2014年7月9日水曜日

ペットによる睡眠障害

側にいてくれると,ぐっすり眠れるような気がするが,意外とそうでもないらしい。
ある要因で夜の安眠を妨げられる人が増えているようだ。
その要因とは犬や猫,鳥などのペット。
あるクリニックの2002年の調査では睡眠センター来院者のうち,ペットを飼っていて夜間ペットに不都合な思いをさせられていた割合は1%に過ぎなかった。しかし,2013年の812月に110人の患者を対象に行った調査では,その割合は10%に増加していた。
不眠を訴える患者のほとんどは,ペットが自分の睡眠を耐え難いほど妨げているとまでは考えていないようだが,時にいらだちを感じる人が増えていることが分かった。また,患者が感じるいらだちの程度は,家族の人数と飼育するペットの数の多さに関連していた。
ペットのぬくもりを近くに感じながら安らかに眠っている飼い主も多いだろうが,ペットが原因で睡眠を妨げられている人が増えていることが分かった。
なお,調査からは睡眠中のいらだちは,ペットの「いびき」「クンクンとぐずる」「うろうろ歩き回る」といった行動と関連していたことも明らかにされている。ある男性は毎朝6時きっかりに大声で鳴くオウムを飼っていたとの例も紹介されている。
今回の調査結果を踏まえ、睡眠専門医は,夜間にいらだちで眠りが妨げられるといった睡眠上の問題を訴える患者には,ペットのことを尋ねた上で,睡眠の改善に関する支援を行うべきである。


2014年7月8日火曜日

A群溶血性レンサ球菌感染症

A群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こします。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がります。これら以外にも中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こします。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られています。さらに、発症機序、病態生理は不明ですが、軟部組織壊死を伴い、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群)は重篤な病態として問題です。ここでは、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について述べます。
<疫学>
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得ますが、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少ないです。感染症発生動向調査のデータによると、冬季および春から初夏にかけての2 つの報告数のピークが認められています。近年、全体の報告数が増加する傾向にありますが、迅速診断キットの普及などで診断技術が向上したことによる可能性もあります。
 本疾患は通常、患者との接触を介して伝播するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多いです。感染性は急性期にもっとも強く、その後徐々に減弱します。急性期の感染率については兄弟での間が最も高率で、25%と報告されています。
<症状>
潜伏期は25日ですが、潜伏期での感染性については不明です。突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴います。咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがあります。
 猩紅熱の場合、発熱開始後12 24 時間すると点状紅斑様、日焼け様の皮疹が出現します。針頭大の皮疹により、皮膚に紙ヤスリ様の手触りを与えることがあります。特に腋窩、ソケイ部など皮膚のしわの部分に多く、これに沿って線が入っているようにみえることもあります。顔面では通常このような皮疹は見られず、額と頬が紅潮し、口の周りのみ蒼白にみえる(口囲蒼白)ことが特徴的です。また、舌の変化として、発症早期には白苔に覆われた舌がみられ、その後白苔が剥離して苺舌となります。1週目の終わり頃から顔面より皮膚の膜様落屑が始まり、3週目までに全身に広がります。
 合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもあります。
<治療・予防>
治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬ですが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となり、またセフェム系薬剤も使用可能です。いずれの薬剤もリウマチ熱、急性糸球体腎炎など非化膿性の合併症予防のために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要です。
予防としては、患者との濃厚接触をさけることが最も重要であり、うがい、手洗いなどの一般的な予防法も励行します。接触者に対する対応としては、集団発生などの特殊な状況では接触者の咽頭培養を行い、陽性であれば治療を行います。
本疾患は適切な抗生剤治療が行われれば、ほとんどの場合24時間以内に他人への伝染を防げる程度に病原菌を抑制できることもあり、登校登園については、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。


2014年7月7日月曜日

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎で、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。
疫学>
我が国では毎年5 月頃より増加し始め、67月にかけてピーク を形成し、8月に減少、910月にかけてほとんど見られなくなります。国内での流行は例年西から東へと推移します。患者の年齢は4歳以下 がほとんどで、1歳代がもっとも多く、ついで2340歳代の順となります。
<症状>
 24 日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径12mm 、場合により大きいものでは5mmほどの紅暈で囲まれた小水疱が出現します。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴います。発熱については2 4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失します。発熱時に熱性けいれん伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがありますが、ほとんどは予後良好です。
 まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがあります。前者の場合には発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきですが、項部硬直は見られないことも多いです。後者に関しては、心不全徴候の出現に十分注意することが必要です。鑑別診断として、ヘルペスウイルスによる歯肉口内炎(口腔病変は歯齦・舌に顕著)、手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多い)などがあげられます。
<症状から疑い診断>
下記の症状や所見から当該疾患が疑われます。
  1. 突然の高熱での発症
  2. 口蓋垂付近の水疱しんや潰瘍や発赤
<治療・予防>
通常は対症療法のみで、発熱や頭痛などに対しては解熱・鎮痛剤などを用いることもあります。時には脱水に対する治療が必要なこともあります。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要ですが、後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれます。
 特異的な予防法はがありませんが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどです。

