2011年1月21日金曜日

インフルエンザワクチン

高濃度のインフルエンザワクチンを鼻の内側の粘膜に噴霧すると、従来の注射型ワクチンでは難しかった感染防止効果が出ることが、国立感染症研究所の臨床研究でわかった。
粘膜特有の免疫反応が誘導できたためと見られる。遺伝子が毎年変化するインフルエンザウイルスにも対応し、新たなワクチン開発につながる成果だ。
研究チームは20~60歳代の健康な男性5人の鼻に、季節性のA香港型インフルエンザに対するワクチンを、通常の3倍の濃度で吹き付けた。3週間の間隔をあけて2回接種すると、全員で鼻汁に含まれる、粘膜特有の免疫物質(抗体)が感染予防に十分とされる量まで増えた。
この抗体は、10年前のA香港型など過去のウイルスに対しても、感染予防効果が確認できた。接種による副作用も見られなかったという。

2011年1月19日水曜日

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんワクチンの副作用として、気を失う例の多いことが、厚生労働省の調査でわかった。
接種者の大半が思春期の女子で、他のワクチンが皮下注射なのに比べ、このワクチンは筋肉注射。筋肉注射特有の強い痛みにショックを受け、自律神経のバランスが崩れるのが原因とみられる。転倒して負傷した例もあるという。同省は「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」と呼びかけている。
子宮頸がんワクチンは、肩近くの筋肉に注射するため、皮下注射をする他の感染症の予防接種より痛みが強い。昨年12月以降、推計40万人が接種を受けたが、10月末現在の副作用の報告は81人。最も多いのが失神・意識消失の21件で、失神寸前の状態になった例も2件あった。その他は発熱(11件)、注射した部分の痛み(9件)、頭痛(7件)などだった。

2010年12月18日土曜日

障害者自立支援

自宅で家族の介護を受けている障害者の9割が親に頼っていることが、障害者団体の調査で明らかになった。介護者の過半数は60歳以上で、障害者を支える側の高齢化が深刻になっている。こうした実態を全国規模で調べるのは初めて。
調査は、障害者が働く小規模作業所などが加盟する「きょうされん」が今年7月、3万2573人の障害者を対象に実施。親やきょうだいなどの介護者にも記入を求め、3277人の障害者と4123人の介護者から回答を得た。
主な介護者のうち、母親が64.2%と3分の2近くを占め、次いで父親が25.4%だった。年齢別では60代が33.6%と最も多い。60歳以上は過半数の53.1%に上った。
93歳の母親が、身体・知的障害がある72歳の息子と2人暮らしをしている事例や、94歳の父親が58歳の精神障害のある娘を介護している事例もあったという。介護者の半数近くは居宅支援サービスを利用せず、70代の介護者の利用率は13.7%、80代は3.1%と低い。
こうしたなか、介護者の84.5%は負担感を感じている。とくに精神的負担が68.7%と最も多く、身体的負担の52.0%、経済的負担の40.8%と続く。
障害者自立支援法はサービス選択の保障や自立支援を掲げたが、家族介護への依存と負担感を助長した。障害者とその家族の状況に応じた支援ができる制度改革が急務だ。

2010年12月17日金曜日

ヒ素で成長できる細菌

通常の生物にとっては有毒なヒ素を、生命活動の根幹となるDNAに取り込んで成長できる細菌を発見したと、米航空宇宙局(NASA)などの研究グループが発表した。
地球上の生物は、主に炭素、酸素、水素、窒素、リン、硫黄の6元素でつくられており、これらは生命活動に不可欠と考えられている。だが、この細菌はリンをヒ素に換えても生きることができるという。
現在知られているものとは異なる基本要素で生命が存在する可能性を示すもので、生命の誕生、進化の謎に迫る発見といえそうだ。
専門家らは生命を構成するのが6元素であることを前提に地球外の生命探しを進めているが、研究グループは、どのような物質を追跡の対象にするか、より真剣に考えなければならないと指摘している。
研究グループは、米カリフォルニア州にあるヒ素濃度の高い塩水湖「モノ湖」に生息する「GFAJ1」という細菌に着目。
ヒ素が多く、リンが少ない培養液で培養すると、リンが多い培養液よりは成長は遅くなるものの、細胞数が6日間で20倍以上に増え、GFAJ1はヒ素を取り込んで成長することを確認した。
細胞内の変化を詳しく調べると、DNAやタンパク質、脂質に含まれていたリンが、培養によってヒ素に置き換わっていた。リンとヒ素は化学的性質が似ているため、このような現象が起きたと考えられるが、どのように置き換わるかや、置き換わった分子が細胞の中でどのように働くかは分からないとしている。

