ラベル 感染症 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 感染症 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年8月6日水曜日

ノロウイルス

急性胃腸炎に起因した死亡は世界で年間約145万例と推定されており,全ての年齢層でその主要な原因とされているのがノロウイルスである。米疾病対策センター(CDC)は,200814年に報告されたノロウイルスに関する175件の調査を実施。日本を含む48カ国の急性胃腸炎患者約19万例という過去最大規模のデータの解析から,急性胃腸炎の約2割はノロウイルスが原因であることが示唆された。
2008年に報告された19902008年発表の研究では,急性胃腸炎の散発例の12%がノロウイルスと関連するとの解析結果が示された。
 また最近,分子診断の普及により,急性胃腸炎に対するノロウイルスの影響に関する報告が相次いでいる。今回の研究では,より幅広い地域・国の最新データを用いてノロウイルスに起因した急性胃腸炎の割合を明らかにした。
 175研究のうち26研究は高死亡率に分類される発展途上国からの報告で,それらは主に5歳未満,異年齢,あるいは入院患者を対象としていた。最終的に,日本を含む48カ国の187,336人が解析の対称となった。
その結果,急性胃腸炎患者にノロウイルス感染者が占める割合は18%だった。また入院患者,市中患者,外来患者に分類して解析したところ,同割合は入院患者17%に比べて市中患者24%や外来患者20%で高い傾向が認められた。
 さらにノロウイルスが原因の急性胃腸炎が占める割合は,高死亡率の発展途上国14%に比べて低死亡率の発展途上国19%や先進国20%で高い傾向にあった。
 一方,年齢層別では5歳未満で18%,5歳以上で18%,全年齢では19%で,年齢層による感染率の違いは認められなかった。

急性胃腸炎患者にノロウイルス感染例が占める割合は発展途上国よりも先進国で高いことが示された点について,低所得国では多様なバクテリアや寄生性病原体による急性胃腸炎の罹患率が高いことが背景にあるのではないかと考察された。また,ノロウイルスは,水質改善や食品衛生によって管理することができないとし,ワクチン開発の重要性が強調された。

2014年7月20日日曜日

Helicobacter pylori

Helicobacter pyloriH. pylori)保菌率の高い高齢者と接する機会の多いリハビリテーション(以下リハビリ)職員のH. pylori陽性率が就労年数に伴って上昇していることが,第20回日本ヘリコバクター学会学術集会のシンポジウム「H. pylori感染症の問題点を探る」で報告された。筑波記念病院(茨城県つくば市)副院長の池澤和人氏(消化器内科)が同施設の職員を調べた結果導いたもので,まれと認識されていた成人期のH. pylori感染の可能性を示唆する調査結果として注目される。
高校の卒業式や成人式でH. pylori感染を診断,治療するという試みが各地で行われているが,これはH. pyloriの感染ルートは小児期の唾液を介した家庭内感染が主であり,成人期の感染は少ないとの知見に基づく方策といえる。一方で,プライマリケアに携わる看護系スタッフや内視鏡検査医などが,一般に比べて感染率が高いとの報告もあり,成人後の感染成立が否定できないことを示すデータとして検証が望まれていた。
 池澤氏は,H. pyloriを保菌している可能性が高い高齢入院患者と濃厚に接触しているリハビリ職員において,就労年数がH. pylori感染率に及ぼす影響について調査を行った。
 同施設の40歳未満の職員のうち,リハビリ職員209人および非リハビリ職員22人の尿中抗体を用いてH. pylori診断を行った。過去の除菌歴,腎疾患の既往および尿蛋白陽性者は除外したという。
 今回の研究に同意したリハビリ職員173人(男性98人,女性75人;平均年齢27.5歳,平均就労年数4.4年)のH. pylori陽性率は16.2%(男性14.3%,女性20.0%)であった。
 就労期間から12年,34年,56年,6年超の4群に分けて陽性率を見ると,それぞれ5.0%,12.0%,17.6%,28.6%であり,就労が長期の群で有意に陽性率が高かった。職種別では,患者の唾液・胃液の曝露を受けやすい言語聴覚士の感染率が26.3%と高かったが,作業療法士16.3%,理学療法士15.3%との間に有意差は認められなかった。
 一方で,対照とした非リハビリ職員(薬剤師12人,放射線技師10人、平均年齢27.2歳,平均就労年数4.5年)のH. pylori陽性は1人(4.5%)のみだった。リハビリ職員と非リハビリ職員との間には陽性・陰性例ともに両親・祖父母との同居期間に差はなく,今回の検討には肉親からの影響は少ないと考えられた。

