抗うつ薬を服用している男性は、心臓発作や脳卒中の発症をもたらすアテローム性動脈硬化症のリスクを高める可能性のあることが、米エモリー大学の研究でわかった。抗うつ薬は、脳に血液を送る頸動脈の厚さの増大(約5%)に関連しているという。
米エモリー大学は、中年男性双生児513例のデータを収集。被験者の16%が抗うつ薬を服用しており、その60%が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を、またそれ以外はより古い抗うつ薬を服用していた。
抗うつ薬が血管に及ぼす影響を検討するために、頸動脈の厚さ(頸動脈内膜中膜厚)を測定した結果、抗うつ薬を服用している一方の兄弟は服用していないもう一方の兄弟に比べて肥厚が大きかった。服用した抗うつ薬による違いはみられず、またうつ病自体と頸動脈肥厚との関連は認められなかった。
年齢や糖尿病、血圧、喫煙歴、コレステロール、体重などの因子について調整後もこの状態は同じであった。内膜中膜厚の増大と抗うつ薬服用は明らかに関連しており、同薬を服用し、抑うつ状態がより重症の患者ではこの傾向がさらに強まるようだ。
抗うつ薬と心疾患との間に関連性がある理由は不明としながらも、抗うつ薬によってもたらされるセロトニンやノルエピネフリンなどの脳内化学物質濃度の上昇が血管を硬くし、臓器への血流量の低下、動脈硬化症の危険因子である血圧の上昇につながるとみている。
今回の知見は非常に予備的なものであるため、この研究をもとに患者が抗うつ薬服用に懸念を抱いたり、服用を中止したりすべきではない。抗うつ薬使用とアテローム性動脈硬化症の因果関係の有無を調べるにはより厳正な研究が必要である。
2011年4月30日土曜日
2011年4月29日金曜日
ヨガで心房細動予防
ヨガによって心房細動(AF)が半減することが、米カンザス大学病院の研究でわかった。週3回のヨガにより、生活の質(QOL)も改善し、不安や抑うつに絶えず悩まされる患者の不安や抑うつレベルも低下するという。
心房細動は血液が凝固し脳卒中の原因ともなる不整脈で、米国では多くの高齢者にみられる。治療には、病原となる異常を排除する侵襲的手術、または副作用のある治療薬のいずれかが用いられる。
これまでの研究では、ヨガによる血圧やコレステロールの低下、より弾性のある動脈などの便益がわかっているが、心房細動に限定して検討された研究は今回が初めて。今回の研究では、25~70歳の心房細動患者49例が、指導者のもとで行われる週45分のヨガプログラムに週3回、3か月間参加した。
ヨガには、呼吸運動、さまざまなポーズ(アーサナ)、瞑想およびリラクゼーションが含まれていた。被験者は教育用DVDを渡され、自宅で毎日練習するよう勧められた。研究の結果、運動は行っていたものの、ヨガは行っていなかったクラス開始前の3か月間に発生した心房細動は平均3.8回であったのに対し、3か月間のヨガ練習期間中は平均2.1回であった。
心房細動は血液が凝固し脳卒中の原因ともなる不整脈で、米国では多くの高齢者にみられる。治療には、病原となる異常を排除する侵襲的手術、または副作用のある治療薬のいずれかが用いられる。
これまでの研究では、ヨガによる血圧やコレステロールの低下、より弾性のある動脈などの便益がわかっているが、心房細動に限定して検討された研究は今回が初めて。今回の研究では、25~70歳の心房細動患者49例が、指導者のもとで行われる週45分のヨガプログラムに週3回、3か月間参加した。
ヨガには、呼吸運動、さまざまなポーズ(アーサナ)、瞑想およびリラクゼーションが含まれていた。被験者は教育用DVDを渡され、自宅で毎日練習するよう勧められた。研究の結果、運動は行っていたものの、ヨガは行っていなかったクラス開始前の3か月間に発生した心房細動は平均3.8回であったのに対し、3か月間のヨガ練習期間中は平均2.1回であった。
2011年4月28日木曜日
震災関連死
