベルが130mmHg未満の血圧管理良好群においても、左室肥大や頸動脈硬化と独立して関連していた。
現在、高血圧管理において家庭血圧は不可欠である。これまで、平均値のみを重要視していたが、これからは、時々高値を示す最大血圧値にも留意して、臓器障害やリスクを評価してゆく必要がある。
2011年6月26日日曜日
2011年6月21日火曜日
2011年6月12日日曜日
睡眠時無呼吸症候群
睡眠呼吸障害の進展と心血管疾患の発生は関連していることが住民ベースの試験でわかった。これまでに行われた前向き試験では、睡眠呼吸障害が心血管疾患の発生および再発のリスクを増大することはわかっていたが、その逆の、心血管疾患の発生が睡眠呼吸障害を引き起こしたり、あるいは悪化させる原因となるのかについては明らかではなかった。米国・ボストン大学の研究で、地域に暮らす多様な背景を有する中高年2,721例を5年以上追跡し明らかになった。
研究グループは、心血管疾患歴のない40歳以上の2,721人を対象に、睡眠ポリグラフを試験開始時と5年以上経過後に行い、その間に発生した心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中など心血管疾患イベントとの関連を評価する「Sleep Heart Health Study」を行った。
2回の睡眠ポリグラフ実施間の無呼吸低呼吸指数変化との関連について、年齢、性別、人種、試験を行った病院、糖尿病歴、BMIの変化、頸囲の変化、仰臥位睡眠の割合、2回の睡眠ポリグラフ実施の期間について補正後、一般線形モデルを用いて分析した。
その結果 ●被験者は、平均年齢62歳(標準偏差:10)、57%が女性、23%が少数民族であった。 ●睡眠ポリグラフの1回目と2回目の間に心血管疾患イベントが認められた被験者は、95例であった。 ●心血管疾患が認められた群のほうが、認められなかった群に比べ、2回の睡眠ポリグラフ実施間の補正後平均無呼吸低呼吸指数の上昇が大きく、両群間の差は2.75回/時であった。 ●心血管疾患が認められた群では、認められなかった群に比べ、2回の睡眠ポリグラフ実施間の閉塞性睡眠時無呼吸指数の上昇は1.75回/時、中枢性睡眠時無呼吸指数は1.07回/時、それぞれ大きかった。
本研究で、心血管疾患の発症自体が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を増悪させることがわかった。これまでは、SASが心血管疾患のリスクとなるという因果関係を示す追跡研究であったが、この逆の因果関係を明確に示したのは本研究が初めてである。
SASが全くない群においては、心血管疾患が発症してもSASの増悪は見られない。しかし、無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上の軽度SASが存在する群においてのみSASの増悪がみられている。このことは、心血管疾患自体はSASの発症ではなく増悪・促進因子であることを示している。しかしその機序はよくわからない。心血管疾患により呼吸コントロール状態が不安定化することや、夜間臥位にて下半身から上半身(喉頭周囲)への体液シフトなどが、心血管疾患がSASの病態増悪機序として考えられる。
さらに、肺うっ血による肺刺激受容体の刺激や、慢性の過呼吸と低二酸化炭素血症により引き起こされる二酸化炭素に対する化学受容体感受性の亢進が呼吸コントロールの不安定化を引き起こす鍵となることが考察されている。
本研究は、心血管疾患とSASとに悪循環が形成されることを示している。今後、心血管疾患発症後の循環動態の改善自体がSASの進展を抑制できるかどうかを検討することが必要である。
研究グループは、心血管疾患歴のない40歳以上の2,721人を対象に、睡眠ポリグラフを試験開始時と5年以上経過後に行い、その間に発生した心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中など心血管疾患イベントとの関連を評価する「Sleep Heart Health Study」を行った。
2回の睡眠ポリグラフ実施間の無呼吸低呼吸指数変化との関連について、年齢、性別、人種、試験を行った病院、糖尿病歴、BMIの変化、頸囲の変化、仰臥位睡眠の割合、2回の睡眠ポリグラフ実施の期間について補正後、一般線形モデルを用いて分析した。
その結果 ●被験者は、平均年齢62歳(標準偏差:10)、57%が女性、23%が少数民族であった。 ●睡眠ポリグラフの1回目と2回目の間に心血管疾患イベントが認められた被験者は、95例であった。 ●心血管疾患が認められた群のほうが、認められなかった群に比べ、2回の睡眠ポリグラフ実施間の補正後平均無呼吸低呼吸指数の上昇が大きく、両群間の差は2.75回/時であった。 ●心血管疾患が認められた群では、認められなかった群に比べ、2回の睡眠ポリグラフ実施間の閉塞性睡眠時無呼吸指数の上昇は1.75回/時、中枢性睡眠時無呼吸指数は1.07回/時、それぞれ大きかった。
本研究で、心血管疾患の発症自体が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を増悪させることがわかった。これまでは、SASが心血管疾患のリスクとなるという因果関係を示す追跡研究であったが、この逆の因果関係を明確に示したのは本研究が初めてである。
SASが全くない群においては、心血管疾患が発症してもSASの増悪は見られない。しかし、無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上の軽度SASが存在する群においてのみSASの増悪がみられている。このことは、心血管疾患自体はSASの発症ではなく増悪・促進因子であることを示している。しかしその機序はよくわからない。心血管疾患により呼吸コントロール状態が不安定化することや、夜間臥位にて下半身から上半身(喉頭周囲)への体液シフトなどが、心血管疾患がSASの病態増悪機序として考えられる。
さらに、肺うっ血による肺刺激受容体の刺激や、慢性の過呼吸と低二酸化炭素血症により引き起こされる二酸化炭素に対する化学受容体感受性の亢進が呼吸コントロールの不安定化を引き起こす鍵となることが考察されている。
本研究は、心血管疾患とSASとに悪循環が形成されることを示している。今後、心血管疾患発症後の循環動態の改善自体がSASの進展を抑制できるかどうかを検討することが必要である。
2011年5月21日土曜日
スクリーンタイム
テレビ視聴やゲーム遊びなどのスクリーンタイムの長い子どもは、よく運動をする子どもに比べ眼の動脈が狭窄(狭小化)していることが、オーストラリアの研究で報告された。研究を実施したシドニー大学は、網膜血管を見れば、身体の他の部位、特に心臓で起きていることわかると述べるとともに、成人では網膜動脈の狭窄が高血圧および心疾患リスクの増大を示すシグナルとなると指摘している。
今回の研究では、シドニーに住む6歳児1,492人を対象に、運動をしている時間と座った姿勢で娯楽をする時間を追跡するとともに、眼底の脈管構造(vasculature)のデジタル写真を撮影して血管幅の平均値を算出。全体では、小児のスクリーンタイムは平均1.9時間、運動する時間は36分であったが、屋外で過ごす時間が1日平均30分未満の小児に比べ、1時間以上の小児は血管幅が広かった。スクリーンタイムを1時間半以上過ごす小児はさらに網膜血管に有害な影響のみられる比率が高いことがわかった。1時間のスクリーンタイムによって生じる狭窄は、収縮期(最大)血圧に10 mmHgの上昇をもたらすレベルに相当するものであった。
