シカゴのウェストバージニア大学の研究で、焦げ付き防止加工された調理器具や防水加工された布地の製造過程で使用されるペルフルオロアルキル酸化合物が高濃度に血中から検出された小児では、総コレステロール(TC)値とLDLコレステロール(LDL-C)値が高い傾向にあることがわかった。
ヒトは飲用水、ほこり、食品パッケージ、母乳、臍帯血、大気、就業被ばくを介してペルフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)などペルフルオロアルキル酸から合成される化合物に曝露される。最近の全米調査でも、ほぼすべての血液標本からPFOAとPFOSが検出されている。
ペルフルオロアルキル酸は、耐熱焦げ付き防止調理器具や、布地・室内装飾品に通気性防水性を与えるフッ素重合体の製造過程で使用されている。
PFOAとPFOSはまた、食料製品パッケージ、布地やじゅうたんの工場処理、衣類に汚れを付きにくくする加工処理に使用されるコーティング成分が分解される際にも発生する。
動物実験ではペルフルオロアルキル酸に曝露されると、まず肝臓が影響を受けることが明らかにされており、コレステロール値が変動するなどヒトにも影響を及ぼす可能性が示唆されている。
今回の研究では、飲用水中にPFOAが混入していたオハイオ川中流域の小児1万2,476例(年齢0~17.9歳,平均11.1歳)の血液サンプルから,TC値,LDL-C値,HDLコレステロール(HDL-C)値,トリグリセライド値を測定された。
測定の結果、小児の平均PFOA濃度は69.2ng/mL、平均PFOS濃度は22.7ng/mLであった。12~19歳の参加者ではPFOA濃度が全国平均を上回っていた(29.3ng/mL対3.9ng/mL)が、PFOS濃度についてはそのような差は認められなかった(19.1ng/mL対19.3ng/mL)。
血中PFOA濃度とTC値やLDL-C値との間には正の相関が認められ、血中PFOS濃度とTC値、LDL-C値、HDL- C値との間にも相関が認められた。
血中PFOA濃度が最低5分位の小児と比べ、最高5分位の小児ではTC値が4.6mg/dL、LDL-C値が3.8mg/dL高かった。血中PFOS濃度でも同様に、最低5分位の小児と比べ、最高5分位の小児ではTC値が8.5mg/dL、LDL-C値が5.8mg/dL高かった。
今回観察された傾向は、特にPFOAの濃度が低い群で顕著に見られた。また、全体的には、PFOA濃度よりもPFOS濃度による影響の方が大きいことが推測された。
ペルフルオロアルキル酸全般にいえることかもしれないが、特にPFOAとPFOSについては、血中脂質値に影響を及ぼすと考えられ、全米平均の曝露レベルにおいてさえ、なんらかの影響が生じている可能性がある。
2011年4月21日木曜日
2011年4月20日水曜日
自転車で体重抑制
ハーバード大学公衆衛生学部の研究グループは閉経前の女性を16年間追跡。自転車の利用や速歩によって体重増加が抑制できることが分かった。この関連は、特に過体重や肥満の女性で顕著に見られ、用量依存的効果があるようだ。
米国成人の66%が過体重または肥満で、小児と青年の16%は過体重、さらに小児と青年の34%が将来過体重になるリスクを持つとされる。これまで、歩行と体重増加を検討した研究はかなり実施されているが、自転車に関するものは少ない。また多くが男性を対象としている。そこで今回の追跡調査では、閉経前女性を対象に自転車の利用と体重管理の関係が評価された。
今回の研究では、閉経前の女性1万8,414人を1989から2005年まで追跡し、 体重がこの期間に5%増加したかどうかが確認された。
開始時(1989年)における1日当たりの活動量を調べたところ、1日30分以上速歩をしている女性は39%にすぎず、自転車に乗っている女性も1.2%にとどまった。
追跡の結果、1989年から2005年にかけて速歩および自転車に費やす時間が増加した者ほど体重増加が抑制され、1日当たりの時間が30分増加するごとに、速歩で−1.81kg、自転車で−1.59kgの体重増加の抑制が認められた。一方、時速3マイル未満の低速歩行では、このような変化は認められなかった。
