2010年9月7日火曜日

子宮移植

東京大や慶応大などの研究チームが、サルの子宮をいったん体外に出した後、移植し、再び体内で働かせることに成功した。サルで実験を重ね、将来は先天的に子宮がない女性や、がんで子宮摘出した女性も出産できるよう人での子宮移植を目指すという。
研究チームは、今年1~2月、カニクイザル2匹を開腹して子宮を取りだし、約2時間後に元のサルにそれぞれ移植した。1匹は現在も元気で、移植後すでに2回、月経があり、子宮が機能していることが確認できた。もう1匹は移植の翌日、死んだ。
カニクイザルは体重3.5キロと小さいため、子宮周辺の細い血管を結合する手術が難しかったが、最近開発された髪の毛の50分の1~30分の1の細い手術針を使い、血管の結合に成功した。今後、子宮を移植したサルに体外受精させて胎児が育つか検討するほか、他のサルの子宮を移植できるかどうかなども調べるそうだ。
人の子宮移植は、サウジアラビアで2002年に例があるが、血管の結合部に血栓ができ移植した子宮が機能しなくなったという。
今回の研究で、初めて霊長類で成功したことで、人間への応用の可能性がでてきたと言える。

2010年9月6日月曜日

友好的なウイルス

人は、腸管下部にその人独自の友好的なウイルス(friendly viruses)と呼べる集合体を有することが、新しい研究によって示された。
米ワシントン大学医学部ゲノム科学・システム生物学センターは、女性の一卵性双生児とその母親を対象とした研究で、一卵性双生児であっても腸管下部にそれぞれ異なるウイルスの“指紋fingerprint”があることを発見した。また、ウイルスの80%以上はこれまで発見されていなかった新しいものであった。
研究によれば、これらの友好的なウイルスは、自身では消化できない特定の食事の成分の消化を助けるなど多くの便益をもたらす腸内細菌の活動に影響を及ぼすと考えられた。さらに、ウイルスは疾患に立ち向かったり、治療後の回復に関与しており、消化管内の微生物叢の全体的な健康の指標として機能する可能性もあるという。

2010年9月5日日曜日

アルツハイマー病診断基準

1984年に作成されて以来、25年間で初めて改定されることになるアルツハイマー病診断基準の草案が、米ホノルルで開催されたアルツハイマー協会アルツハイマー病国際会議で発表された。
初期段階のアルツハイマー病の同定方法の開発は、この疾患の早期診断には必須であり、新しい治療法につながる可能性がある。
診断基準を改定する理由の1つには、アルツハイマー病は症状が出現する何年も前に始まるという新しい理解であり、疾患の同定が早いほど、その発現を遅らせる可能性が高まるという。アルツハイマー病の同定方法には、遺伝子解析、PETやMRIスキャン、β(ベータ)アミロイド代謝異常、脳脊髄液に認められるタウ蛋白などのバイオマーカーがある。また、アルツハイマー病とレビー小体型など他のタイプの認知症との相違に対する理解も進んでいる。
今回の改定案では、症状が出現する前のアルツハイマー病同定に有用な前臨床段階の疾患、アルツハイマー病の最初の徴候である軽度の認知障害を考慮に入れるとともに、診断に役立つ可能性のある推奨されている特定のバイオマーカーについて検討している。
アルツハイマー病の診断には除外診断法が用いられてきたが、今回の新しい診断基準は、初期のアルツハイマー病に感受性を示すバイオマーカーが実際にあるという事実に基づいたものである。

2010年9月4日土曜日

あせも

暑さが続くこの時期、あせもに悩まされるのは子供だけではない。生活環境の変化で、近頃は大人のあせもも増えているという。あせもは大量の発汗によって汗腺が詰まり、炎症を起こす症状をいう。大人にも増えている背景には、クールビズでオフィスの温度が高めに設定されていることなどがあるとみられる。
今年は特に、かゆみや炎症を抑えるクリームなど、あせもケア商品の売れ行きが好調なようだ。あせもケア用品はほかにも、スプレーやローションなど様々なタイプが出ている。ただ、効果の面では大きく分けて〈1〉主に初期症状向けでかゆみ・炎症を抑える〈2〉粉状の成分(酸化亜鉛)入りで患部を乾かして治す、の二つに分類できる。
あせもができやすい個所は、男性はワイシャツの首まわりやベルトをしている腰、女性は下着やストッキングが当たる部分など。手でかくと症状が悪化する。かゆみ止め成分の入った市販薬を塗り、かかないようにすれば、数日から1週間で治る。予防策としては、通気性の良い服装で、汗をこまめにふき取るのが一番。

