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2014年7月11日金曜日

VDT作業

近年では,モニター画面を注視して行うVDTVisual Display Terminal)作業の普遍化,24時間化が進み,長時間のVDT作業による筋骨格系障害が増加している。この度「VDT作業による障害の予防には体を動かす能動的休憩が重要であり,慢性化した障害や疼痛には「新経絡療法」が有用である。」と日本産業衛生学会で報告された。
VDT作業による負担の特徴として①座り続ける(姿勢の負担)②体の大部分はほとんど動かさずに指のみが高度な反復運動を行う作業(手指の負担)③絶え間なく注意を必要とする精神的負担④スクリーン上に再生された質の悪い文字を見るための視覚的な負担−などを挙げられる。これらの負担が,腰痛や頸肩腕障害などの筋骨格系障害の増加につながるという。
 ヒトの片腕の重さは体重の58%で,キー入力やマウス操作などで腕を宙に浮かして保持した場合,腕の重さを支える肩の筋肉に大きな負担がかかる。これがVDT作業による頸肩腕障害の大きな原因で,予防のためには腕の重さを支えるアームレストが重要である。
 アームレストは,キーやマウス操作時に前腕を幅広く支持し,肩甲帯や手首の負担を軽減。手前方向に傾斜があれば,肩が上がることもない。座位では腰に負担がかかり,前かがみになるとなおさらであるが,アームレストにより前かがみ姿勢を避けることもできる。
固定座位には単一の理想的な姿勢というものはなく,最適に設計された椅子においても,1日中同一の姿勢で座ると腰背部の痛みが起こる。同じ姿勢を長時間継続することが問題で,循環障害や筋疲労から筋肉性腰痛につながる。腰椎の固定による椎間板栄養障害からは椎間板ヘルニアを発症することもある。
 自然な姿勢の交代が可能な座面傾動椅子(座ると座面がモーターで前後にゆっくりと傾動する)などの導入により姿勢の負担は軽減されるが,費用がかかるという面もある。椅子より安価な傾動クッションも有用である。同クッションは3層構造と硬質ボードにより体動の促進が可能。
 2時間のVDT作業で傾動クッションの有無により①眼の疲労,頸肩腕,腰背,臀部,下肢の疼痛および眠気②体幹の動揺③総入力文字数と誤入力文字率−について差があるかどうかについて調べた研究がる。
 その結果,眼の疲労,頸肩背中,臀部,下肢の疼痛,眠気についてはクッションありで有意に低下した。特に腰痛では顕著で,クッションにより半減した。体幹傾動時の最大張力についても,クッションありで有意に低下していた。総入力文字数については有意な差は認められなかったが,誤入力文字率については有意差が認められた。傾動クッションは,体幹部の傾動促進によりVDT作業による腰痛などの症状や誤入力を軽減することが示唆された。
VDT作業障害の予防に有用なアームレスト,座面傾動椅子,傾動クッションなどを導入できない環境では,最長でも1時間に1回の休憩を入れ,作業中に使っていない筋肉を意識して動かすべきである。
 VDT作業障害に対する基本的な対策は能動的休憩(作業しながらの休憩)である。VDT作業で使用している筋肉を休め,作業中に使っていない筋肉を動かすことが重要だ。できるだけ大きな筋肉を動かすことが望ましく,歩くことが一番適している。
VDT作業が当たり前になった現代の産業現場では疼痛性疾患が多発しており,環境が改善しても慢性化した頸肩腕障害や腰痛は治らないため,作業改善と作業関連疾患に有効な疼痛治療の必要性がある。最近30年間の研究では,腰痛などの慢性疼痛に対して,鍼治療の科学的有効性と優位性が確立されている。
 鍼治療より手軽な新経絡療法(鍼ではなく棒で押す治療)を提案した。経絡というツボのネットワークを刺激して全身のエネルギーの流れを調整し,疼痛,自律神経障害などの治療を行う新経絡療法には①設備が不要で安全,容易,有効な医療技術②作業関連性筋骨格系障害の治療に従来治療より優位性がある③産業医,保健師でも習得でき,容易に使用可能−という特徴がある。

 新経絡療法は疼痛疾患だけでなく中枢性疾患にも有効で,不眠,めまい,パニック障害などの治癒も報告されている。また,同療法は低コスト,低副作用で鎮痛効果が高く,産業保健に適した治療法である。新経絡療法の産業保健への導入が望まれる。