開始時に自転車に乗らないと回答した女性のうち、2005年までに自転車に乗る時間がたとえ1日に5分であっても増えた者では、体重増加が抑制され(−0.74kg)、対照的に、1989年に15分以上乗っていたが2005年時にその時間が減少した女性では体重が増加した(+2.13kg)。
また、追跡期間中に体重が5%増加する確率を算出したところ、正常体重の女性では2005年に毎週4時間以上自転車に乗っている者で低かった。一方、過体重および肥満の女性では2005年時に毎週2~3時間自転車に乗っている者で低かった。
今回の研究から、自転車に乗ることは、速歩と同様に体重増加の抑制に有効であることが分かった。しかし、米国では16歳以上の通勤・通学人口のうち自転車に乗るのは0.5%程度にすぎず、そのうち女性は23%にすぎないのが現状。自転車は、わざわざジムに行かなくても、日常生活の中で、例えば通勤、通学時や買い物に行く際などに車の代わりとして用いることができる。また、自転車は交通手段であって、目的地に着くことが重要となるため、意識せずに運動が行える良い方法である。
米国成人の66%が過体重または肥満で、小児と青年の16%は過体重、さらに小児と青年の34%が将来過体重になるリスクを持つとされる。これまで、歩行と体重増加を検討した研究はかなり実施されているが、自転車に関するものは少ない。また多くが男性を対象としている。そこで今回の追跡調査では、閉経前女性を対象に自転車の利用と体重管理の関係が評価された。
今回の研究では、閉経前の女性1万8,414人を1989から2005年まで追跡し、 体重がこの期間に5%増加したかどうかが確認された。
開始時(1989年)における1日当たりの活動量を調べたところ、1日30分以上速歩をしている女性は39%にすぎず、自転車に乗っている女性も1.2%にとどまった。
追跡の結果、1989年から2005年にかけて速歩および自転車に費やす時間が増加した者ほど体重増加が抑制され、1日当たりの時間が30分増加するごとに、速歩で−1.81kg、自転車で−1.59kgの体重増加の抑制が認められた。一方、時速3マイル未満の低速歩行では、このような変化は認められなかった。
開始時に自転車に乗らないと回答した女性のうち、2005年までに自転車に乗る時間がたとえ1日に5分であっても増えた者では、体重増加が抑制され(−0.74kg)、対照的に、1989年に15分以上乗っていたが2005年時にその時間が減少した女性では体重が増加した(+2.13kg)。
また、追跡期間中に体重が5%増加する確率を算出したところ、正常体重の女性では2005年に毎週4時間以上自転車に乗っている者で低かった。一方、過体重および肥満の女性では2005年時に毎週2~3時間自転車に乗っている者で低かった。
今回の研究から、自転車に乗ることは、速歩と同様に体重増加の抑制に有効であることが分かった。しかし、米国では16歳以上の通勤・通学人口のうち自転車に乗るのは0.5%程度にすぎず、そのうち女性は23%にすぎないのが現状。自転車は、わざわざジムに行かなくても、日常生活の中で、例えば通勤、通学時や買い物に行く際などに車の代わりとして用いることができる。また、自転車は交通手段であって、目的地に着くことが重要となるため、意識せずに運動が行える良い方法である。
2011年4月19日火曜日
交通騒音と脳卒中
デンマークがん学会がん疫学研究所で、デンマークに住む成人を対象に道路交通騒音と脳卒中発症リスクとの関連を検討した結果、騒音にさらされると脳卒中リスクが上昇し、この関連は特に64.5歳以上の高齢者で顕著であることがわかった。
今回の研究は、コペンハーゲンとオーフスに住む5万1,485例(50~64歳)を対象に、既往歴や居住歴などに関するデータを収集した。全被験者の平均追跡期間は10.1年であった。
解析に当たっては、大気汚染の程度や鉄道と飛行機の騒音のほか、喫煙、食生活、アルコールおよびカフェインの摂取などの交絡因子の影響が考慮された。騒音の評価には交通量や車両の速度、道路の種類(高速道路または幹線道路など)と路面状態、道路と住居の位置関係などが考慮された。
さらに、脳卒中を発症した1,881例(3.7%、平均追跡期間6.0年)を対象に、道路交通騒音への曝露による脳卒中の罹患率比(IRR)を検討した。その結果、生活習慣や大気汚染曝露などで調整した後の全例のIRRは1.14であった。