東日本大震災の発生から1か月半、避難所の寒さや衛生状態の悪さから持病が悪化するなどして亡くなる震災関連死の疑い例が、岩手、宮城、福島3県で少なくとも300人近くに上ることが、読売新聞の災害拠点病院などのアンケート調査でわかった。
避難所の劣悪な状況はあまり改善されておらず、専門家によると、関連死が拡大する速度は、阪神大震災や中越地震の時と比較にならないようだ。
調査は、災害拠点病院と主な2次救急指定病院に、これまでに被災した影響で持病悪化や新たな発症で亡くなった患者数を聞いたところ、大半は高齢者とみられる。
死因について138人について回答があり、肺炎などの呼吸器疾患43人、心不全などの循環器疾患40人、脳卒中などの脳血管疾患11人。
石巻赤十字病院は、3月中に1日30-50人の急患が搬送された。半数が避難所の被災者で、意識もなく心停止状態で運ばれてくる高齢者が多かった。同病院は、こうしたケースも関連死の疑い例とみている。
震災関連死は、自治体が地震との因果関係を認定すれば、弔慰金の支払い対象となる。認定作業は審査会を設置して行われるが、医師の死亡診断書や警察の検視などが重要な判断材料となる。
1995年の阪神大震災では仮設住宅の孤独死、2004年の中越地震では車中泊によるエコノミークラス症候群が問題となった。阪神大震災では、発生から10年間で919人が認定された。兵庫県内の死者6402人の14%を占めている。東日本大震災の死者は、警察庁の集計で1万3000人を超えたが、関連死は含まれていない。3県の災害対策本部は、いずれも関連死を把握しきれていないとしている。
震災関連死は地震に伴う持病の悪化や発作などが原因による死亡。明確な基準は定められていないが、自治体が認定する。阪神大震災でわが国の災害史上初めて、避難所生活や必要な医療が受けられないことで病気が悪化した関連死も死者に加えられた。
避難所の劣悪な状況はあまり改善されておらず、専門家によると、関連死が拡大する速度は、阪神大震災や中越地震の時と比較にならないようだ。
調査は、災害拠点病院と主な2次救急指定病院に、これまでに被災した影響で持病悪化や新たな発症で亡くなった患者数を聞いたところ、大半は高齢者とみられる。
死因について138人について回答があり、肺炎などの呼吸器疾患43人、心不全などの循環器疾患40人、脳卒中などの脳血管疾患11人。
石巻赤十字病院は、3月中に1日30-50人の急患が搬送された。半数が避難所の被災者で、意識もなく心停止状態で運ばれてくる高齢者が多かった。同病院は、こうしたケースも関連死の疑い例とみている。
震災関連死は、自治体が地震との因果関係を認定すれば、弔慰金の支払い対象となる。認定作業は審査会を設置して行われるが、医師の死亡診断書や警察の検視などが重要な判断材料となる。
1995年の阪神大震災では仮設住宅の孤独死、2004年の中越地震では車中泊によるエコノミークラス症候群が問題となった。阪神大震災では、発生から10年間で919人が認定された。兵庫県内の死者6402人の14%を占めている。東日本大震災の死者は、警察庁の集計で1万3000人を超えたが、関連死は含まれていない。3県の災害対策本部は、いずれも関連死を把握しきれていないとしている。
震災関連死は地震に伴う持病の悪化や発作などが原因による死亡。明確な基準は定められていないが、自治体が認定する。阪神大震災でわが国の災害史上初めて、避難所生活や必要な医療が受けられないことで病気が悪化した関連死も死者に加えられた。
2011年4月27日水曜日
不妊治療とストレス
ロンドンのカーディフ大学心理学科・不妊治療研究グループは、体外受精(IVF)など生殖補助医療を受けている女性を対象に治療前の精神的苦痛と治療成績とを検討した。その結果、不妊治療の前に不安や落ち込みなどのストレスを感じても、治療成績とは関連しないことがわかった。
妊娠可能年齢人口の9~15%が不妊症で、その半数以上が治療を受けている。