2010年12月16日木曜日

認知症回避には・・・

仏国立衛生医学研究所は、認知症減少のために最も有効と考えられるのは、糖尿病とうつの予防、果物と野菜の摂取、そして教育レベルの改善であるとの研究結果を発表した。
認知症の正確な原因は分かっていないが、修正可能な危険因子はいくつか同定されている。それは、血管系の危険因子(心疾患、脳卒中、高血圧、肥満、糖尿病、高コレステロール)、うつの既往、食事内容、飲酒、学歴などである。
研究では、これらの危険因子のいずれの修正が将来の認知症の減少に最も効果があるかについて推計を試みた。1999~2001年に、南仏在住の65歳超の健康な男女1,433人を登録。被験者は認知機能テストを調査開始時および2、4、7年後に受けた。生涯の知性の指数として読解テストのスコアを用いた。既往症、身長、体重、学歴、月収、食事習慣、飲酒、喫煙などに関する情報を入手し、認知症の遺伝的リスクも測定した。
検討の結果、糖尿病やうつの予防、果物と野菜の摂取により、認知症の新規発症を全体で21%減少できると推定された。中でも、うつの予防がもたらす効果が10%強で最大であった。ただし、うつと認知症の間に直接的な因果関係があるかどうかについては不明のようだ。また教育レベルを高めることで、一般人口における7年以内の認知症発症が18%減少すると推定された。一方、既知の主要な遺伝的危険因子の除去によって見込める一般人口における7年以内の認知症発症の減少は7%にすぎなかった。
研究の結果から、公衆衛生上の施策としては、読み書き能力の向上、うつの迅速な治療、耐糖能低下とインスリン抵抗性の早期スクリーニングに重点を置くべきだとしている。
英国の研究では、認知症の診断後1年間の死亡率は認知症でない人の3倍超であることが明らかにされ、プライマリケアにおいて、より早期かつより的確に認知症を発見することが重要だとされている。

2010年12月15日水曜日

ビタミンE

ビタミンEの補充は脳梗塞のリスクを低下させる一方、脳出血のリスクを高めると、米ハーバード大学などのグループが発表した。
同グループは、2010年1月までに報告された論文を医学電子データベースから検索。ビタミンE補充の脳卒中への影響を1年以上の追跡で検討した試験を抽出し、解析により脳卒中全体および脳梗塞、脳出血発症への影響を評価した。
解析対象は、参加者計11万8,765例(ビタミンE群5万9,357例、プラセボ群5万9,408例)を含む9試験。うち7試験で脳卒中全体、5試験で脳梗塞と脳出血のデータが報告されていた。
解析の結果、ビタミンE補充による脳卒中全体の発症への有意な影響は認められなかった。しかし、タイプ別に分けると、ビタミンEの補充によって脳梗塞の発症が10%減少。その一方で、脳出血の発症が22%増えていた。
絶対リスクに関しては、476例がビタミンEを服用するごとに脳梗塞が1例減少。1,250例がビタミンEを服用するごとに脳出血が1例増える計算になった。
同グループは、ビタミンEの補充には十分な注意が必要であると指摘している。

2010年12月14日火曜日

掃除機内のノロウイルス

今冬、流行が本格化しはじめたノロウイルスに、掃除機内のゴミから感染する危険性が高いことが分かった。患者の便や吐物から広がる「第三の感染経路」だ。掃除機がウイルスがついた室内のほこりを吸い集めて濃縮するためとみられる。ゴミを0.1ミリグラム程度吸い込むだけで感染・発症する可能性がある。研究者は、掃除機のゴミ処理後は、必ず手洗いとうがいをと呼びかけている。
ノロウイルスは、患者の便や吐物から空気中のちりやほこりにくっついて感染を広げる性質がある。
長野県環境保全研究所感染症部の研究員らは、掃除機がほこりを集めて濃縮する機能があることに注目し、47の一般家庭で掃除機内のゴミを調べた。すると2家庭からゴミ1グラムあたり最大約50万個のウイルスが見つかった。ウイルスは18~30日間にわたって出続けた。どちらの家庭もその2~4週間前に家族が発症していた。この患者の便などから家庭内のほこりにウイルスが拡散し、掃除機で濃縮されたと見られる。
ノロウイルスは10~100個で発症する。今回の結果によると、掃除機内のゴミ約0.1ミリグラムで発症する危険があることになる。
研究によると、掃除機のゴミを不適切に処理すると感染源になる危険性が高いという。感染を防ぐポイントとして、ゴミを処理する時に(1)屋外で取り出す。できればマスクや使い捨て手袋を使う(2)すぐポリ袋などに入れて封をする(3)処理後は手を洗い、うがいをする、などを挙げている。