どのくらい運動をすれば十分なのかについては、今回の研究結果からは明確ではないが、1日1時間のスクリーンタイムを運動に置き換えれば、網膜血管への好ましくない影響を最小限に留めるのに有効と考えられるようだ。
今回の研究は、運動不足の影響について新しい方法で検討したもの。網膜血管に影響を及ぼしているのは、テレビやパソコンの使用ではなく、あくまで運動不足である点を親は認識する必要があろう。
今回の研究では、シドニーに住む6歳児1,492人を対象に、運動をしている時間と座った姿勢で娯楽をする時間を追跡するとともに、眼底の脈管構造(vasculature)のデジタル写真を撮影して血管幅の平均値を算出。全体では、小児のスクリーンタイムは平均1.9時間、運動する時間は36分であったが、屋外で過ごす時間が1日平均30分未満の小児に比べ、1時間以上の小児は血管幅が広かった。スクリーンタイムを1時間半以上過ごす小児はさらに網膜血管に有害な影響のみられる比率が高いことがわかった。1時間のスクリーンタイムによって生じる狭窄は、収縮期(最大)血圧に10 mmHgの上昇をもたらすレベルに相当するものであった。
どのくらい運動をすれば十分なのかについては、今回の研究結果からは明確ではないが、1日1時間のスクリーンタイムを運動に置き換えれば、網膜血管への好ましくない影響を最小限に留めるのに有効と考えられるようだ。
今回の研究は、運動不足の影響について新しい方法で検討したもの。網膜血管に影響を及ぼしているのは、テレビやパソコンの使用ではなく、あくまで運動不足である点を親は認識する必要があろう。
2011年5月20日金曜日
カルシウムサプリメント
骨の劣化予防のためにカルシウムサプリメントを摂取する女性では、心疾患リスクが高いことが、ニュージーランドのオークランド大学の研究でわかった。
カルシウムサプリメントの利用については専門家の間でも見解の一致をみておらず、今回の結果は、サプリメント推奨に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
また、研究結果から、カルシウムサプリメント利用の再考が勧められる。食品によるカルシウム摂取には心疾患リスク増大は認められていないことから、カルシウムは食事から摂るよう推奨される。
同研究グループによる最近の分析では、ビタミンDを併用せずにカルシウムサプリメントを利用する女性は、心臓発作リスクが27~31%高いことがわかった。
今回の分析では、米国政府支援による大規模研究「女性の健康イニシアチブ(WHI)」参加女性のうち、登録前にカルシウムサプリメントを摂取していなかった1万6,718人を対象に検討。その結果、カルシウムサプリメントとビタミンD摂取群に割り付けられた女性には、心血管障害(特に心臓発作)リスクに13~22%の増大がみられた。対照群には変化がなかった。さらに約3万人の女性を対象とした未発表の13研究のデータを追加すると、カルシウムサプリメント摂取により心臓発作リスクが25~30%、脳卒中が15~20%増大した。
カルシウムが動脈硬化に関連していることを考えれば、この結果は生物学的には理にかなったものだと言える。しかし、今回の研究からは明確な結論を導くことはできない。骨が脆弱で、カルシウムを摂取する十分な理由のある女性は、恐れずに摂取すべきであろう。いずれにしろ、カルシウムサプリメントとビタミンDの併用による有害性については、さらに研究を重ねる必要がある。
カルシウムサプリメントの利用については専門家の間でも見解の一致をみておらず、今回の結果は、サプリメント推奨に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
また、研究結果から、カルシウムサプリメント利用の再考が勧められる。食品によるカルシウム摂取には心疾患リスク増大は認められていないことから、カルシウムは食事から摂るよう推奨される。
同研究グループによる最近の分析では、ビタミンDを併用せずにカルシウムサプリメントを利用する女性は、心臓発作リスクが27~31%高いことがわかった。
今回の分析では、米国政府支援による大規模研究「女性の健康イニシアチブ(WHI)」参加女性のうち、登録前にカルシウムサプリメントを摂取していなかった1万6,718人を対象に検討。その結果、カルシウムサプリメントとビタミンD摂取群に割り付けられた女性には、心血管障害(特に心臓発作)リスクに13~22%の増大がみられた。対照群には変化がなかった。さらに約3万人の女性を対象とした未発表の13研究のデータを追加すると、カルシウムサプリメント摂取により心臓発作リスクが25~30%、脳卒中が15~20%増大した。
カルシウムが動脈硬化に関連していることを考えれば、この結果は生物学的には理にかなったものだと言える。しかし、今回の研究からは明確な結論を導くことはできない。骨が脆弱で、カルシウムを摂取する十分な理由のある女性は、恐れずに摂取すべきであろう。いずれにしろ、カルシウムサプリメントとビタミンDの併用による有害性については、さらに研究を重ねる必要がある。
2011年5月10日火曜日
加糖飲料
インペリアルカレッジ(ロンドン)公衆衛生学部が,2,500人を超える英国人および米国人のデータを用いて横断的研究を行った結果,加糖飲料の過剰摂取が血圧上昇と直接的に関連することが分かった。
心疾患は世界で最も多い死亡原因で,高血圧はその主要な危険因子として知られている。例えば,血圧値が135/85mmHgの人では,115/75mmHgの人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍高い。
今回行った研究では,1日当たりの加糖飲料の摂取量が1缶(355mL)増えるごとに,収縮期血圧(SBP)が平均で1.6mmHg,拡張期血圧(DBP)が同0.8mmHg上昇することが示された。また,体重や身長などの因子で調整した後も,この差は統計学的に有意であった。
今回,加糖飲料の過剰摂取が血圧を上昇させる機序については検討されなかった。しかし,研究者らは、加糖飲料の摂取によって血中尿酸値が上昇し,一酸化窒素(NO)活性が低下することで,血圧の上昇がもたらされるのではないか」と考察している。
また,加糖飲料の摂取と血圧上昇との関連は,糖分だけでなく塩分を過剰に摂取している人でも強かったことから,塩分の過剰摂取により高血圧リスクが高まることは既に知られているが,糖分の摂取量についても注意すべきことが示唆された。
今回の研究では、国際研究(INTERMAP)に参加した米国人および英国人2,696人(40~59歳)のデータを用いて加糖飲料,ダイエット飲料,糖類(フルクトース,グルコース,スクロース)と血圧値との関連について検討した。これらのデータには,平均3週間の追跡期間中に4回行われた24時間以内に摂取した飲食物に関する調査への回答,2回採取された尿サンプル,8回測定された血圧値のデータが含まれた。
その結果,加糖飲料の摂取は血圧に直接的な影響をもたらすことが分かった。一方,ダイエット飲料の摂取と血圧低下との関連が認められたが,一貫したデータは得られず,その関連も弱かった。