不妊症女性の大半は、精神的苦痛が自然妊娠または不妊治療の成功を妨げる要因の1つだと信じている。しかし、このような考え方は主に、気を楽に持てば妊娠するものだという言い伝えに基づいており、確かなエビデンスもない。そのため、多くの医師はこの関連性について懐疑的な見方を示している。
そこで今回の研究では、ストレスと不妊治療の成績との関連性を調査するために、不妊治療を受けている女性(計3,583例)を対象とする14の研究について解析した。これらの研究では、不妊治療の開始前に参加女性の不安やストレスを評価し、治療結果との関連性が前向きに検討されている。
解析の結果、不妊治療実施前の精神的苦痛は、妊娠の有無とは無関係であることが分かった。
今回の研究から、不妊や治療にストレスを感じても、妊娠成功率には影響を及ぼさないことが確認された。
妊娠可能年齢人口の9~15%が不妊症で、その半数以上が治療を受けている。
不妊症女性の大半は、精神的苦痛が自然妊娠または不妊治療の成功を妨げる要因の1つだと信じている。しかし、このような考え方は主に、気を楽に持てば妊娠するものだという言い伝えに基づいており、確かなエビデンスもない。そのため、多くの医師はこの関連性について懐疑的な見方を示している。
そこで今回の研究では、ストレスと不妊治療の成績との関連性を調査するために、不妊治療を受けている女性(計3,583例)を対象とする14の研究について解析した。これらの研究では、不妊治療の開始前に参加女性の不安やストレスを評価し、治療結果との関連性が前向きに検討されている。
解析の結果、不妊治療実施前の精神的苦痛は、妊娠の有無とは無関係であることが分かった。
今回の研究から、不妊や治療にストレスを感じても、妊娠成功率には影響を及ぼさないことが確認された。
2011年4月26日火曜日
アルコールの健康被害
世界保健機関(WHO)は,100カ国以上の加盟国におけるアルコール摂取と健康被害に関するエビデンスやデータを発表した。それによると、健康が損なわれるまでアルコールを摂取すること、すなわちアルコールの有害摂取(harmful alcohol use)を低減させ、生命を守るために、これまで以上に政策を強化する必要があるようだ。
アルコールの有害摂取により世界で年間250万人が死亡し、多数の疾患や外傷が発生している。また、その影響は特に若年世代や発展途上国の人々に広く及んでいる。
今回のWHOの報告書には、世界各国のアルコール消費量の推移や飲酒パターン、飲酒に起因した疾患の罹患率および死亡率、社会負担などに関するデータやエビデンスのほか、それらを低減させるための効果的な政策や介入方法がまとめられている。
WHO非感染性疾患・精神保健部門によると、多くの国はアルコールの有害摂取が引き起こす深刻な健康問題を認識しており、疾病負担や社会負担を回避し、なんらかのケアが必要な国民への対策を講じてきた。しかし、アルコールの有害摂取に関連した死亡や疾患を減らすには、いっそうの対策が必要であるようだ。
報告書によると、世界の全死亡件数の4%がアルコールに関連した原因による死亡であるという。これらの死亡の大半はアルコールの有害摂取に起因した外傷やがん、心血管疾患、肝硬変による死亡である。
また、全世界で男性の死亡の6.2%、女性の死亡の1.1%がアルコールに関連しているほか、毎年32万人の若年者(15~29歳)がアルコール関連の原因で死亡しており、これは同年齢層の全死亡件数の9%に相当する。
しかし、報告書によると、アルコールの有害摂取による死亡や疾患、障害を回避するための有効な政策を展開している国は少ないようだ。
WHOがアルコール政策に関する報告書をまとめるようになった1999年以降、少なくとも34カ国がなんらかのアルコール政策を採用した。酒類の販売制限や飲酒運転の取り締まりも強化されてきたが、最も有効な予防策がどれであるかについてははっきりしていない。また、大半の国々では依然、アルコール政策や予防プログラムが不十分なことも指摘されている。