 若いときにH. pylori陰性の診断を受けても,就労環境によっては成人感染することを示唆する結果であり,今後は陰性者のサーベイランスを行い,追跡する必要があるようだ。

2014年7月8日火曜日

A群溶血性レンサ球菌感染症

A群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こします。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がります。これら以外にも中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こします。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られています。さらに、発症機序、病態生理は不明ですが、軟部組織壊死を伴い、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群)は重篤な病態として問題です。ここでは、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について述べます。
<疫学>
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得ますが、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少ないです。感染症発生動向調査のデータによると、冬季および春から初夏にかけての2 つの報告数のピークが認められています。近年、全体の報告数が増加する傾向にありますが、迅速診断キットの普及などで診断技術が向上したことによる可能性もあります。
 本疾患は通常、患者との接触を介して伝播するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多いです。感染性は急性期にもっとも強く、その後徐々に減弱します。急性期の感染率については兄弟での間が最も高率で、25%と報告されています。
<症状>
潜伏期は25日ですが、潜伏期での感染性については不明です。突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴います。咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがあります。
 猩紅熱の場合、発熱開始後12 24 時間すると点状紅斑様、日焼け様の皮疹が出現します。針頭大の皮疹により、皮膚に紙ヤスリ様の手触りを与えることがあります。特に腋窩、ソケイ部など皮膚のしわの部分に多く、これに沿って線が入っているようにみえることもあります。顔面では通常このような皮疹は見られず、額と頬が紅潮し、口の周りのみ蒼白にみえる(口囲蒼白)ことが特徴的です。また、舌の変化として、発症早期には白苔に覆われた舌がみられ、その後白苔が剥離して苺舌となります。1週目の終わり頃から顔面より皮膚の膜様落屑が始まり、3週目までに全身に広がります。
 合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもあります。
<治療・予防>
治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬ですが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となり、またセフェム系薬剤も使用可能です。いずれの薬剤もリウマチ熱、急性糸球体腎炎など非化膿性の合併症予防のために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要です。
予防としては、患者との濃厚接触をさけることが最も重要であり、うがい、手洗いなどの一般的な予防法も励行します。接触者に対する対応としては、集団発生などの特殊な状況では接触者の咽頭培養を行い、陽性であれば治療を行います。
本疾患は適切な抗生剤治療が行われれば、ほとんどの場合24時間以内に他人への伝染を防げる程度に病原菌を抑制できることもあり、登校登園については、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。


2014年7月7日月曜日

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎で、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。
疫学>
我が国では毎年5 月頃より増加し始め、67月にかけてピーク を形成し、8月に減少、910月にかけてほとんど見られなくなります。国内での流行は例年西から東へと推移します。患者の年齢は4歳以下 がほとんどで、1歳代がもっとも多く、ついで2340歳代の順となります。
<症状>
 24 日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径12mm 、場合により大きいものでは5mmほどの紅暈で囲まれた小水疱が出現します。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴います。発熱については2 4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失します。発熱時に熱性けいれん伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがありますが、ほとんどは予後良好です。
 まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがあります。前者の場合には発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきですが、項部硬直は見られないことも多いです。後者に関しては、心不全徴候の出現に十分注意することが必要です。鑑別診断として、ヘルペスウイルスによる歯肉口内炎(口腔病変は歯齦・舌に顕著)、手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多い)などがあげられます。
<症状から疑い診断>
下記の症状や所見から当該疾患が疑われます。
  1. 突然の高熱での発症
  2. 口蓋垂付近の水疱しんや潰瘍や発赤
<治療・予防>
通常は対症療法のみで、発熱や頭痛などに対しては解熱・鎮痛剤などを用いることもあります。時には脱水に対する治療が必要なこともあります。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要ですが、後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれます。
 特異的な予防法はがありませんが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどです。