本症では、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあるので、急性期のみの登校登園停止による学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができません。本症の大部分は軽症疾患であり、登校登園については手足口病と同様、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。

2014年7月6日日曜日

筋力低下から骨折への悪循環

整形外科では、変形性関節症や骨粗鬆に伴う、椎体の圧迫骨折による疼痛を訴える高齢者が多い。高齢者は、心疾患や呼吸器疾患のために運動が制限されることが多く、筋力低下は避けられない。筋力が低下すれば関節に負担がかかり、痛みの元となる。そして、痛いから動かない。動かないからますます筋力が低下して、痛みが増すという悪循環の中で、日常生活動作が低下して、さらに骨粗鬆化も進んで、転倒骨折の頻度が高くなるという結果を招いている。骨粗鬆症を予防することは、整形外科診療の中で非常に重要な治療のひとつであると考えている。
日常できる予防法
骨粗鬆症の治療手段は医師によってさまざまであるが、普段の食事からカルシウムやその吸収を助けるビタミンDを積極的に摂取すること、そして、何にも増して重要なのが、日ごろから運動を心がけることである。太陽に当たることは、摂取したビタミンDを人間にとって役に立つように活性化させると同時に、運動することは、骨に縦の力を加えて骨形成を促進させる。さらに筋力を鍛えることによって、関節への負担が減り、また関節周囲の靭帯を柔らかくして、関節の拘縮を予防することができる。その結果、転倒による骨折の頻度を低下させることも可能だ。
薬物療法

核家族化が進み、高齢者世帯が増えている現在、栄養バランスの取れた食事をすることが困難なケースが多くなっている。そこで、副作用が少なく、飲み忘れを気にすることなく長期に服用できる、活性型ビタミンD3製剤の処方が第1選択となる。

2014年7月5日土曜日

はしか(麻しん)

はしかの患者が国内で急増しています。国立感染症研究所のまとめでは、4月初めまでで、既に昨年1年間の患者数を上回り、さらに拡大する恐れがあります。
重症化しやすい上に、感染すると有効な治療薬がないため、感染研ではワクチン接種の徹底を呼びかけています。
「はしかとは、どのような症状が出るのですか。」
感染すると約10日間の潜伏期間を経て、発熱や鼻水、せきなど風邪のような症状が出てきます。その後、39度前後の高熱と発疹が1週間以上続き、口の粘膜にブツブツも現れます。免疫力の低下が数週間続くので、ほかの病気にもかかりやすくなります。
「重い症状に苦しむ人も多いそうですね。」
はしかは重症化しやすく、感染者の3割が合併症を起こすと言われています。合併症の半数は肺炎で、ほかに中耳炎、脳炎、心筋炎などを起こすこともあります。栄養状態が悪かったり、別の病気を治療中で免疫力が低下していたりすると、重症化しやすく、死に至ることさえある危険な病気です。

「どのように感染するのですか?」
はしかは感染力が強く、同じ部屋にいるだけで空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染する空気感染を起こします。せきやくしゃみなどによる飛沫感染や、ウイルスが付いたものに触り、口から入って感染することもあります。高熱や発疹が出ていない初期に最も感染力が高いため、感染に気づかずに行動し、多くの人に広げてしまうのも問題なのです。
「今年は流行しているそうですね。」
感染研によると、昨年1年間の患者数232人を4月初めの時点で既に追い抜き、5月8日現在で患者数は324人に達しました。今年初めにフィリピンなどはしかの流行国に渡航した人が帰国後に発症する例が散発し、その後、海外から持ち込まれたウイルスが国内で感染を広げています。
「治療法はないのですか?」
有効な治療薬はありません。感染を予防するワクチン接種しか打てる手立てがありません。