2010年9月3日金曜日

妊娠ストレスと喘息リスク

ハーバード大学の研究で、妊娠中のストレスが出生児の喘息リスクを高める可能性があることがわかった。
以前の研究では妊娠中の母親のストレスが胎児の免疫系の発達に影響する可能性が示唆されていた。
今回の研究では、ストレスの多い環境下にいる母親から生まれた乳児と、ストレスの低い母親から生まれた乳児の臍帯血中の免疫機能マーカーが比較検討された。
被験者は、都市部在住の妊婦で、そのうち20%が法定貧困レベルを下回っており、父親ないし妊娠中の母親に喘息またはアレルギーの既往歴があった。家庭(家庭内暴力を含む)、地域(コミュニティーの暴力)での生活におけるさまざまなストレス因子について詳細に質問し、557家族から回答が得られた。
研究では、出産時に採取した臍帯血から免疫細胞を分離して、多数の因子(粉塵、ゴキブリなどアレルギー源、ウイルス性および細菌性刺激物質)で刺激し、さまざまなサイトカインの産生を分析した。これは、環境に対して乳児の免疫がどのように反応するかの指標となる。
その結果、所定の刺激物質に対するサイトカインの放出パターンは、母親のストレスレベル(自己報告)によって異なることが示唆された。
ストレスの高い母親の胎盤で認められたサイトカインの産生パターンにより、出生児の免疫機能が確認できるが、胎児が成長すれば,喘息とアレルギーの発症リスクのマーカーとなるかもしれない。
今回の研究の結果は、母親の心理的ストレスが児の免疫反応プログラミングに関与していることと、この影響が妊娠中から始まっていることを示唆している。
今回検討した乳児が成長すれば、これらの因子が喘息とアレルギー発症にどのように関与しているか確認することができるだろう。

2010年9月2日木曜日

ブロッコリー

米ミシガン大学薬学部製薬科の研究で、ブロッコリーに含まれる化合物が、がん幹細胞を抑制し、乳がんの予防または治療に役立つ可能性があることがわかった。
今回の研究では、乳がんのモデルマウスにブロッコリー抽出物から得られたさまざまな濃度のスルフォラファンを注入し、その後に腫瘍のがん幹細胞数を算定した。その結果、スルフォラファン投与後にがん幹細胞は大幅に減少したが、正常な細胞にはほとんど、または全く影響がなかった。
さらに、スルフォラファンを投与したマウスのがん細胞では、増殖能が低下していた。また、ヒト乳がんの培養細胞にも同様の実験を行った結果、スルフォラファンによって、がん幹細胞が減少することが示された。
今回の研究で使用されたスルフォラファンの濃度は、ブロッコリーまたはブロッコリーの芽を摂取することで得られる濃度よりも高かった。以前の研究から、ヒトはがんに影響を及ぼすうえで必要な濃度のスルフォラファンをブロッコリー抽出物から吸収することが可能だとされているが、副作用についてはわかっていない。ブロッコリー抽出物にはカプセルのサプリメントがあるが、含有濃度はさまざまであるという。
また、ヒトでの臨床試験はまだ行われていないため、現時点では患者の食生活にスルフォラファンのサプリメントを追加することは推奨されていない。
米国がん協会(ACS)によると、米国では2010年の1年間に19万4,280人が乳がんの診断を受け、4万610人が死亡すると予測されている。

2010年9月1日水曜日

熱中症対策

残暑厳しい折、熱中症患者がいまだ少なくない。体温調節機能が弱い高齢者や乳幼児の発症が目立つが、最近は、若い世代でも暑熱適応の低下がみられる。暑い所と空調の効いた涼しい部屋を行き来すると、急激な気温変化に対応するために自律神経が疲れてしまう。その結果、夏バテなどの体調不良を起こし、熱中症にかかりやすくなる。
熱中症は、高温多湿などの環境で、体が暑さに適応できないために起こる障害の総称。めまいや吐き気、だるさやけいれん、意識障害など様々な症状が出る。閉めきった暑い部屋や車中でも発症する可能性がある。
熱中症にかかりやすい、猛暑の時には、無理をせず、外出時間をずらしたり、短縮したりするなどの工夫が大切。また、炎天下の外出時には、自衛策を講じる。日差しを遮る帽子や日傘に加え、最近登場している暑さ対策グッズを活用する手もある。
水を含ませて首に巻き、首を冷やすスカーフが人気。熱中症にかかる危険性をブザーで知らせる「携帯型熱中症計」や体を冷やすスプレーもあり、親子連れからビジネスマンまで幅広い世代に売れているという。
乳幼児の外出に使うベビーカーにも注意が必要。気温35度の日には、路面の照り返しもあって、ベビーカーの座面の温度は39度にもなる。座面を路面から離して高くしたり背板に断熱シートを入れたり、暑さ対策をしたベビーカーもある。
こまめな水分補給や暑さ対策をしても、寝不足や下痢、二日酔いなど体調次第で熱中症は起こりうる。熱中症の症状が疑われる場合には、涼しい場所に避難させ、服を脱がせて体を冷やす。厚生労働省の「職場における熱中症予防対策」によると、まず、意識を確認し、「意識がない」「返事がおかしい」「全身が痛い」などがあれば、救急車をすぐに呼ぶ。意識がはっきりしても、水分を自力で取れないなら、すぐ医療機関へ。飲めるなら、水分と塩分を取らせて、回復しなければ医療機関に搬送する。
「応答が鈍い」「言動がおかしい」など中枢機能の異常は命にかかわる緊急事態。すぐ救急車を呼び、体に水をかけてあおぎ、首やわきの下、脚の付け根に氷などを置いて急いで体温を下げる。おかしいと思ったらすぐ対処することが大切。