さらに,加糖飲料を多く摂取する人には,栄養の偏った食事を摂取する人が多い傾向が認められた。1日に1本以上の加糖飲料を摂取している人では,摂取しない人に比べて糖分摂取量が多いだけでなく,摂取カロリーが平均で1日当たり397kcal高く,食物繊維やミネラルの摂取量は少なかった。
加糖飲料を大量に摂取する人では健康的な食事を取っている割合が低いようだ。このような人は食品からのカリウムやマグネシウム,カルシウムの摂取量が少ない。今回の研究結果だけで加糖飲料が血圧を上昇させるとは断定できないが,加糖飲料を飲むなら適量にすることが勧められる。
心疾患は世界で最も多い死亡原因で,高血圧はその主要な危険因子として知られている。例えば,血圧値が135/85mmHgの人では,115/75mmHgの人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍高い。
今回行った研究では,1日当たりの加糖飲料の摂取量が1缶(355mL)増えるごとに,収縮期血圧(SBP)が平均で1.6mmHg,拡張期血圧(DBP)が同0.8mmHg上昇することが示された。また,体重や身長などの因子で調整した後も,この差は統計学的に有意であった。
今回,加糖飲料の過剰摂取が血圧を上昇させる機序については検討されなかった。しかし,研究者らは、加糖飲料の摂取によって血中尿酸値が上昇し,一酸化窒素(NO)活性が低下することで,血圧の上昇がもたらされるのではないか」と考察している。
また,加糖飲料の摂取と血圧上昇との関連は,糖分だけでなく塩分を過剰に摂取している人でも強かったことから,塩分の過剰摂取により高血圧リスクが高まることは既に知られているが,糖分の摂取量についても注意すべきことが示唆された。
今回の研究では、国際研究(INTERMAP)に参加した米国人および英国人2,696人(40~59歳)のデータを用いて加糖飲料,ダイエット飲料,糖類(フルクトース,グルコース,スクロース)と血圧値との関連について検討した。これらのデータには,平均3週間の追跡期間中に4回行われた24時間以内に摂取した飲食物に関する調査への回答,2回採取された尿サンプル,8回測定された血圧値のデータが含まれた。
その結果,加糖飲料の摂取は血圧に直接的な影響をもたらすことが分かった。一方,ダイエット飲料の摂取と血圧低下との関連が認められたが,一貫したデータは得られず,その関連も弱かった。
さらに,加糖飲料を多く摂取する人には,栄養の偏った食事を摂取する人が多い傾向が認められた。1日に1本以上の加糖飲料を摂取している人では,摂取しない人に比べて糖分摂取量が多いだけでなく,摂取カロリーが平均で1日当たり397kcal高く,食物繊維やミネラルの摂取量は少なかった。
加糖飲料を大量に摂取する人では健康的な食事を取っている割合が低いようだ。このような人は食品からのカリウムやマグネシウム,カルシウムの摂取量が少ない。今回の研究結果だけで加糖飲料が血圧を上昇させるとは断定できないが,加糖飲料を飲むなら適量にすることが勧められる。
2011年5月9日月曜日
パイロット
ブリティッシュ・ミッドランド航空(ロンドン)が,英国の民間航空会社に勤務するパイロット約1万5,000人を対象に心血管疾患(CVD)の危険因子の保有率について後ろ向き研究で検討した結果,パイロットでは一般人口に比べて喫煙者や肥満者が大幅に少なく,CVD危険因子の保有率が低かった。
今回の研究は航空機の乗務員を対象にCVD危険因子の保有率について検討した最大規模のもの。英国でパイロットの免許を行使する際に求められる医学的適正の認定書を保持する1万4,379人(女性805人)を対象に,BMI,過体重および肥満,喫煙,高血圧,糖尿病などのCVD危険因子の保有率を調べ,一般人口の保有率と比較した。
その結果,平均BMIは一般人口に比べてパイロットで大幅に低かった。しかし,男性パイロットでは,過体重(BMI 25~30)の割合は一般人口と同様に加齢とともに増加し,25歳未満および35~64歳の年齢層では一般人口よりも高い傾向が認められた。一方,女性パイロットでは,過体重の割合は一般人口よりも低い傾向が認められた。
全パイロットにおける肥満(BMI 30超)の割合は,一般人口に比べて大幅に低かった。例えば,25~34歳の年齢層における肥満の割合は,一般人口の21.0%に対してパイロットでは8.3%であった。
パイロットの喫煙率を見ると,最も喫煙率が高い年齢層は,男性が25~34歳(10%),女性が25歳未満(8%)であった。ただし,全体の喫煙率は一般人口の約3分の1とはるかに低かった。
高血圧の割合は,25歳未満および35~44歳では一般人口よりも高く,45~54歳および55~64歳では一般人口よりも低かった。
なお,糖尿病に罹患している場合は民間航空会社のパイロット免許は保持できないため,今回検討の対象となったパイロットで糖尿病と判明したのは男性で0.2%,女性では皆無であった。
さらに,パイロットは一般的に社会経済的地位が高いとされているため,社会経済的因子の影響を調整するために一般人口のうち,所得が最高五分位の集団と比較した。その結果,同集団と比べても,パイロットでは喫煙率と肥満率が大幅に低かった。
近年,世界中の航空当局の間で,民間のパイロットにおける心血管リスクプロファイルを重視する傾向が強まっているという。
今回の研究結果では,喫煙と肥満という2つの重要なCVD危険因子の保有率が,英国のパイロットでは一般人口よりもはるかに低いことが示された。過体重の割合はパイロットで高かった原因として(1)坐位時間が長い職務内容(2)不規則なシフト勤務パターン(3)外泊の機会が多いために食事内容が不健康になりがちである—などが考えられた。
今回の研究は航空機の乗務員を対象にCVD危険因子の保有率について検討した最大規模のもの。英国でパイロットの免許を行使する際に求められる医学的適正の認定書を保持する1万4,379人(女性805人)を対象に,BMI,過体重および肥満,喫煙,高血圧,糖尿病などのCVD危険因子の保有率を調べ,一般人口の保有率と比較した。
その結果,平均BMIは一般人口に比べてパイロットで大幅に低かった。しかし,男性パイロットでは,過体重(BMI 25~30)の割合は一般人口と同様に加齢とともに増加し,25歳未満および35~64歳の年齢層では一般人口よりも高い傾向が認められた。一方,女性パイロットでは,過体重の割合は一般人口よりも低い傾向が認められた。
全パイロットにおける肥満(BMI 30超)の割合は,一般人口に比べて大幅に低かった。例えば,25~34歳の年齢層における肥満の割合は,一般人口の21.0%に対してパイロットでは8.3%であった。
パイロットの喫煙率を見ると,最も喫煙率が高い年齢層は,男性が25~34歳(10%),女性が25歳未満(8%)であった。ただし,全体の喫煙率は一般人口の約3分の1とはるかに低かった。
高血圧の割合は,25歳未満および35~44歳では一般人口よりも高く,45~54歳および55~64歳では一般人口よりも低かった。
なお,糖尿病に罹患している場合は民間航空会社のパイロット免許は保持できないため,今回検討の対象となったパイロットで糖尿病と判明したのは男性で0.2%,女性では皆無であった。
さらに,パイロットは一般的に社会経済的地位が高いとされているため,社会経済的因子の影響を調整するために一般人口のうち,所得が最高五分位の集団と比較した。その結果,同集団と比べても,パイロットでは喫煙率と肥満率が大幅に低かった。
近年,世界中の航空当局の間で,民間のパイロットにおける心血管リスクプロファイルを重視する傾向が強まっているという。