本症では、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあるので、急性期のみの登校登園停止による学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができません。本症の大部分は軽症疾患であり、登校登園については手足口病と同様、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。

2014年7月5日土曜日

はしか(麻しん)

はしかの患者が国内で急増しています。国立感染症研究所のまとめでは、4月初めまでで、既に昨年1年間の患者数を上回り、さらに拡大する恐れがあります。
重症化しやすい上に、感染すると有効な治療薬がないため、感染研ではワクチン接種の徹底を呼びかけています。
「はしかとは、どのような症状が出るのですか。」
感染すると約10日間の潜伏期間を経て、発熱や鼻水、せきなど風邪のような症状が出てきます。その後、39度前後の高熱と発疹が1週間以上続き、口の粘膜にブツブツも現れます。免疫力の低下が数週間続くので、ほかの病気にもかかりやすくなります。
「重い症状に苦しむ人も多いそうですね。」
はしかは重症化しやすく、感染者の3割が合併症を起こすと言われています。合併症の半数は肺炎で、ほかに中耳炎、脳炎、心筋炎などを起こすこともあります。栄養状態が悪かったり、別の病気を治療中で免疫力が低下していたりすると、重症化しやすく、死に至ることさえある危険な病気です。

「どのように感染するのですか?」
はしかは感染力が強く、同じ部屋にいるだけで空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染する空気感染を起こします。せきやくしゃみなどによる飛沫感染や、ウイルスが付いたものに触り、口から入って感染することもあります。高熱や発疹が出ていない初期に最も感染力が高いため、感染に気づかずに行動し、多くの人に広げてしまうのも問題なのです。
「今年は流行しているそうですね。」
感染研によると、昨年1年間の患者数232人を4月初めの時点で既に追い抜き、5月8日現在で患者数は324人に達しました。今年初めにフィリピンなどはしかの流行国に渡航した人が帰国後に発症する例が散発し、その後、海外から持ち込まれたウイルスが国内で感染を広げています。
「治療法はないのですか?」
有効な治療薬はありません。感染を予防するワクチン接種しか打てる手立てがありません。

「ワクチンはどのようなものですか?」
はしかの単独ワクチンと、はしかと風疹の混合ワクチン(MRワクチン)があります。1回の接種で95%の人が免疫を獲得し、2回接種すればほぼ全員が免疫を得ることができるため、2回接種が推奨されています。国の予防接種法に基づき、06年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まりましたが、今年の患者の19%は1~4歳が占め、その多くが予防接種を受けていなかったなど接種が徹底されていないことがわかっています。
「副作用が心配です。」
ワクチン接種後に最も多く見られるのは発熱です。発疹やじんましんが出る人も数%おり、発熱に伴うけいれんを起こす人も約0・3%見られます。まれに、脳炎・脳症が100万~150万人に1人以下の頻度で報告されていますが、ワクチンとの因果関係がはっきりしていないケースも含まれています。重いアレルギーのある人は、ワクチンに含まれる成分でアレルギー反応が起きる可能性もあるので、医師に相談してください。
「予防接種はどこでどのような場合に受けられますか?」
内科、小児科などがある医療機関で免疫があるかどうか調べる抗体価検査やワクチン接種が受けられます。妊婦が感染すると流産や早産の原因となりますが、妊娠中は受けられません。予防接種法に基づく子どもの接種は自治体の補助がありますが、その他の場合は原則、全額自己負担になります。周囲ではしかが流行しているようなら、近くの医療機関に相談してみると良いでしょう。

2014525 読売新聞より)