年齢別の検討では、64.5歳未満の者では有意なリスクの上昇は認められなかったが、64.5歳以上の高齢者では道路交通騒音10dB上昇に対するIRRが1.27と有意に上昇していた。
また、自動車の騒音にさらされると脳卒中リスクが上昇することもわかった。過去の研究ではこのような騒音が血圧の上昇や心筋梗塞の発症リスクに関連することが示唆されている。
騒音と脳卒中リスクとの関連について確実な結論を導くにはさらなる研究が必要だろう。これらの間に因果関係があると仮定すれば、全脳卒中の8%、65歳以上の高齢者では19%が交通騒音の影響を受けたと推定できる。今回の研究の対象は主に都市部の住民で、交通騒音にさらされているすべての人々を代表してはいないが、デンマークの人口が550万人で、毎年1万2,400人が脳卒中を発症していることを踏まえると、デンマークでは毎年600例が交通騒音による脳卒中を発症していると推定できる。
さらに、関連が特に高齢者で強かった点について、高齢者では睡眠が分断される傾向があり、睡眠障害が現れやすい。騒音と脳卒中リスクとの関連が主に高齢者で認められたのは、このためとも考えられる。
今回の研究は、コペンハーゲンとオーフスに住む5万1,485例(50~64歳)を対象に、既往歴や居住歴などに関するデータを収集した。全被験者の平均追跡期間は10.1年であった。
解析に当たっては、大気汚染の程度や鉄道と飛行機の騒音のほか、喫煙、食生活、アルコールおよびカフェインの摂取などの交絡因子の影響が考慮された。騒音の評価には交通量や車両の速度、道路の種類(高速道路または幹線道路など)と路面状態、道路と住居の位置関係などが考慮された。
さらに、脳卒中を発症した1,881例(3.7%、平均追跡期間6.0年)を対象に、道路交通騒音への曝露による脳卒中の罹患率比(IRR)を検討した。その結果、生活習慣や大気汚染曝露などで調整した後の全例のIRRは1.14であった。
年齢別の検討では、64.5歳未満の者では有意なリスクの上昇は認められなかったが、64.5歳以上の高齢者では道路交通騒音10dB上昇に対するIRRが1.27と有意に上昇していた。
また、自動車の騒音にさらされると脳卒中リスクが上昇することもわかった。過去の研究ではこのような騒音が血圧の上昇や心筋梗塞の発症リスクに関連することが示唆されている。
騒音と脳卒中リスクとの関連について確実な結論を導くにはさらなる研究が必要だろう。これらの間に因果関係があると仮定すれば、全脳卒中の8%、65歳以上の高齢者では19%が交通騒音の影響を受けたと推定できる。今回の研究の対象は主に都市部の住民で、交通騒音にさらされているすべての人々を代表してはいないが、デンマークの人口が550万人で、毎年1万2,400人が脳卒中を発症していることを踏まえると、デンマークでは毎年600例が交通騒音による脳卒中を発症していると推定できる。
さらに、関連が特に高齢者で強かった点について、高齢者では睡眠が分断される傾向があり、睡眠障害が現れやすい。騒音と脳卒中リスクとの関連が主に高齢者で認められたのは、このためとも考えられる。
2011年4月18日月曜日
鉛・カドミウム曝露
米国立小児保健・ヒト発育研究所の研究で、小児期に鉛への曝露レベルが高い女児では思春期の発来が遅れ、この関連は曝露量が多いほど顕著に見られるということがわかった。これまでの先行研究では、重金属への曝露が正常なホルモン産生パターンを妨害し、場合によっては生殖機能の発達に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。今回の研究では、女児700人超(6~11歳)の血液サンプルと尿サンプルのデータを検証。血中の鉛やインヒビンBなどの生殖ホルモンと尿中のカドミウムの濃度を測定した。インヒビンBは女児において、思春期発来の前に徐々に増加することが知られている。今回の研究では、血清中のインヒビンBの濃度が35pg/mLを超える場合に“思春期発来”と定義した。研究の結果、すべての年齢群で、鉛の曝露レベルが低度の女児よりも高度の女児で、血清中のインヒビンBが35pg/mLを超える割合が低い傾向にあった。一方、尿中のカドミウム単独ではこのような有意な関連は認められなかったが、鉛だけが高濃度の場合や鉛とカドミウムがともに低濃度の場合と比べて、鉛とカドミウムの濃度がともに高い女児ではインヒビンBがより低いことが分かった。