今回の研究結果では,喫煙と肥満という2つの重要なCVD危険因子の保有率が,英国のパイロットでは一般人口よりもはるかに低いことが示された。過体重の割合はパイロットで高かった原因として(1)坐位時間が長い職務内容(2)不規則なシフト勤務パターン(3)外泊の機会が多いために食事内容が不健康になりがちである—などが考えられた。
2011年5月2日月曜日
長時間労働と心疾患
心疾患の危険因子(リスクファクター)に長時間労働を加える時が来たのかもしれない。同僚よりも長時間働くと、心臓発作が起きる可能性が有意に増大することが、英国の事務職を対象とした新しい研究でわかった。労働時間が定期的に1日11時間以上の人は1日7~8時間の人に比べて心疾患を発症する可能性が67%高かったという。
英ロンドン大学ユニバーシティカレッジの社会疫学教室では、低リスク集団に属する英国の公務員約7,100人を対象に、1991年から2004年まで追跡調査し、心疾患の徴候のある被験者を選別した。被験者の約70%が男性で、大多数(91%)が白人であった。研究終了時までに約2.7%が冠動脈疾患を発症した。被験者は、自宅に持ち帰ったものを含め、仕事に費やす時間数を報告した。
研究の結果、半数以上(54%)が1日7~8時間、21%が1日9時間、15%が1日10時間、10%強が11時間以上働いていた。労働時間が1日11時間強の被験者では心疾患リスクが高まると同時に、その一部は他のリスク全般が高まったという。
長時間働く人は、運動や健康的な食事、医師の診察を受ける時間が少ない。より多くのストレスに曝され、睡眠時間が短く、心血管リスクの一因となる行動をとっている可能性がある。
英ロンドン大学ユニバーシティカレッジの社会疫学教室では、低リスク集団に属する英国の公務員約7,100人を対象に、1991年から2004年まで追跡調査し、心疾患の徴候のある被験者を選別した。被験者の約70%が男性で、大多数(91%)が白人であった。研究終了時までに約2.7%が冠動脈疾患を発症した。被験者は、自宅に持ち帰ったものを含め、仕事に費やす時間数を報告した。
研究の結果、半数以上(54%)が1日7~8時間、21%が1日9時間、15%が1日10時間、10%強が11時間以上働いていた。労働時間が1日11時間強の被験者では心疾患リスクが高まると同時に、その一部は他のリスク全般が高まったという。
長時間働く人は、運動や健康的な食事、医師の診察を受ける時間が少ない。より多くのストレスに曝され、睡眠時間が短く、心血管リスクの一因となる行動をとっている可能性がある。
2011年4月30日土曜日
抗うつ薬と動脈硬化
抗うつ薬を服用している男性は、心臓発作や脳卒中の発症をもたらすアテローム性動脈硬化症のリスクを高める可能性のあることが、米エモリー大学の研究でわかった。抗うつ薬は、脳に血液を送る頸動脈の厚さの増大(約5%)に関連しているという。
米エモリー大学は、中年男性双生児513例のデータを収集。被験者の16%が抗うつ薬を服用しており、その60%が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を、またそれ以外はより古い抗うつ薬を服用していた。
抗うつ薬が血管に及ぼす影響を検討するために、頸動脈の厚さ(頸動脈内膜中膜厚)を測定した結果、抗うつ薬を服用している一方の兄弟は服用していないもう一方の兄弟に比べて肥厚が大きかった。服用した抗うつ薬による違いはみられず、またうつ病自体と頸動脈肥厚との関連は認められなかった。
年齢や糖尿病、血圧、喫煙歴、コレステロール、体重などの因子について調整後もこの状態は同じであった。内膜中膜厚の増大と抗うつ薬服用は明らかに関連しており、同薬を服用し、抑うつ状態がより重症の患者ではこの傾向がさらに強まるようだ。
抗うつ薬と心疾患との間に関連性がある理由は不明としながらも、抗うつ薬によってもたらされるセロトニンやノルエピネフリンなどの脳内化学物質濃度の上昇が血管を硬くし、臓器への血流量の低下、動脈硬化症の危険因子である血圧の上昇につながるとみている。
今回の知見は非常に予備的なものであるため、この研究をもとに患者が抗うつ薬服用に懸念を抱いたり、服用を中止したりすべきではない。抗うつ薬使用とアテローム性動脈硬化症の因果関係の有無を調べるにはより厳正な研究が必要である。
米エモリー大学は、中年男性双生児513例のデータを収集。被験者の16%が抗うつ薬を服用しており、その60%が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を、またそれ以外はより古い抗うつ薬を服用していた。
抗うつ薬が血管に及ぼす影響を検討するために、頸動脈の厚さ(頸動脈内膜中膜厚)を測定した結果、抗うつ薬を服用している一方の兄弟は服用していないもう一方の兄弟に比べて肥厚が大きかった。服用した抗うつ薬による違いはみられず、またうつ病自体と頸動脈肥厚との関連は認められなかった。
年齢や糖尿病、血圧、喫煙歴、コレステロール、体重などの因子について調整後もこの状態は同じであった。内膜中膜厚の増大と抗うつ薬服用は明らかに関連しており、同薬を服用し、抑うつ状態がより重症の患者ではこの傾向がさらに強まるようだ。
抗うつ薬と心疾患との間に関連性がある理由は不明としながらも、抗うつ薬によってもたらされるセロトニンやノルエピネフリンなどの脳内化学物質濃度の上昇が血管を硬くし、臓器への血流量の低下、動脈硬化症の危険因子である血圧の上昇につながるとみている。
今回の知見は非常に予備的なものであるため、この研究をもとに患者が抗うつ薬服用に懸念を抱いたり、服用を中止したりすべきではない。抗うつ薬使用とアテローム性動脈硬化症の因果関係の有無を調べるにはより厳正な研究が必要である。
2011年4月29日金曜日
ヨガで心房細動予防
ヨガによって心房細動(AF)が半減することが、米カンザス大学病院の研究でわかった。週3回のヨガにより、生活の質(QOL)も改善し、不安や抑うつに絶えず悩まされる患者の不安や抑うつレベルも低下するという。
心房細動は血液が凝固し脳卒中の原因ともなる不整脈で、米国では多くの高齢者にみられる。治療には、病原となる異常を排除する侵襲的手術、または副作用のある治療薬のいずれかが用いられる。
これまでの研究では、ヨガによる血圧やコレステロールの低下、より弾性のある動脈などの便益がわかっているが、心房細動に限定して検討された研究は今回が初めて。今回の研究では、25~70歳の心房細動患者49例が、指導者のもとで行われる週45分のヨガプログラムに週3回、3か月間参加した。
ヨガには、呼吸運動、さまざまなポーズ(アーサナ)、瞑想およびリラクゼーションが含まれていた。被験者は教育用DVDを渡され、自宅で毎日練習するよう勧められた。研究の結果、運動は行っていたものの、ヨガは行っていなかったクラス開始前の3か月間に発生した心房細動は平均3.8回であったのに対し、3か月間のヨガ練習期間中は平均2.1回であった。
心房細動は血液が凝固し脳卒中の原因ともなる不整脈で、米国では多くの高齢者にみられる。治療には、病原となる異常を排除する侵襲的手術、または副作用のある治療薬のいずれかが用いられる。
これまでの研究では、ヨガによる血圧やコレステロールの低下、より弾性のある動脈などの便益がわかっているが、心房細動に限定して検討された研究は今回が初めて。今回の研究では、25~70歳の心房細動患者49例が、指導者のもとで行われる週45分のヨガプログラムに週3回、3か月間参加した。