2010年5月、加盟国193カ国が参加したWHOの総会で、アルコールの有害摂取を減らす世界戦略が承認された。同戦略では、(1)アルコール飲料に対する課税の強化(2)アルコール飲料の販売店の削減(3)アルコール飲料の購入可能年齢の引き上げ(4)飲酒運転の規制強化—などを有効性の証明された対策としている。
また、有害な飲酒パターンを変えることを目的とした医療現場でのスクリーニングや介入、アルコール関連疾患の治療、アルコール飲料の販売規制や禁止、有効なアルコール政策を推進するための啓発活動を併せて奨励している。
報告書によると、2005年における全世界の15歳以上の若年者および成人が消費する酒量は、アルコール換算で1人当たり平均6.13Lであった。また、飲酒量を地域別に見ると、2001年から2005年にかけて北米および南米、欧州、東地中海沿岸、西太平洋ではほぼ横ばいで推移していたが、アフリカや東南アジアでは大幅に増加していた。
なお、アルコール消費国は広域にわたっているが、飲酒人口の割合は非飲酒人口の割合を下回り、2005年のデータによると、全男性の約半数、全女性の3分の2を非飲酒者が占めていた。特に、イスラム教徒の多い北アフリカや南アジアでは非飲酒者の占める割合が高く、高所得・高消費国では低かった。
アルコールの有害摂取により世界で年間250万人が死亡し、多数の疾患や外傷が発生している。また、その影響は特に若年世代や発展途上国の人々に広く及んでいる。
今回のWHOの報告書には、世界各国のアルコール消費量の推移や飲酒パターン、飲酒に起因した疾患の罹患率および死亡率、社会負担などに関するデータやエビデンスのほか、それらを低減させるための効果的な政策や介入方法がまとめられている。
WHO非感染性疾患・精神保健部門によると、多くの国はアルコールの有害摂取が引き起こす深刻な健康問題を認識しており、疾病負担や社会負担を回避し、なんらかのケアが必要な国民への対策を講じてきた。しかし、アルコールの有害摂取に関連した死亡や疾患を減らすには、いっそうの対策が必要であるようだ。
報告書によると、世界の全死亡件数の4%がアルコールに関連した原因による死亡であるという。これらの死亡の大半はアルコールの有害摂取に起因した外傷やがん、心血管疾患、肝硬変による死亡である。
また、全世界で男性の死亡の6.2%、女性の死亡の1.1%がアルコールに関連しているほか、毎年32万人の若年者(15~29歳)がアルコール関連の原因で死亡しており、これは同年齢層の全死亡件数の9%に相当する。
しかし、報告書によると、アルコールの有害摂取による死亡や疾患、障害を回避するための有効な政策を展開している国は少ないようだ。
WHOがアルコール政策に関する報告書をまとめるようになった1999年以降、少なくとも34カ国がなんらかのアルコール政策を採用した。酒類の販売制限や飲酒運転の取り締まりも強化されてきたが、最も有効な予防策がどれであるかについてははっきりしていない。また、大半の国々では依然、アルコール政策や予防プログラムが不十分なことも指摘されている。
2010年5月、加盟国193カ国が参加したWHOの総会で、アルコールの有害摂取を減らす世界戦略が承認された。同戦略では、(1)アルコール飲料に対する課税の強化(2)アルコール飲料の販売店の削減(3)アルコール飲料の購入可能年齢の引き上げ(4)飲酒運転の規制強化—などを有効性の証明された対策としている。
また、有害な飲酒パターンを変えることを目的とした医療現場でのスクリーニングや介入、アルコール関連疾患の治療、アルコール飲料の販売規制や禁止、有効なアルコール政策を推進するための啓発活動を併せて奨励している。
報告書によると、2005年における全世界の15歳以上の若年者および成人が消費する酒量は、アルコール換算で1人当たり平均6.13Lであった。また、飲酒量を地域別に見ると、2001年から2005年にかけて北米および南米、欧州、東地中海沿岸、西太平洋ではほぼ横ばいで推移していたが、アフリカや東南アジアでは大幅に増加していた。
