2010年9月21日火曜日

エチゼンクラゲ

エチゼンクラゲと、越前ガニの殻から取り出される物質に放射線の一種である電子線をあてて、新しい医療・美容用素材を合成する技術の開発に、関西電子ビーム、日華化学など4社と、県立大海洋生物資源学部のグループが着手した。
たびたび漁業被害をもたらす“海の厄介者”と、福井を代表する味覚ながら食べた後は捨てるしかないごみを、有効利用するのが目的。早ければ2011年度末までに実用化のめどをつけたいとしている。
利用をはかるのは、クラゲのたんぱく質の大半を占めるコラーゲンと、カニやエビの殻を構成するキチンから作られるキトサン。
コラーゲンは保湿効果が高く、化粧品や健康食品など幅広い分野で商品化されている。キトサンも、安定した分子構造や抗菌効果といった特徴から、手術用縫合糸、衣料用繊維、健康食品などに使われている。
グループが手掛ける新素材は、コラーゲンとキトサンの特性を併せ持ったゼリー状物質「ハイドロゲル材」。やけどやけがの患部にはり付けて早期回復を促す「創傷被覆材」、肌の栄養補給やニキビ予防といった効果を狙う「美容マスク」などへの応用をはかる。
クラゲからコラーゲンを抽出する技術は、県立大などが既に開発。グループはこれらの技術を応用し、コラーゲンとキトサンを寒天状の化合物に混ぜた後、専用施設で電子線ビームを照射して固め、ハイドロゲル材を生成する研究を行う。
電子線を利用すると、加熱しなくても化学反応を早く進めることができ、減菌作用もあるという。

2010年9月20日月曜日

食べるワクチン

アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質を含むピーマンを食べると、この病気の予防につながる効果があることが、東京大学のマウスの実験でわかった。「食べるワクチン」として臨床応用が期待されている。
アルツハイマー病の患者の脳には、アミロイド・ベータというたんぱく質が沈着・凝集し、老人斑ができている。これが認知機能の低下などを起こすと考えられている。

免疫の働きを利用し、素早く大量の抗体を作り出してこのたんぱく質を除去させるため、米国でアミロイド・ベータをワクチンとして注射する臨床試験が行われたことがあるが、過剰な免疫反応による副作用が問題となり、中止になった。
東京大学では、注射でなく食べて腸から吸収すると、副作用が起こりにくいことに着目。アミロイド・ベータの遺伝子を組み込んだピーマンを作り、その青葉を青汁にして、アルツハイマー病を発症するように遺伝子を操作したマウスに与えた。何も与えなかったマウスは発症して1年ほどで死んだが、青汁を与えたマウスは16か月以上生存、脳に老人斑は見られなかった。副作用も少なかったという。

子宮頸がんワクチン

若い女性に増えている子宮頸がんの本格対策として、政府が、予防ワクチンの接種費用を、来年度から公費で助成する方針を打ち出した。
子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの感染が原因で起きる。
HPVは主に性交渉を通じて感染するが、10歳代前半でHPVワクチンを接種すれば、6-7割の感染を防ぐことができる。
子宮頸がんを予防する効果は極めて大きいと期待され、世界で接種が拡大している。日本でも昨年10月、このワクチンの安全性と有効性が政府に承認された。
公費助成により、HPVワクチン接種が国内でも広く普及するだろう。厚生労働省は今後、助成額や対象年齢などを詰め、来年度予算案に盛り込むという。
現在、HPVワクチンは任意の接種。期間を置いて計3回繰り返す接種の費用約5万円は、原則全額を自己負担する。はしか、ポリオのワクチンのように、定期接種の対象にはなっていない。
厚労省の6月末の集計では国内114自治体が、負担軽減のため公費助成している。ただ、全自治体の1割足らずだ。助成額も半額以下という所が少なくない。医学関連学会、患者団体などから、国の助成を求める声が出ていた。
子宮頸がんは国内で年に約1万5000人が発症すると推計され約3500人が死亡している。特に近年は、20-30歳代に患者が急増している。
10代前半の特定の年齢全員に接種費用を助成すると、年に約200億円の予算がかかるとの試算もある。だが、ワクチン接種で多くの女性の命が救われることを考えると、多額ではない。
ただ、どんなワクチンにも、わずかながら副作用がある。HPVワクチンの重い副作用はほとんど報告されていないが、他のワクチンと同じく、副作用への迅速な対応と、補償制度の充実策も十分詰めておくことが欠かせない。
がん検診の重要性も忘れてはならない。ワクチン接種の主な対象となるのは、10代の女性にとどまる。しかもワクチンは、がんを100%防げるわけではない。
子宮頸がんの検診を受ける人はまだ2割程度という。多くの女性が定期的に検診を受け、異変があれば、早期に適切な措置を受けられるような体制が必要。
検診費用の公的助成も一部に限られる。これも国の助成の強化を検討すべきだろう。