ヨガには、呼吸運動、さまざまなポーズ(アーサナ)、瞑想およびリラクゼーションが含まれていた。被験者は教育用DVDを渡され、自宅で毎日練習するよう勧められた。研究の結果、運動は行っていたものの、ヨガは行っていなかったクラス開始前の3か月間に発生した心房細動は平均3.8回であったのに対し、3か月間のヨガ練習期間中は平均2.1回であった。
2011年2月23日水曜日
画面前着座時間と心血管イベント
テレビ視聴など画面の前に座っている時間が長い程、心血管イベントおよび死亡リスクが増加することが、英国のグループの研究でわかった。
同グループは、2003年のスコットランド健康調査の参加者4,512例を2007年まで追跡。心血管イベントおよび死亡と1日の画面前に座っている時間(2時間未満、2〜4時間未満、4時間以上)との関係を調べた。
1万9,364人年の追跡で215例が心血管イベントを発症、325例がなんらかの原因で死亡した。年齢、性、肥満、喫煙、長期罹患疾患、糖尿病、高血圧などを調整した結果、画面前に座っている時間が2時間未満の群と比べ、4時間以上の群の心血管イベントおよび全死亡ハザード比(HR)はそれぞれ2.30、1.52と高かった。
画面前に座っている時間と心血管イベントの関係のおよそ25%はBMIやC反応性蛋白、HDLコレステロールと関係していた。
同グループは、2003年のスコットランド健康調査の参加者4,512例を2007年まで追跡。心血管イベントおよび死亡と1日の画面前に座っている時間(2時間未満、2〜4時間未満、4時間以上)との関係を調べた。
1万9,364人年の追跡で215例が心血管イベントを発症、325例がなんらかの原因で死亡した。年齢、性、肥満、喫煙、長期罹患疾患、糖尿病、高血圧などを調整した結果、画面前に座っている時間が2時間未満の群と比べ、4時間以上の群の心血管イベントおよび全死亡ハザード比(HR)はそれぞれ2.30、1.52と高かった。
画面前に座っている時間と心血管イベントの関係のおよそ25%はBMIやC反応性蛋白、HDLコレステロールと関係していた。
2011年2月16日水曜日
暴飲と心疾患リスク
フランスのトゥールーズ大学の研究で、英国北アイルランドのベルファストで見られる偏った飲酒文化が、同地域における心疾患の罹患率が高いことと関係している可能性があることがわかった。これに対し、今回の研究によると、比較対象となったフランス人男性は1週間を通じてより均等な割合でアルコール飲料を摂取する傾向にあるようだ。
飲酒が心疾患や早死につながることは既に知られている。しかし、飲酒パターンやアルコール飲料の種類によって、このような影響に違いが見られるか否かについては明らかにされていない。
そこで今回、文化の異なる北アイルランドとフランスの中年男性を対象に、酒の飲み方(飲酒パターン)が両地域での心疾患発症率の差と関係するか否かが検討された。
被験者データによると、ベルファストとフランスでは、1週間に消費されるアルコール飲料の量はほぼ同等であった。しかし、フランスの中年男性は週を通して習慣的に飲酒する傾向がある一方、ベルファストでは同じ量を1~2日で飲むなど飲酒パターンが異なる傾向が認められた。さらに、週末に飲酒する男性の割合は、フランスに比べてベルファストでは約2~3倍高いことが明らかになった。同地域ではほとんどの男性が週末の1日(土曜日)に集中して飲酒していたという。
研究開始から10年間にわたり、被験者の健康状態(受診,入院,治療など)をフォローアップした結果、年齢、喫煙、運動量、血圧、腹囲などの心血管疾患の危険因子とは独立して、暴飲している男性が心筋梗塞を来すあるいは心疾患が原因で死亡するリスクは、習慣的に飲酒している人の約2倍高いことがわかった。
さらにベルファストで心疾患リスクが高いもう1つの原因として、ワイン(27.4%)よりもビール(75.5%)やスピリッツ(蒸留酒,61.3%)が好まれる傾向を挙げている。これに対し、フランス人の多くはワインを飲んでいた(91.8%)。中等量のワイン摂取が心疾患を予防することは先行研究で実証されている。
暴飲は、心疾患リスクが増大するだけでなく、肝硬変やさまざまながんにも関連し、社会問題にもつながる。地中海諸国では、若年層が暴飲する傾向が強まっており、今回の研究は公衆衛生上重要な意味がある。公衆衛生の改善を図るために、中年男性に対しては、暴飲することによって、アルコール飲料の保護的効果がなくなるだけでなく、心筋梗塞リスクを高めることを知らせるべきであろう。その一方で、若年層に対しては、若者は心疾患リスクが低いため、同リスクに及ぼす影響について強調するよりも、アルコール中毒、飲酒が関与した傷害、暴行、悔いの残る性経験などに焦点を合わせた暴飲反対のメッセージを発信していく方が良いだろう。
飲酒が心疾患や早死につながることは既に知られている。しかし、飲酒パターンやアルコール飲料の種類によって、このような影響に違いが見られるか否かについては明らかにされていない。
そこで今回、文化の異なる北アイルランドとフランスの中年男性を対象に、酒の飲み方(飲酒パターン)が両地域での心疾患発症率の差と関係するか否かが検討された。
被験者データによると、ベルファストとフランスでは、1週間に消費されるアルコール飲料の量はほぼ同等であった。しかし、フランスの中年男性は週を通して習慣的に飲酒する傾向がある一方、ベルファストでは同じ量を1~2日で飲むなど飲酒パターンが異なる傾向が認められた。さらに、週末に飲酒する男性の割合は、フランスに比べてベルファストでは約2~3倍高いことが明らかになった。同地域ではほとんどの男性が週末の1日(土曜日)に集中して飲酒していたという。
研究開始から10年間にわたり、被験者の健康状態(受診,入院,治療など)をフォローアップした結果、年齢、喫煙、運動量、血圧、腹囲などの心血管疾患の危険因子とは独立して、暴飲している男性が心筋梗塞を来すあるいは心疾患が原因で死亡するリスクは、習慣的に飲酒している人の約2倍高いことがわかった。
さらにベルファストで心疾患リスクが高いもう1つの原因として、ワイン(27.4%)よりもビール(75.5%)やスピリッツ(蒸留酒,61.3%)が好まれる傾向を挙げている。これに対し、フランス人の多くはワインを飲んでいた(91.8%)。中等量のワイン摂取が心疾患を予防することは先行研究で実証されている。
暴飲は、心疾患リスクが増大するだけでなく、肝硬変やさまざまながんにも関連し、社会問題にもつながる。地中海諸国では、若年層が暴飲する傾向が強まっており、今回の研究は公衆衛生上重要な意味がある。公衆衛生の改善を図るために、中年男性に対しては、暴飲することによって、アルコール飲料の保護的効果がなくなるだけでなく、心筋梗塞リスクを高めることを知らせるべきであろう。その一方で、若年層に対しては、若者は心疾患リスクが低いため、同リスクに及ぼす影響について強調するよりも、アルコール中毒、飲酒が関与した傷害、暴行、悔いの残る性経験などに焦点を合わせた暴飲反対のメッセージを発信していく方が良いだろう。
2011年2月14日月曜日
親の喫煙
独ハイデルベルク大学の研究で、就学前の幼児(5,6歳)で親が喫煙している場合に、収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)が有意に上昇することがわかった。家族全体の生活習慣の改善が次世代の心血管リスクを改善するようだ。