なお、アルコール消費国は広域にわたっているが、飲酒人口の割合は非飲酒人口の割合を下回り、2005年のデータによると、全男性の約半数、全女性の3分の2を非飲酒者が占めていた。特に、イスラム教徒の多い北アフリカや南アジアでは非飲酒者の占める割合が高く、高所得・高消費国では低かった。
2011年4月24日日曜日
喫煙とALS
ハーバード大学公衆衛生学部の研究で、喫煙と筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症リスクとの間に関連が認められることがわかった。
ALSは運動神経の変性疾患で、米国では毎年5,500例が新規に診断されている。ALSを治癒させる方法はなく、数少ない治療薬の効果も限定的である。ALS症例の約90%は散発性で、原因は不明だが、環境因子が関係している可能性も指摘されている。
今回の研究の結果、
ALS発症率は加齢とともに上昇し、すべての年齢群で女性より男性で高かった。試験開始時点で喫煙歴を有していた人のALS発症リスクは一度も喫煙したことがない人と比べて高いことが分かった。ALS発症リスクは、現役の喫煙者で42%、喫煙経験者では44%高かった。
ALSの発症リスクは、pack-yearsで表す喫煙量(1日に吸うたばこの箱の数と喫煙年数をかけた数字)が増すほど高くなった。pack-yearsに換算しない1日の平均喫煙本数と喫煙期間をそれぞれ独立して調べたところ、両者ともALS発症リスクとの間に正の相関が認められた。ALS発症リスクは、1日当たりの喫煙本数が10本増えるごとに10%、喫煙期間10年ごとに9%上昇した。しかし、これらの相関は、一度も喫煙したことがない者(never-smokers)を除外すると有意ではなくなった。喫煙者の中では、喫煙開始年齢が低い人ほど、ALS発症リスクが高かった。たばこの煙がALSリスクに影響を及ぼす機序に関しては、これまでの研究で複数示唆されている。例えば、たばこの煙に含まれる一酸化窒素(NO)やそのほかの化合物(タバコ栽培の際に使用された農薬の残留物など)あるいは酸化ストレスによる直接的な神経損傷などである。さらに、たばこの煙に含まれる化学物質は、フリーラジカルや過酸化脂質を産生する。また、喫煙者では主要な抗酸化物質であるビタミンCが不足しやすい。喫煙による燃焼生成物の副産物であるホルムアルデヒドに曝露されると、ALSリスクが上昇することが2008年に報告された。喫煙とALSとの関係についての理解を深めることは、他の危険因子のさらなる発見につながり、この疾患の本質解明に役立つであろう。
ALSは運動神経の変性疾患で、米国では毎年5,500例が新規に診断されている。ALSを治癒させる方法はなく、数少ない治療薬の効果も限定的である。ALS症例の約90%は散発性で、原因は不明だが、環境因子が関係している可能性も指摘されている。
今回の研究の結果、
ALS発症率は加齢とともに上昇し、すべての年齢群で女性より男性で高かった。試験開始時点で喫煙歴を有していた人のALS発症リスクは一度も喫煙したことがない人と比べて高いことが分かった。ALS発症リスクは、現役の喫煙者で42%、喫煙経験者では44%高かった。
ALSの発症リスクは、pack-yearsで表す喫煙量(1日に吸うたばこの箱の数と喫煙年数をかけた数字)が増すほど高くなった。pack-yearsに換算しない1日の平均喫煙本数と喫煙期間をそれぞれ独立して調べたところ、両者ともALS発症リスクとの間に正の相関が認められた。ALS発症リスクは、1日当たりの喫煙本数が10本増えるごとに10%、喫煙期間10年ごとに9%上昇した。しかし、これらの相関は、一度も喫煙したことがない者(never-smokers)を除外すると有意ではなくなった。喫煙者の中では、喫煙開始年齢が低い人ほど、ALS発症リスクが高かった。たばこの煙がALSリスクに影響を及ぼす機序に関しては、これまでの研究で複数示唆されている。例えば、たばこの煙に含まれる一酸化窒素(NO)やそのほかの化合物(タバコ栽培の際に使用された農薬の残留物など)あるいは酸化ストレスによる直接的な神経損傷などである。さらに、たばこの煙に含まれる化学物質は、フリーラジカルや過酸化脂質を産生する。また、喫煙者では主要な抗酸化物質であるビタミンCが不足しやすい。喫煙による燃焼生成物の副産物であるホルムアルデヒドに曝露されると、ALSリスクが上昇することが2008年に報告された。喫煙とALSとの関係についての理解を深めることは、他の危険因子のさらなる発見につながり、この疾患の本質解明に役立つであろう。