2014年7月6日日曜日

筋力低下から骨折への悪循環

整形外科では、変形性関節症や骨粗鬆に伴う、椎体の圧迫骨折による疼痛を訴える高齢者が多い。高齢者は、心疾患や呼吸器疾患のために運動が制限されることが多く、筋力低下は避けられない。筋力が低下すれば関節に負担がかかり、痛みの元となる。そして、痛いから動かない。動かないからますます筋力が低下して、痛みが増すという悪循環の中で、日常生活動作が低下して、さらに骨粗鬆化も進んで、転倒骨折の頻度が高くなるという結果を招いている。骨粗鬆症を予防することは、整形外科診療の中で非常に重要な治療のひとつであると考えている。
日常できる予防法
骨粗鬆症の治療手段は医師によってさまざまであるが、普段の食事からカルシウムやその吸収を助けるビタミンDを積極的に摂取すること、そして、何にも増して重要なのが、日ごろから運動を心がけることである。太陽に当たることは、摂取したビタミンDを人間にとって役に立つように活性化させると同時に、運動することは、骨に縦の力を加えて骨形成を促進させる。さらに筋力を鍛えることによって、関節への負担が減り、また関節周囲の靭帯を柔らかくして、関節の拘縮を予防することができる。その結果、転倒による骨折の頻度を低下させることも可能だ。
薬物療法

核家族化が進み、高齢者世帯が増えている現在、栄養バランスの取れた食事をすることが困難なケースが多くなっている。そこで、副作用が少なく、飲み忘れを気にすることなく長期に服用できる、活性型ビタミンD3製剤の処方が第1選択となる。

2011年3月2日水曜日

ビタミンDサプリメント

ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常な小児、青少年の骨密度に利点をもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、オーストラリア・タスマニア大学の研究で明らかになった。ビタミンDの欠乏はごく一般的にみられる状態だが、小児における潜在的なビタミンD欠乏は骨に悪影響を及ぼす可能性があるという。
研究グループは、小児、青少年の骨密度に及ぼすビタミンDサプリメントの効果を検討し、用量などの因子による効果の変動について評価した。
生後1ヵ月から20歳未満までの健常小児、青少年を対象に、ビタミンDサプリメントを3ヵ月以上投与して骨密度を評価した。
前腕、股関節、腰椎の骨密度および全身骨塩量のベースラインからの変化率を算出し、性別、思春期ステージ、ビタミンDの用量、ベースラインの血清ビタミンD濃度に関する解析を行った。
解析の結果、全身骨塩量、股関節・前腕の骨密度に対するビタミンDの有意な効果はみられなかった。腰椎の骨密度に対しては、わずかに有効な傾向が認められた。
血清ビタミンD濃度別の比較では、高値例と低値例で効果は同等であったが、全身骨塩量については低値例で効果が大きい傾向がみられた。
血清ビタミンD濃度低値例では、全身骨塩量と腰椎骨密度に対するビタミンDの有意でおおよそ同等な効果を認めた。
結論として、ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度に利点をもたらす傾向は認めなかった。しかし、血清ビタミンD濃度による解析では、ビタミンDが欠乏した小児、青少年において、サプリメントは特に腰椎骨密度と全身骨塩量に対する臨床的な改善効果を示した。

2010年6月17日木曜日

さする

打撲したり骨折したりした場合に痛む場所を「さする」という動作には、傷ついた神経回路を修復する効果があることが、群馬大大学院の研究でわかった。研究では、神経細胞にあって熱を感じるセンサーの役割を果たすタンパク質「TRPV2」に注目。マウスやニワトリの細胞を使った実験で、TRPV2があると、TRPV2をなくした細胞に比べて、刺激を伝える神経の「突起」という部分が長く伸びた。「さする」行為と同様の刺激を与えるため、TRPV2がある人間の神経細胞を載せた膜を引っ張ると、細胞が反応することを確認。TRPV2が物理的な刺激を受け止めるセンサーの役割を果たし、人間でも突起が伸びて神経が再生するのを促していると考えられるという。将来、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞などを使った再生医療技術と組み合わせると、効果的な神経再生に役立つ可能性があるのではないかとしている。