調査は2007~08年、幼稚園の最終学年の4,236人(平均年齢5.7±0.4歳)を対象として実施。調査項目は血圧、高血圧に関連する可能性のある親の喫煙、身長、体重、胎児期、環境、家族などの危険因子だった。
その結果、父親の28.5%、母親の20.7%が喫煙しており、少なくとも片方の親が喫煙していたのは33.4%、両親とも喫煙していたのは11.9%だった。
子供の血圧は身長およびBMIと強い関連があり、肥満児ではやせ児よりSBP、DBPとも有意に高かった。また、早産あるいは低出生体重児では、正常出生体重児と比べSBPの有意な上昇が認められた。
親の高血圧や肥満、低い学歴や職業階級も子供の血圧の上昇に関連していた。親の喫煙は、非喫煙と比べ、子供のSBPを1.0mmHg、DBPを0.5mmHg上昇させていた。有意ではないが、女児より男児で影響が大きかった。
親の喫煙は、BMI、出生体重、親の高血圧といった潜在的交絡因子の調整後も子供のSBPに独立して影響しており、親の肥満、高血圧、喫煙の3つがそろった場合、危険因子がない場合と比べてSBPが3.2mmHg、DBPが2.9mmHg高かった。
調査は2007~08年、幼稚園の最終学年の4,236人(平均年齢5.7±0.4歳)を対象として実施。調査項目は血圧、高血圧に関連する可能性のある親の喫煙、身長、体重、胎児期、環境、家族などの危険因子だった。
その結果、父親の28.5%、母親の20.7%が喫煙しており、少なくとも片方の親が喫煙していたのは33.4%、両親とも喫煙していたのは11.9%だった。
子供の血圧は身長およびBMIと強い関連があり、肥満児ではやせ児よりSBP、DBPとも有意に高かった。また、早産あるいは低出生体重児では、正常出生体重児と比べSBPの有意な上昇が認められた。
親の高血圧や肥満、低い学歴や職業階級も子供の血圧の上昇に関連していた。親の喫煙は、非喫煙と比べ、子供のSBPを1.0mmHg、DBPを0.5mmHg上昇させていた。有意ではないが、女児より男児で影響が大きかった。
親の喫煙は、BMI、出生体重、親の高血圧といった潜在的交絡因子の調整後も子供のSBPに独立して影響しており、親の肥満、高血圧、喫煙の3つがそろった場合、危険因子がない場合と比べてSBPが3.2mmHg、DBPが2.9mmHg高かった。
2011年2月11日金曜日
カルシウムサプリメントと心筋梗塞
オークランド大学医学保健科学部の研究で、骨粗鬆症の高齢患者が摂取することの多いカルシウム(Ca)サプリメントは心筋梗塞リスクの増加に関連していることがわかった。今回の研究結果から、骨粗鬆症の管理におけるCaサプリメントの役割を見直す必要があることが示唆された。
Caサプリメントは骨を強化するために広く処方されている。しかし、その一方で、最近行われた試験から、健康な高齢女性では、Ca摂取によって心筋梗塞と心血管イベントの発生率が増加する可能性が示されている。
そこで研究チームは、この重大な問題をさらに詳しく調べるため、Caサプリメントの影響を検討した。
その結果、プラセボ群と比べCaサプリメントを摂取した群では心筋梗塞リスクが約30%上昇していた。また有意ではないが、脳卒中や死亡リスクも上昇していることが分かった。この結果はすべての試験で年齢、性およびサプリメントの種類を問わず一貫していた。
Caサプリメントは広範に使用されているため、リスクの上昇はわずかであっても、人口全体に及ぼす影響は大きくなる。
先行研究からは、食事から摂取したCaと心血管リスクの間に関連性は認められておらず、このリスクはサプリメントに限られることもわかっている。
Caサプリメントの骨密度や骨折予防に対する有益性がわずかであることを考慮すると、骨粗鬆症の管理におけるCaサプリメントの役割について見直す必要があるかもしれない。
Caサプリメントは骨を強化するために広く処方されている。しかし、その一方で、最近行われた試験から、健康な高齢女性では、Ca摂取によって心筋梗塞と心血管イベントの発生率が増加する可能性が示されている。
そこで研究チームは、この重大な問題をさらに詳しく調べるため、Caサプリメントの影響を検討した。
その結果、プラセボ群と比べCaサプリメントを摂取した群では心筋梗塞リスクが約30%上昇していた。また有意ではないが、脳卒中や死亡リスクも上昇していることが分かった。この結果はすべての試験で年齢、性およびサプリメントの種類を問わず一貫していた。
Caサプリメントは広範に使用されているため、リスクの上昇はわずかであっても、人口全体に及ぼす影響は大きくなる。
先行研究からは、食事から摂取したCaと心血管リスクの間に関連性は認められておらず、このリスクはサプリメントに限られることもわかっている。
Caサプリメントの骨密度や骨折予防に対する有益性がわずかであることを考慮すると、骨粗鬆症の管理におけるCaサプリメントの役割について見直す必要があるかもしれない。
2011年2月6日日曜日
ES細胞
様々な細胞に変化できる胚性幹細胞(ES細胞)を使って、心臓の拍動のリズムを刻むペースメーカー細胞を作ることに、鳥取大の再生医療研究チームがマウスを使って成功した。
細胞をマウスより大きいラットの弱った心臓に移植すると、心臓の拍動が活発になることも確認。人でも実現すれば、不整脈などの根本治療になると期待される。
心臓の拍動は、司令塔であるペースメーカー細胞(洞結節細胞)の電気信号が制御している。この電気信号に異常が発生すると不整脈となり、治療法として、電気刺激を与える心臓ペースメーカーの埋め込み手術がある。国内では年間約6万人がこの手術を受けるが、電磁波の影響を受けやすいほか自律神経の活動に合わせてリズムを変えられないなどの欠点があった。
細胞をマウスより大きいラットの弱った心臓に移植すると、心臓の拍動が活発になることも確認。人でも実現すれば、不整脈などの根本治療になると期待される。
心臓の拍動は、司令塔であるペースメーカー細胞(洞結節細胞)の電気信号が制御している。この電気信号に異常が発生すると不整脈となり、治療法として、電気刺激を与える心臓ペースメーカーの埋め込み手術がある。国内では年間約6万人がこの手術を受けるが、電磁波の影響を受けやすいほか自律神経の活動に合わせてリズムを変えられないなどの欠点があった。
2011年2月5日土曜日
動脈硬化
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーが「動脈硬化に関する意識」の調査結果を発表した。この調査は2010年12月上旬、国内に居住する40~70歳代の男女800名に対してインターネット上で行われたもの。
動脈硬化の危険因子有無について聞いたところ、「高血圧」が30.4%と最も多く、続いて「肥満」(24.1%)「脂質異常症」(18.1%)「喫煙習慣がある」(15.6%)「糖尿病」(11.8%)「過去に狭心症・心筋梗塞や脳卒中を起こした」(5.4%)の順となり、一つでも持っている人は64.5%にのぼった。この結果は、3人に2人が動脈硬化の危険因子を持っているということを示している。性別年代別で見た場合には、60代以上の男性においては8割が動脈硬化の危険因子を持っていることもわかった。
動脈硬化が起きる部位として知っているものについて聞いたところ、「心臓」(86.9%)「頭」(77.6%)という回答が多かったのに対し、「足」(32.1%)「首」(29.8%)「腹部」(17.1%)「腎臓」(8.9%)は昨年の調査結果同様、わずか約3割程度にとどまった。また、動脈硬化が起きる部位によっては5年後の生存率ががんより低いことを知っていると回答した人は15.1%で、動脈硬化の危険因子を持つ人においても、認知度はわずか16.7%であった。