2010年9月18日土曜日

はしか

はしか(麻疹(ましん))の予防接種率が伸び悩んでいる。国は接種率95%以上で人口100万人当たりの感染者が1人未満になる「排除」の状態を目指している。だが、09年度の接種率は1歳の定期接種では93・6%と目標に近いものの、13歳と18歳を対象にした追加接種では、それぞれ85・9%、77・0%にとどまった。幼少期のはしか感染には、難病発症の可能性があり、はしかの早期根絶には接種率の向上が鍵を握っている。
はしかウイルスが原因で発病する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という難病がある。SSPEは特に学童期に発症することがある中枢神経疾患。一度感染したはしかウイルスが脳に潜伏後、SSPEウイルスに変異して数年後に発病。原因は不明で治療法はなく、ゆっくりと神経症状が進んで意識がなくなり、やがて死に至る。発生頻度は、はしか患者10万人に1人とされる。
国立感染症研究所によると、はしか患者は高校や大学で流行した07年に子どもだけで計3133人、08年は成人も含めて計1万1012人に上った。今年の患者数も8月4日現在計326人で、人口100万人当たり約2・7人と流行が続いている。
はしかは接触や飛沫、空気のいずれでも感染する。はしかウイルスの直径は100-250ナノメートル(ナノは10億分の1)で、飛沫核の状態で空中を飛び、それを吸い込むことで感染するため、マスクでの予防は難しい。唯一の予防方法は、ワクチン接種ではしかに対する免疫をつけておくことだ。
予防接種をしない人が増えると感染が広がる。はしかワクチンは通常、1回接種すれば95%以上の人に免疫ができる。毎年、95%程度の接種率を保てば、患者発生はほぼゼロに抑えられるという。また、はしか患者が20万-30万人いれば、そのうち数人がやがてSSPEを発病する。だが患者が1000人を切れば、この病で亡くなる人がいなくなることにつながるという。

 ■12年度までの麻疹ワクチン定期接種対象者 
第1期 1歳以上2歳未満
第2期 小学校入学前年度の1年間にあたる子ども
第3期 中学1年生に相当する年齢
第4期 高校3年生に相当する年齢
 ※第3、4期は08年度から5年間の期限付き措置
 ※定期接種期間中は無料。厚生労働省は2回接種することを勧めている

2010年9月17日金曜日

睡眠時無呼吸

中高年男性の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心不全発症の予測因子であると、米ボストン大学などのグループが発表した。
同グループは、一般的な地域住民のサンプルとして40歳以上の男性1,927例と女性2,495例を登録。8.7年間追跡し、OSAと心不全および冠動脈性心疾患(CHD)との関係を検討した。
その結果、OSAは男性における有意な心不全の予測因子で、1時間当たりの無呼吸・低呼吸の回数を示す指数(AHI)が30以上の男性はAHI 5未満の男性と比べ、心不全の発症率が約1.6倍高かった。女性では、OSAは心不全の予測因子ではなかった。また、CHDに関してはOSAは70歳以下の男性においてのみ有意な予測因子で、それより高齢の男性および女性では年齢に関係なく、OSAはCHDの予測因子ではなかった。

2010年9月16日木曜日

食事による白内障予防

ウィスコンシン大学は、女性1,808例について調査を行い、ビタミン、ミネラル類を多く含む食物を摂る女性では、白内障発症リスクが低いということがわかった。
加齢とともに罹患率が上昇する白内障は、世界的にも最大の失明の原因となっている。白内障は眼病による視力障害としては、米国で最も一般的な原因である。
今回の研究では被験者の日常の食事と栄養摂取量が検討された。
対象者では核性白内障が多く、454例(29%)が少なくとも片方の眼に水晶体混濁があり、282例(16%)がいずれかの眼の水晶体を摘出したと回答した。全体では736例(41%)が水晶体撮影により核性白内障が明らかになった、あるいは水晶体を摘出したと答えている。
今回の結果から、食事指針に従い健康的な食事をしていた女性では、核性白内障の発病率が低いことがわかり、その関連は本件で調査の対象となった他の危険因子や予防要因よりも強力であることが示唆された。
健康的な食生活、禁煙、肥満の回避といったライフスタイルの改善が、米国人高齢女性における白内障手術を減らし、経済的負担を低減させるかもしれない。

2010年9月15日水曜日

規則正しい生活と安眠

ハイファ大学の研究で、退職を迎えた高齢者の不眠改善と安眠促進には、規則正しい日常生活を送ることが重要だということがわかった。
規則正しい生活とは、テレビ視聴や読書といった日常的な活動の時間や頻度、長さが安定していることである。これは、掃除、体操、社会活動など、毎週の決まった予定についても同様に当てはめることができる。
今回の研究の対象は、ロシア語を話す高齢者96人(58~89歳、平均年齢75歳、女性72%)で、82%は1人住まい、75%は普通または良好な健康状態であった。また睡眠薬の服用は週1回が5%、週1~2回が7%、週3回以上が23%だった。
日常生活における規則性は、熟練した面接調査者が評価し、96人中、89人のデータが最終分析の対象となった。
解析の結果、平均総睡眠時間は6時間、平均睡眠効率は78%、平均睡眠潜時(入眠までにかかる時間)は37.5分であった。日常生活が安定し、規則正しいライフスタイルの高齢者では、睡眠効率が高く、睡眠潜時も短かった。一方、ライフスタイルが不規則な場合には、睡眠の質が低下し、併存症も多い傾向にあった。
また、買物、公共交通機関の利用、医療受診といった動機のある活動よりも、入浴、身支度、食事といった基本的活動のほうが、睡眠の質との関連性が強かった。
今回の研究から、規則正しいライフスタイルが睡眠の質を維持するうえで予防因子となることがわかった。今後の縦断的研究によって、規則正しいライフスタイルと睡眠パターンの質との因果関係が解明されることが望まれる。