2011年6月30日木曜日

土食

故意に土を食べるという概念はほとんどの人に嫌悪感をもたらすものかもしれないが、この慣習の歴史は古く、実際、健康的なものであると考えている人もいることが新しい研究で示された。既存の研究を分析した結果、土食は、細菌や寄生虫といった侵入者から身体を守る可能性があるという。
ヒトは何千年も前から土を食べており、住民のいる全大陸、ほとんどすべての国で報告されている。土を食べる理由を明らかにするため、米コーネル大学は、土食の文化に関する報告480件以上を調べ、パターンを検討した。
研究の結果、豊富に食物があっても土を食べ(通常、最初は煮る)、満腹になるほどは食べない傾向があることが判明した。栄養については、最もよく食べられる土は粘土の一種で、ミネラルは含まれていない。実際、摂取された粘土により消化管による栄養摂取が阻害される可能性があることが判明した。
米コーネル大学は、土が寄生虫や病原菌から身体を守る、身体防御というのが最良の回答であると考えており、土食が寄生虫や細菌に特に弱い妊娠初期の女性や思春期前の小児に最も多くみられることを指摘。この理論は、土食は食物が媒介する病原菌が最も多い熱帯地方で最も一般的であり、胃腸障害が認められる場合に土を食べたがることにより裏付けられる。

2011年2月18日金曜日

ビフィズス菌

理化学研究所、東京大学、横浜市立大学の研究チームは、ヒトの腸内にいるビフィズス菌の作り出す酢酸が病原性細菌である腸管出血性大腸菌O157の感染抑止に役立つことを発見した。異物からのバリア機能をもつ大腸下部の腸管上皮に酢酸が間接的に作用すると、O157に対する抵抗力が増強、予防機能を発揮するという。
ビフィズス菌は、ヒト腸内に常在する乳酸菌の仲間。善玉菌として有害菌の増殖を抑え、腸内環境を整えるなど健康維持によいとされる。
研究チームは、マウスにO157を感染させ、ビフィズス菌の感染予防効果を調査。O157感染前に、経口投与すると感染死が起きないビフィズス菌(予防株)3株と感染死するビフィズス菌(非予防株)2株のあることを確認したうえで、その違いは腸内で産生される代謝物の異なることが関与しているとみて解析をスタート。
解析作業では、まずビフィズス菌投与直後にマウス糞便を解析。予防株投与群では非予防株投与群に比べ、ブドウ糖など糖類が消費され半分に減少。これにともない、短鎖脂肪酸の1つ酢酸の量が約2倍高いことがわかった。
酢酸には、異物侵入のバリアとして働く腸粘膜上皮の増殖・保護作用があることを踏まえ、次に腸粘膜上皮の解析を行った。予防株投与群では細胞エネルギー代謝や抗炎症作用に関する遺伝子群の発現量が非予防株投与群よりも2~3倍高かった。酢酸の効果によりバリア機能が高まることがわかった。大腸の下部で果糖から効率よく酢酸が作られると腸粘膜上皮が保護される。これによりO157の毒素による腸粘膜上皮の細胞死を減らし、結果としてO157による炎症や感染死を予防できることが示唆された。

2011年2月17日木曜日

インフル、ピーク越え

国立感染症研究所の報告によると、インフルエンザ患者はやや減少してきたようだ。流行のピークはすぎつつあるが、流行の規模はまだ大きいため引き続き注意が必要とのこと。今後はB型の患者が増える可能性もあるようだ。
都道府県別で流行が大きかったのは、長崎、宮崎、群馬、福岡の順。これまで流行が大きかった関東、九州地方を含め、33都府県で患者数が減少しているという。
直近5週間に検出されたウイルスは新型が最も多く、季節性のA香港型、B型の順。
厚労省の担当者によると、学校の中での流行拡大は収まりつつあるようだが、依然まん延状態には変わりはない。引き続き注意が必要なようだ。