「ワクチンはどのようなものですか?」
はしかの単独ワクチンと、はしかと風疹の混合ワクチン(MRワクチン)があります。1回の接種で95%の人が免疫を獲得し、2回接種すればほぼ全員が免疫を得ることができるため、2回接種が推奨されています。国の予防接種法に基づき、06年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まりましたが、今年の患者の19%は1~4歳が占め、その多くが予防接種を受けていなかったなど接種が徹底されていないことがわかっています。
「副作用が心配です。」
ワクチン接種後に最も多く見られるのは発熱です。発疹やじんましんが出る人も数%おり、発熱に伴うけいれんを起こす人も約0・3%見られます。まれに、脳炎・脳症が100万~150万人に1人以下の頻度で報告されていますが、ワクチンとの因果関係がはっきりしていないケースも含まれています。重いアレルギーのある人は、ワクチンに含まれる成分でアレルギー反応が起きる可能性もあるので、医師に相談してください。
「予防接種はどこでどのような場合に受けられますか?」
内科、小児科などがある医療機関で免疫があるかどうか調べる抗体価検査やワクチン接種が受けられます。妊婦が感染すると流産や早産の原因となりますが、妊娠中は受けられません。予防接種法に基づく子どもの接種は自治体の補助がありますが、その他の場合は原則、全額自己負担になります。周囲ではしかが流行しているようなら、近くの医療機関に相談してみると良いでしょう。

2014525 読売新聞より)

2014年7月4日金曜日

冷房対策

これからのシーズン、通勤電車の中は、冷房が入るようになります。梅雨時の湿気対策と、暑さ対策のためです。家を出るときは薄着ですが、電車や会社では、冷房対策が必要になり、上着を持ち歩く人もいるでしょう。周りの環境に合わせて、洋服で体調管理をすることが重要になってきます。
登山をされる方は、気候の変化にうまく対応するために、服装を工夫する方法をよくご存じだと思います。都会で仕事をするサラリーマンやOLも、同じような工夫が求められています。
漢方医学では、病気を治すために、単に薬を服用することだけではなく、服装や食事、生活上の注意点まで指導します。例えば、風邪の場合は、発熱で体がほてっていても厚着をしていただき、汗が出てきたら、下着を何度も取り換えて、汗で体が冷えるのを予防します。冷たい飲み物を飲まないように、また手を洗うときも冷たい水は使わないように指導します。
これからの季節、冷房対策としては、首回りを冷やさないように心がけることです。首回りに冷たい空気が当たると、ゾクゾクと寒気がして体調を崩しやすくなります。のど風邪を引いてしまう方もいるでしょう。暑い時期ですが、ストールやマフラーなどを活用すると良いと思います。

足もと、お腹も冷やさないように
職場では、机の位置によって足もとが冷える場合があります。「頭寒足熱」のごとく、足もとを冷やすのは健康には良くありません。下半身を冷やすと、お腹の調子が悪くなり、トイレも近くなります。こんな場合は、レッグウォーマーや膝掛けなどを使用しましょう。
暑い中の外出から家に帰った時、どうしても、冷たい飲み物を一気にお腹の中へ入れてしまいます。しかし、体の中から、冷えないようにすることも大切です。食事のときも同様に、食べる順番を工夫しましょう。最初に、お腹に入れる食べ物や飲み物は、かならず温かいものにして、お腹の中を冷やさないようにします。一度、冷えてしまった消化管を温めるためには、たくさんのエネルギーが必要になります。お腹の中を冷やすことは、夏場に体調を崩す一因になります。
人は皆、環境に大きく左右されます。環境によって体調を崩したり、気分が落ち込んだります。しかし、人は自分の力で、環境をうまくコントロールすることもできます。服装や食事の取り方など、簡単な方法で、季節に振り回されるのではなく、季節を楽しむことができるようになります。ぜひ、日本の四季を楽しんで、健康で元気な毎日をお過ごしくださいますように。


2014年7月2日水曜日

睡眠

「早寝早起きは健康のもと」。健康の常識の一つになっているが、気をつけたい「落とし穴」もある。
年齢を重ねると、自然に早起きになる。この傾向は、特に男性で顕著だ。早く起きた分、睡眠時間を確保しようと、早く寝ようとするが、床に入ってもなかなか寝付けないこともある。実は、睡眠開始の2~3時間前は最も寝付きにくい時間帯なのだ。
夜中に何度も目を覚ます人は、寝床に早く入り過ぎている可能性がある。寝床に長くいるのに、眠りが浅い場合、むしろ遅寝早起きにして、眠くなってから寝床につくと良い。夜にしっかり寝るには、〈1〉日中はしっかり光の下で過ごす〈2〉昼間に適度な運動をする〈3〉昼寝をし過ぎない――などが重要だ。寝酒は、眠りを浅くしてかえって逆効果になる。

睡眠時間は、年齢によっても変化する。25歳で平均7時間、45歳で同6時間半、65歳で同6時間と、健康な人では20年ごとに30分ほど減る。自分にあった睡眠をとることが大切だ。