米疾病対策センター(CDC)によると、カドミウムは腎、肺、骨を障害し、がんリスクを上昇させる。この結果から、鉛が単独か、もしくはカドミウムと協働して、女児が初潮を迎えるに当たって必要となる卵巣でのホルモン産生を抑制するのかもしれないと推測される。さらに、鉛曝露に関連した思春期発来の遅延は、鉄欠乏の影響を受けることも分かった。今回の研究では、鉛の曝露レベルが中等度~高度の女児では鉄分が欠乏していると、インヒビンBの濃度が極端に低かった。つまり、たとえ鉛の曝露レベルが中等度であっても、鉄分が欠乏している女児では、曝露レベルが高度の女児よりもインヒビンBの濃度が低いこともあるという。鉛曝露リスクが高い女児に対して、鉄分不足のスクリーニング検査を行う必要があろう。鉛への曝露は、子供が成長し、思春期を迎えるに当たって懸念すべき重大な課題であることが示された。このことは、小児が有鉛ガソリンや塗料、産業性汚染物質に曝露されている諸外国や米国のいくつかの地域にとって憂慮すべき問題である。米環境保護局(EPA)によると、鉛の曝露源として最も多いのは、劣化しつつある鉛ベース塗料や鉛汚染粉じん、鉛汚染住宅土壌である。
2011年4月17日日曜日
ワクチン同時接種
他のワクチンと同時接種後の死亡報告が相次ぎ、3月上旬から一時見合わせていた小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについて、4月から接種が再開している。心疾患など重い持病がある乳幼児については単独接種も検討し、同時接種が必要な場合には医師の判断で実施することになった。専門家検討会で、追加報告された2例を含む計7例の死亡例を検証。このうち6例で解剖が行われ、死因は感染症や乳幼児突然死症候群などの可能性が高いと報告された。いずれも接種と死亡との明確な因果関係は認められず、ワクチンの安全性に特段の問題はないと判断した。米国など海外の使用実績でも、10万人に0・1~1人の割合で接種後の死亡報告があるが、死因は感染症などが大半を占め、国内の死亡割合と大きな違いはなかった。
2011年4月16日土曜日
ヒブ、肺炎球菌ワクチン
接種後に乳幼児が死亡したとの報告が相次ぎ、予防接種の実施を見合わせていたインフルエンザ菌b型(ヒブ)、肺炎球菌の2ワクチンの接種が4月から再開している。専門家の検討会が、報告分については死亡と接種に明確な因果関係はないと判断した。死亡例の報告は3月に7件あった。いずれもヒブや肺炎球菌と、三種混合などのワクチンを同じ日に接種していたが、検討会では、国内外の事例を考慮しても「単独接種に比べて重い副作用の増加は認められない」と、同時接種の安全性に問題はないと認めた。ただ、重い持病のある子どもの場合は、医師が慎重に判断するべきだと指摘した。この2ワクチンは、子どもの細菌性髄膜炎などを予防する。昨年11月、市区町村がこれらのワクチンの接種と公費補助をする場合に国が半額負担する事業が始まった。死亡例の報告が相次いだのを受け、厚労省は3月4日から接種を見合わせていた。
2011年4月15日金曜日
高度受動喫煙と乳がん
喫煙女性だけでなく、高度の受動喫煙にさらされている女性も乳がんのリスクが高いということが、米ウエストバージニア大学の研究グループによってわかった。同グループは、50〜79歳の女性7万9,990例を対象に、閉経後女性の生涯にわたる能動喫煙および受動喫煙への曝露と浸潤性乳がんとの関係を検討した。平均10.3年間の追跡で3,520例に浸潤性乳がんが確認された。解析の結果、喫煙経験のない女性と比較した過去の喫煙者と現喫煙者の乳がんのリスクは伴に高かった。多い喫煙本数、長い喫煙期間、10歳代での喫煙開始が有意なリスク上昇と関係していた。最もリスクが高かったのは50年以上喫煙している女性で、喫煙による乳がんリスク上昇は、禁煙後20年まで続いた。また、高度(小児期に10年以上、成人期に自宅で20年以上、成人期に職場で10年以上)の受動喫煙への曝露によって乳がんのリスクは、受動喫煙への曝露がなかった女性と比較して高かった。しかし、受動喫煙への曝露が少ない女性では有意な関係はなく、累積曝露に対する明らかな用量反応は見られなかった。
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