2010年12月14日火曜日

掃除機内のノロウイルス

今冬、流行が本格化しはじめたノロウイルスに、掃除機内のゴミから感染する危険性が高いことが分かった。患者の便や吐物から広がる「第三の感染経路」だ。掃除機がウイルスがついた室内のほこりを吸い集めて濃縮するためとみられる。ゴミを0.1ミリグラム程度吸い込むだけで感染・発症する可能性がある。研究者は、掃除機のゴミ処理後は、必ず手洗いとうがいをと呼びかけている。
ノロウイルスは、患者の便や吐物から空気中のちりやほこりにくっついて感染を広げる性質がある。
長野県環境保全研究所感染症部の研究員らは、掃除機がほこりを集めて濃縮する機能があることに注目し、47の一般家庭で掃除機内のゴミを調べた。すると2家庭からゴミ1グラムあたり最大約50万個のウイルスが見つかった。ウイルスは18~30日間にわたって出続けた。どちらの家庭もその2~4週間前に家族が発症していた。この患者の便などから家庭内のほこりにウイルスが拡散し、掃除機で濃縮されたと見られる。
ノロウイルスは10~100個で発症する。今回の結果によると、掃除機内のゴミ約0.1ミリグラムで発症する危険があることになる。
研究によると、掃除機のゴミを不適切に処理すると感染源になる危険性が高いという。感染を防ぐポイントとして、ゴミを処理する時に(1)屋外で取り出す。できればマスクや使い捨て手袋を使う(2)すぐポリ袋などに入れて封をする(3)処理後は手を洗い、うがいをする、などを挙げている。

2010年12月13日月曜日

インフルエンザ今年の傾向

インフルエンザが流行の兆しを見せている。国立感染症研究所が全国約5000医療機関を対象にした調査では、5週連続で患者数が増加。
北海道と宮崎県は流行入りの目安となる1医療機関当たりの患者数1人を超えた。今シーズン、流行はどうなるのか。
新型インフルエンザが流行した昨シーズンは、2000万人以上出た患者のほとんどが新型によるものだった。今シーズンは今のところ、季節性のA香港型が目立っている。最近5週間では検出ウイルスの約7割を占め、南半球でもA香港型の流行が見られた。
A香港型は乳幼児に脳症や脳炎を、高齢者には肺炎を起こすなど、季節性の中でも大きな被害が出やすいため、季節性だからと言ってあなどってはいけない。
11月には秋田県北秋田市の病院で集団感染があり、入院患者8人が死亡した。A香港型が流行した1999年には、高齢者を中心に3万2000人が国内で死亡したと推定された。過去3シーズンは大きな流行がなかったので国民の免疫が低下している可能性もある。
では、新型はどうなるのだろうか。昨シーズン、新型に感染して亡くなったのは約200人。季節性では毎シーズン、数千人~数万人が死ぬのに比べて格段に少なかった。だが、日本で新型の死者が少なかったのは早期診断・治療が徹底されたためだ。海外では青壮年層の死亡も目立っており、油断すると、昨シーズン以上の被害が出る恐れがある。
今年は流行の立ち上がりが例年より早め。ワクチンの効果が出るのは接種して3~4週間後なので、今すぐにでもワクチンを接種してほしい。
ワクチンは昨シーズン、新型用と季節性用をそれぞれ接種する必要があった。今シーズンは新型と、季節性のA香港型、B型用の3種を混合したワクチンが用意され、接種は1回(13歳未満は2回)で済む。
治療薬もタミフル、リレンザに、1回投与で効果が出る点滴薬「ラピアクタ」や吸入薬「イナビル」が加わった。日本感染症学会は、できるだけ早く治療を受けることを勧める。予防には手洗いの励行なども有効だ。

2010年12月12日日曜日

新型インフルエンザ

新型インフルエンザで肺炎に至る小児患者は、発熱よりせきが先に出る場合が多いとの調査結果を、大阪医科大小児科が発表した。肺炎の兆候の早期発見につながる可能性がある。
調査は、昨年秋ごろに同大病院を受診した小児患者が対象。「38度以上の発熱より12時間以上前にせきが出始めた」という人が、肺炎を起こして入院した小児患者では13人中10人(77%)に上った。軽症患者では112人中10人(9%)にとどまった。
季節性インフルエンザは通常、発熱後にせき症状が出る。新型の場合は、ウイルスが感染初期から肺の奥に侵入しやすいため、せきが先行すると考えられるという。