全身に起きる動脈硬化は、部位によっては症状が出にくい場合もあり、発見や遅れによりQOL(Quality Of Life)の低下や生命予後を悪化させるケースもあり、注意が必要。
動脈硬化の危険因子有無について聞いたところ、「高血圧」が30.4%と最も多く、続いて「肥満」(24.1%)「脂質異常症」(18.1%)「喫煙習慣がある」(15.6%)「糖尿病」(11.8%)「過去に狭心症・心筋梗塞や脳卒中を起こした」(5.4%)の順となり、一つでも持っている人は64.5%にのぼった。この結果は、3人に2人が動脈硬化の危険因子を持っているということを示している。性別年代別で見た場合には、60代以上の男性においては8割が動脈硬化の危険因子を持っていることもわかった。
動脈硬化が起きる部位として知っているものについて聞いたところ、「心臓」(86.9%)「頭」(77.6%)という回答が多かったのに対し、「足」(32.1%)「首」(29.8%)「腹部」(17.1%)「腎臓」(8.9%)は昨年の調査結果同様、わずか約3割程度にとどまった。また、動脈硬化が起きる部位によっては5年後の生存率ががんより低いことを知っていると回答した人は15.1%で、動脈硬化の危険因子を持つ人においても、認知度はわずか16.7%であった。
全身に起きる動脈硬化は、部位によっては症状が出にくい場合もあり、発見や遅れによりQOL(Quality Of Life)の低下や生命予後を悪化させるケースもあり、注意が必要。
2010年12月8日水曜日
高血圧症への早期介入
米国のボストンにある病院で、正常血圧(140/90mmHg未満)の男女ティーンエージャーを対象とした研究を行った結果、正常血圧のティーンエージャーが、その後42歳までに高血圧を発症するリスクは、少女に比べて少年で3〜4倍であることが分かった。
今回の研究では、参加者2万6,980人(男性2万3,191人,女性3,789人)を対象に、青年期から壮年期までの血圧の自然経過について検討した。参加者の登録時の平均年齢は17.4歳で、42歳(平均)までの血圧値とBMIが追跡された。
その結果、追跡調査期間中に3,810例(14%)が高血圧を発症した。成人前の血圧値が正常範囲内であっても、その値が上限に近づくほど高血圧となる可能性が高まり、特に20歳代から30歳代にかけて高血圧を発症するリスクが高くなることが明らかになった。例えば、ティーンエージャー時に収縮期血圧が110mmHgであった群では、100mmHgであった群に比べて成人後の高血圧リスクが高かった。
この結果から、ティーンエージャー時の血圧値が、高血圧として定義されている値に比べてかなり低くても、将来の高血圧発症の予測因子となりうることが示唆された。
さらに、高血圧リスクには性差が認められ、17〜42歳の累積リスクは女性に比べて男性で3〜4倍であった。
また研究では、BMIと血圧との相互作用が検討された。その結果、男性では適正値と見なされるBMI(18.5〜25)も含め、BMIがどの範囲にあっても、成人後の高血圧リスクが増大していた。一方、女性では肥満のサブグループでのみ高血圧リスクが増大していた。この点については、女性ホルモンのエストロゲンは高血圧を予防する可能性が示唆されており、このことが影響したと考えられた。
さらに研究の結果、青年期に既に正常体重の上限に達し、収縮期血圧が110mmHg以上であった群では、高血圧リスクは1年当たり約1%の割合で増大する。つまり、この群の約10%は30歳になるまでに高血圧を発症することになる。高血圧、心疾患、糖尿病の予防に向けたライフスタイルの改善と介入を開始するのに早過ぎるということはない。高血圧や心疾患の予防は高齢者だけの問題ではない。血圧と体重の変化を小児科医が警告としてとらえ、できるだけ早期から予防措置を講じるべきであろう。「予防に勝る治療なし」である。
今回の研究では、参加者2万6,980人(男性2万3,191人,女性3,789人)を対象に、青年期から壮年期までの血圧の自然経過について検討した。参加者の登録時の平均年齢は17.4歳で、42歳(平均)までの血圧値とBMIが追跡された。
その結果、追跡調査期間中に3,810例(14%)が高血圧を発症した。成人前の血圧値が正常範囲内であっても、その値が上限に近づくほど高血圧となる可能性が高まり、特に20歳代から30歳代にかけて高血圧を発症するリスクが高くなることが明らかになった。例えば、ティーンエージャー時に収縮期血圧が110mmHgであった群では、100mmHgであった群に比べて成人後の高血圧リスクが高かった。
この結果から、ティーンエージャー時の血圧値が、高血圧として定義されている値に比べてかなり低くても、将来の高血圧発症の予測因子となりうることが示唆された。
さらに、高血圧リスクには性差が認められ、17〜42歳の累積リスクは女性に比べて男性で3〜4倍であった。
また研究では、BMIと血圧との相互作用が検討された。その結果、男性では適正値と見なされるBMI(18.5〜25)も含め、BMIがどの範囲にあっても、成人後の高血圧リスクが増大していた。一方、女性では肥満のサブグループでのみ高血圧リスクが増大していた。この点については、女性ホルモンのエストロゲンは高血圧を予防する可能性が示唆されており、このことが影響したと考えられた。
さらに研究の結果、青年期に既に正常体重の上限に達し、収縮期血圧が110mmHg以上であった群では、高血圧リスクは1年当たり約1%の割合で増大する。つまり、この群の約10%は30歳になるまでに高血圧を発症することになる。高血圧、心疾患、糖尿病の予防に向けたライフスタイルの改善と介入を開始するのに早過ぎるということはない。高血圧や心疾患の予防は高齢者だけの問題ではない。血圧と体重の変化を小児科医が警告としてとらえ、できるだけ早期から予防措置を講じるべきであろう。「予防に勝る治療なし」である。
2010年10月11日月曜日
血管の若返り
若いラットの骨髄を老ラットに移植することで、全身の血管の機能を若返らせることに国立循環器病研究センターや愛媛大、兵庫医大のチームが成功し。
チームによると、ヒトに応用できれば、へその緒にある臍帯血や、若いときに採取した自分の骨髄細胞を保存することで、年をとってから血管の機能を若返らせることができる可能性がある。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、移植する骨髄細胞を作ることも考えられる。
チームは生後4週の若いラットから採った骨髄を、生後50週の老ラットに移植。30日後、血液中の約5%の細胞が若いラット由来となり、60日後の死亡率が半分以下となった。
調べると、移植したラットでは血管の密度が増え、機能が向上。人為的に脳梗塞を起こしても障害の範囲が小さく、周囲の血管の数も移植をしていないラットに比べ約1・5倍多かった。
血管の老化が原因となる脳血管性認知症や多発性脳梗塞などの治療や予防につながり、高齢化社会を迎えている日本にとって重要な成果といえる。
チームによると、ヒトに応用できれば、へその緒にある臍帯血や、若いときに採取した自分の骨髄細胞を保存することで、年をとってから血管の機能を若返らせることができる可能性がある。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、移植する骨髄細胞を作ることも考えられる。
