2010年7月7日水曜日
受動喫煙と高血圧
自分は吸わないのに、家や職場で他人のたばこの煙にさらされている女性の最高血圧は高め。東北大薬学研究科が岩手県花巻市・大迫地区の住民を対象に実施した大規模調査で、受動喫煙の害がはっきりした。研究員らは同地区の家庭に血圧計を配り、循環器の病気と生活との関係を解明する研究を20年以上続けている。このデータの中から、35歳以上で一度もたばこを吸ったことがなく、血圧の薬も飲んでいない計474人の女性を抜き出し、受動喫煙の有無と血圧の関係を分析した。この結果、高い頻度で受動喫煙の状態にある女性の最高血圧は、受動喫煙がない女性に比べ「4」(単位はミリ水銀柱)ほど高かった。最低血圧や心拍数に差はなかった。日本人全体の最高血圧が平均で『2』下がれば、脳卒中による死亡が9千人減るとされる。全面禁煙を進める価値はありそうだ。
2010年7月6日火曜日
食事とうつ症状
野菜や大豆食品、果物、海藻などをよく取る「健康的な日本食パターン」の人は、うつ症状の頻度が半分以下だった。こうした傾向を国立国際医療研究センターの研究員が見つけ、論文を発表した。食事のパターンに分けて解析した研究は欧州に2例あるが、日本では初めてという。自殺者が1998年以来年間3万人を超え、うつ症状も増えているが、食事も視野に入れ、日本食の価値を見直す時かもしれない。研究グループは2006年、福岡県の勤労者(21~67歳)521人に、1カ月間に食べたものを質問票で尋ね、それを基に食事のパターンを調べた。同時に、世界的に広く使われている質問票でうつ症状を聞いた。統計手法で「健康日本食」「肉などが多い動物性食」「パンなどの洋風朝食」の3種類について、各人の食事パターンを強、中、弱に3分類、うつ症状との関連を見た。健康日本食パターンの傾向が強い人は、その傾向が弱い人に比べ、うつ症状の頻度が44%と低かった。動物性食と洋風朝食のパターンでは、うつ症状との明白な関連は見られなかった。今回の調査は、特定の栄養素でなく、食事のパターンで解析したことに意味がある。うつ症状になった人がきちんと食べていないこともあり得るので、因果関係までは言えないが、うつの予防に日本食が役立つ可能性はあるようだ。国立国際医療研究センターのグループが今回の研究で「健康的な日本食パターン」とした主な食品は、ニンジン、カボチャ、キノコ、緑の葉野菜、キャベツ、白菜、大根、カブ、その他根菜、豆腐・厚揚げ、納豆、海藻、芋、果物、緑茶、小魚。
2010年7月5日月曜日
引きこもり
「引きこもり」に悩み精神保健福祉センターに相談に訪れた人のうち、16~35歳の184人について厚生労働省研究班が原因を調べたところ、ほぼ4分の1に当たる49人が統合失調症などの精神疾患と認められ「薬物療法などの治療が必要」と診断されたことが分かった。厚労省は「『引きこもり』とされる人の中には精神疾患と診断されず、具体的な治療に結び付いていない人がいる恐れがある」と指摘。こうしたケースを見落とさず、適切な医療支援につなげるため、相談機関や家族に向けた新たなガイドラインを策定した。調査対象となった184人は社会参加を避けて6カ月以上、自宅などにとどまっている人で、岩手、埼玉、山梨、石川、和歌山の各県にある精神保健福祉センターを訪れた。薬物療法などの治療が必要と診断された49人以外の135人の内訳は、「広汎性発達障害で精神療法的なアプローチが必要」48人、「適応障害などで心理、社会的支援が必要」51人、「特定不能な精神障害」1人、「情報不足で確定診断できず」35人だった。新ガイドラインは、引きこもり者への支援について、当初は個人的に心を開いてもらうことからスタートし、集団療法、就労、就学へと段階的につなげていくことが大切としている。
2010年7月4日日曜日
筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子