2010年12月10日金曜日

感染性胃腸炎

下痢や嘔吐を繰り返す感染性胃腸炎の患者が急増し、流行期を迎えたことが、国立感染症研究所の調査でわかった。ノロウイルスが主な原因とみて、手洗いなどの徹底を呼びかけている。
全国約3000の小児科から報告された感染性胃腸炎の患者数(11月8~14日)は、1医療機関当たり7・7人。前週の5・31人から約1・5倍に増え、4週連続の増加となった。昨年同時期の3倍以上で、過去10年では大流行した2006年に次いで多い。患者は、7歳以下が7割以上を占めている。都道府県別では、大分、山形、新潟の順に多く、佐賀を除く46都道府県で前週より増えた。
ノロウイルスは例年12月に感染のピークを迎える。同研究所感染症情報センターによると、感染予防で最も重要なのは、せっけんによる手洗いだという。吐いた物や下痢便には大量のウイルスが含まれ、子どもの間で簡単に感染が広がる。症状が出たら保育園や学校を休んでほしい。

2010年8月27日金曜日

野兎(やと)病

夏は野兎(やと)病と呼ばれるネコの細菌性疾患の最盛期であるらしい。この疾患は、感染したネコに噛まれたり、感染したネコの体液に暴露したりすることによって、ヒトにも伝播する可能性があるという。
ネコの野兎病リスクが高いのは夏場だが、春に生じることもある。ネコの野兎病の感染経路として特に多いのは、感染したウサギを食べるか、ウサギを噛んだダニに噛まれることによるもので、徴候としては無気力、食欲不振、発熱などがみられる。
ワクチンはなく、最善の予防法はネコを屋外に出さないことだという。ネコを室内に閉じ込めたくない場合、ダニの管理を行うのが次善の策のようだ。残念ながら、ネコがウサギを狩るのは習性であるため制御することはできず、ネコを屋外に出す場合はそのリスクを負わなければならないと言う。特に屋外で飼われているネコの疾患や死亡がみられた場合、野兎病を疑う必要がある。
稀に芝刈りによってヒトが野兎病に感染することもあるという。芝刈り機が感染したウサギの死骸に接触すると、細菌のエアロゾル化が起こるのではないかという仮説があるらしい。

2010年6月16日水曜日

はしか・風しんワクチン

総務省は今年3月、海外へ修学旅行に行く高校2年生も、はしかの無料予防接種の対象に含めることができるか検討するよう厚生労働省に要請した。定期の予防接種の対象は現在、1歳と小学校入学前の1年間、中学1年生、高校3年生。2008年度に修学旅行で海外に出た約17万人の高校生のうち、約9割は2年生。海外で発症した例もあり、防止のため検討する必要があるとした。要請は、行政相談を受けた総務省が、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ行った。このほか総務省は「薬の処方せんの使用期間は4日以内」などの広報啓発を厚労省に求めた。

2010年6月10日木曜日

肺炎球菌ワクチン

三重大学大学院・呼吸器内科の研究グループは、これまで明らかにされていなかった、施設入所者に対する肺炎球菌ワクチンの有効性について試験の結果、ワクチン接種が入所者の肺炎発症および死亡率の低下をもたらし有効性が確認されたことを報告した。研究グループは、三重県内の高齢者施設(9病院および23の病院関連施設)から1,006名の被験者を登録し試験を行った。被験者は、2006年3月~2007年1月の間に登録され、ワクチン接種群(502例)とプラセボ群に無作為化され、2009年3月末まで観察が行われた。結果、肺炎発症が確認されたのは、ワクチン接種群63例(12.5%)、プラセボ群104例(20.6%)だった。肺炎球菌性肺炎と診断されたのは、ワクチン接種群14例(2.8%)、プラセボ群37例(7.3%)だった。全原因肺炎および肺炎球菌性肺炎の発生率は、ワクチン群よりもプラセボ群で有意に高かった。また肺炎球菌性肺炎による死亡も、プラセボ群が有意に高かった。全原因肺炎による死亡率とその他原因による死亡率については、ワクチン接種群とプラセボ群とで差異はなかった。日本では現在、施設入所者への肺炎球菌ワクチン接種は国策として推奨されていない。しかし、海外におけるこれまでの報告(施設肺炎リスクは地域の14倍、発生施設の接種率は5%、接種施設の緊急搬送の減少)、過去の実態調査(日本の高齢者施設の接種率は3%未満)および今回得られた知見は、日本の高齢施設入所者の死亡率および医療費低減のため、肺炎球菌ワクチン接種を国策として行うことの必要性を提起するものである。