2011年4月23日土曜日
放射能汚染
汚染された食品の放射性物質の量は、調理や加工で減らせる場合があるらしい。
農産物の汚染経路は、〈1〉大気中の放射性物質が表面に付く〈2〉土壌に降り積もった放射性物質が根を通じて吸収される――の2通りある。いま見つかっているのは、〈1〉の表面汚染だ。
国内外の研究成果をみると、葉もの野菜の表面についた放射性ヨウ素、放射性セシウムとも、水洗いをすると10~30%程度は落ちることがわかっている。葉の裏表、茎にも付くため、水を入れたボウルやたらいの中で、野菜を振るように洗うと良い。水洗いの後で、さらにゆでて、そのゆで汁を捨てると、40~80%は除去できるようだ。
ブロッコリーなどの花蕾類や、根から吸収した野菜の場合はどうか。除去率のデータは少ないが、ゆでて、ゆで汁を捨てればある程度の低減が見込めるようだ。放射性物質はゆで汁に溶け出ると考えられるためで、熱で減るわけではない。
牛乳は、乳製品への加工で放射性物質の量を減らせる。加工過程で、放射性ヨウ素、セシウムは液体の乳清部分に残り、バターやチーズにはほとんど移行しない。そもそも放射性ヨウ素は8日間で放射線を出す力が半分に減るため、乳製品の加工・貯蔵過程で少なくなる。加工法の違いで、牛乳から乳製品への放射性物質の移行率を下げる研究もある。
水道水の放射性ヨウ素汚染に活性炭を使う試みがあるが、効果は薄いとみる専門家が多い。イオン交換樹脂で除去できたとする実験もあるが、放射性ヨウ素を確実に取り除ける家庭用浄水器があるかどうかは、これから検証する必要がある。
放射性物質がどの程度、食品に移行するかは、食品の種類や環境中の濃度、天候などによっても異なる。海産物も含め、食品への汚染を長期にわたり監視し続ける態勢が必要なようだ。
農産物の汚染経路は、〈1〉大気中の放射性物質が表面に付く〈2〉土壌に降り積もった放射性物質が根を通じて吸収される――の2通りある。いま見つかっているのは、〈1〉の表面汚染だ。
国内外の研究成果をみると、葉もの野菜の表面についた放射性ヨウ素、放射性セシウムとも、水洗いをすると10~30%程度は落ちることがわかっている。葉の裏表、茎にも付くため、水を入れたボウルやたらいの中で、野菜を振るように洗うと良い。水洗いの後で、さらにゆでて、そのゆで汁を捨てると、40~80%は除去できるようだ。
ブロッコリーなどの花蕾類や、根から吸収した野菜の場合はどうか。除去率のデータは少ないが、ゆでて、ゆで汁を捨てればある程度の低減が見込めるようだ。放射性物質はゆで汁に溶け出ると考えられるためで、熱で減るわけではない。
牛乳は、乳製品への加工で放射性物質の量を減らせる。加工過程で、放射性ヨウ素、セシウムは液体の乳清部分に残り、バターやチーズにはほとんど移行しない。そもそも放射性ヨウ素は8日間で放射線を出す力が半分に減るため、乳製品の加工・貯蔵過程で少なくなる。加工法の違いで、牛乳から乳製品への放射性物質の移行率を下げる研究もある。
水道水の放射性ヨウ素汚染に活性炭を使う試みがあるが、効果は薄いとみる専門家が多い。イオン交換樹脂で除去できたとする実験もあるが、放射性ヨウ素を確実に取り除ける家庭用浄水器があるかどうかは、これから検証する必要がある。
放射性物質がどの程度、食品に移行するかは、食品の種類や環境中の濃度、天候などによっても異なる。海産物も含め、食品への汚染を長期にわたり監視し続ける態勢が必要なようだ。
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