運動神経が侵され全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新たな原因遺伝子を広島大原爆放射線医科学研究所が突き止めた。この遺伝子の変異によって、炎症などに関与する物質が過剰に活性化し運動神経に影響を与えるとみられる。研究では、両親ともに保因者の可能性が高い家族性のALS患者の遺伝子を調べ、「OPTN」という遺伝子に変異を見つけた。OPTNは「正常眼圧緑内障」の原因遺伝子として知られていたが、ALSでは緑内障とは異なる場所に変異があった。家族性ではない孤発性のALS患者でも、OPTN遺伝子に変異がある患者が見つかった。これまで知られている別の原因遺伝子の変異がある患者でも、OPTN遺伝子が作るタンパク質に異常があり、これがALSの病態に広く関与すると考えられるという。日本では1年間にALSに新たにかかる人は10万人当たり約1人で、患者は約8300人、家族性は10%程度とされる。
2010年7月3日土曜日
自閉症治療
自閉症患者が「オキシトシン」というホルモンを服用すると症状が改善したとの臨床結果を、金沢大などの研究グループが発表した。3歳から自閉症とされてきた20代男性で、会話ができず、人と交流ができずにいた。両親が2008年、スイスからオキシトシンの点鼻薬を輸入し服用すると、男性は診察で担当医の目を見て笑い「はい」「いいえ」と答えるようになり、担当医が驚いたという。男性は10カ月以上服用を続けた。オキシトシンは視床下部などで作られるホルモンで、男性は血中のオキシトシン濃度が低かったことが判明。これまでアスペルガー症候群などに効果があった例は海外で報告があるが、重度の知能障害がある自閉症患者が長期間服用し、改善が確認されたのは初めて。オキシトシンは母乳を分泌させたり、出産で子宮を収縮させる働きがあるという。信頼感を強める機能があり、人が社会で活動するために必要なホルモンと指摘する研究者もいる。自閉症の治療薬としては認められておらず、男性の点鼻薬は母乳分泌用だった。
2010年7月2日金曜日
妊婦のインフルエンザ治療
日本産科婦人科学会は、新型インフルエンザに感染し、治療薬のタミフルやリレンザの投与を受けた妊婦と、その妊婦から生まれた赤ちゃんに、先天性の異常などの副作用がないかを調査すると発表した。全国約500施設で、昨年9月以降に登録した妊婦らが対象。計1万人が目標で、赤ちゃんは2歳になるまで追跡する。こうした大規模調査は世界でも例がないといい、学会は年内に一定の結果をまとめ、公表するとしている。胎児に対するタミフルの安全性は、国立成育医療研究センターが約90人を対象にした調査で「安全」とするデータしかなかった。昨年新型インフルエンザが流行した後、海外で感染した妊婦の死亡例が相次いだことを受け、学会は妊婦へのタミフル投与を推奨した。同学会は「学会として積極投与を勧めた責任があり、きちんと検証する。しっかりしたデータが得られ、問題がなければ、今冬の流行時にも積極的に使える」と話している。また、同学会は、国内で妊婦の死者が出なかった理由を、厚生労働省研究班で検討する考えを示した。重症化して入院した妊婦74人について、タミフル投与の有無や投与時期、妊娠段階との関係などを調べる。
2010年7月1日木曜日
若年性パーキンソン病
40歳までに発症する家族性の「若年性パーキンソン病」は、遺伝子の変異によって細胞内に「異常なミトコンドリア」がたまるのが原因だとの研究結果を、東京都臨床医学総合研究所の研究チームが発表した。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生産する小器官。高齢者のパーキンソン病も同様の仕組みで発症すると考えられている。異常なミトコンドリアの除去を促す薬が開発できれば、治療につながるかもしれない。研究チームは、若年性パーキンソン病患者で変異があることが分かっている2種類の遺伝子「Parkin」「PINK1」の機能を研究。両方の遺伝子が正常な場合は、異常なミトコンドリアを「PINK1」が選別、「Parkin」が除去しやすい形にすることで、協調して排除していることを突き止めた。遺伝子に変異があると異常ミトコンドリアがたまってエネルギーが生産できなくなる上、有害な活性酸素も出て、神経細胞が影響を受けパーキンソン病につながるのではないかという。パーキンソン病は明確な原因は不明だが、神経細胞が失われ、手足の震えや運動障害が起きる。日本の患者は約15万人と推定され、若年性は10%程度とみられる。
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