チームは生後4週の若いラットから採った骨髄を、生後50週の老ラットに移植。30日後、血液中の約5%の細胞が若いラット由来となり、60日後の死亡率が半分以下となった。
調べると、移植したラットでは血管の密度が増え、機能が向上。人為的に脳梗塞を起こしても障害の範囲が小さく、周囲の血管の数も移植をしていないラットに比べ約1・5倍多かった。
血管の老化が原因となる脳血管性認知症や多発性脳梗塞などの治療や予防につながり、高齢化社会を迎えている日本にとって重要な成果といえる。
2010年10月8日金曜日
心外膜脂肪と心房細動
心外膜脂肪量が、発作性・持続性心房細動のリスク因子であり、心房細動の発症と強く関連していることが、米国Loyola大学メディカルセンターの研究で明らかにされた。心外膜脂肪は炎症性の性質を有する内臓脂肪組織である。炎症と肥満が心房細動に関連することは明らかになっているが、心外膜脂肪と心房細動との関連については明らかになっていなかった。
研究では、患者273例について、CTを用いて心外膜脂肪量の測定を行った。被験者の内訳は、心房細動患者197例(発作性126例、持続性71例)と、洞調律76例(対照群)だった。
研究の結果、心外膜脂肪量は、心房細動群101.6±44.1mLで、対照群の76.1±36.3mLに比べ、有意に多かった。
発作性心房細動群の心外膜脂肪量は93.9±39.1mLで、対照群の76.1±36.3mLに比べ、有意に多かった。
持続性心房細動群の心外膜脂肪量は115.4±49.3mLで、発作性心房細動群の93.9±39.1mLに比べ、有意に多かった。
心外膜脂肪量は、心房細動発症について、年齢、高血圧、性別、左房肥大、心臓弁膜症、左室駆出分画、糖尿病、BMIとは独立したリスク因子だった。
本研究は、心臓周囲の脂肪量が、これまで明らかにされていたリスクや左房負荷とは独立して心房細動のリスクとなることを示した興味深いものである。
また、異所性脂肪が周辺臓器の局所環境を変え、心血管リスクを増強する可能性を示唆している。
これまでに、心臓周囲、特に冠動脈周囲の脂肪が、肥満とは独立して冠動脈疾患のリスクになることが知られている。 心臓周囲の脂肪は内分泌・炎症機能を有し、直接的に心筋や冠動脈に影響を与える可能性が指摘されている。
これまでの疫学研究では、心房細動の新規リスクとして、内臓型肥満や炎症反応が報告されていたが、本研究では局所脂肪量を定量測定し、心房細動のリスクとの関連を明らかにした点に新規性がある。
しかし、どのような局所機序により心臓周囲の脂肪が心房細動のリスクとなるかは不明である。
左房負荷の指標である左房系と独立して心房細動心臓周囲の脂肪量は左房径の拡大と正相関を示していることから、脂肪細胞のから直接的炎症性サイトカインの分泌が左房リモデリングを進行させている可能性があるが、今後、自律神経を含めた機序の検討が待たれる。
研究では、患者273例について、CTを用いて心外膜脂肪量の測定を行った。被験者の内訳は、心房細動患者197例(発作性126例、持続性71例)と、洞調律76例(対照群)だった。
研究の結果、心外膜脂肪量は、心房細動群101.6±44.1mLで、対照群の76.1±36.3mLに比べ、有意に多かった。
発作性心房細動群の心外膜脂肪量は93.9±39.1mLで、対照群の76.1±36.3mLに比べ、有意に多かった。
持続性心房細動群の心外膜脂肪量は115.4±49.3mLで、発作性心房細動群の93.9±39.1mLに比べ、有意に多かった。
心外膜脂肪量は、心房細動発症について、年齢、高血圧、性別、左房肥大、心臓弁膜症、左室駆出分画、糖尿病、BMIとは独立したリスク因子だった。
本研究は、心臓周囲の脂肪量が、これまで明らかにされていたリスクや左房負荷とは独立して心房細動のリスクとなることを示した興味深いものである。
また、異所性脂肪が周辺臓器の局所環境を変え、心血管リスクを増強する可能性を示唆している。
これまでに、心臓周囲、特に冠動脈周囲の脂肪が、肥満とは独立して冠動脈疾患のリスクになることが知られている。 心臓周囲の脂肪は内分泌・炎症機能を有し、直接的に心筋や冠動脈に影響を与える可能性が指摘されている。
これまでの疫学研究では、心房細動の新規リスクとして、内臓型肥満や炎症反応が報告されていたが、本研究では局所脂肪量を定量測定し、心房細動のリスクとの関連を明らかにした点に新規性がある。
しかし、どのような局所機序により心臓周囲の脂肪が心房細動のリスクとなるかは不明である。
左房負荷の指標である左房系と独立して心房細動心臓周囲の脂肪量は左房径の拡大と正相関を示していることから、脂肪細胞のから直接的炎症性サイトカインの分泌が左房リモデリングを進行させている可能性があるが、今後、自律神経を含めた機序の検討が待たれる。
2010年9月25日土曜日
カルシウム・サプリメント
サプリメントとしてのカルシウムの使用により、心筋梗塞のリスクが有意に増大することが、ニュージーランド・オークランド大学の研究でわかった。カルシウムは高齢者の骨格系の健康維持を目的としたサプリメントとして一般的に用いられている。ところが、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクを増大させる可能性があることが示唆された。
研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に解析を行った。
1966年~2010年3月までのデータを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関する試験を抽出した。
解析の結果、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた。
また、別の試験解析でも、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた。
これらの研究により、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった。この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務であろう。
研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に解析を行った。
1966年~2010年3月までのデータを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関する試験を抽出した。
解析の結果、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた。
また、別の試験解析でも、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた。
これらの研究により、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった。この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務であろう。
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