2010年10月24日日曜日

予防接種3ワクチン

厚生労働省の予防接種部会は10月、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌、子宮頸がんの3種類のワクチンについて、公費で接種が可能な予防接種法の定期接種に位置づけるべきだとする緊急の意見書をまとめ、同省に提出した。
ヒブなどの3ワクチンは有効性、安全性も高く、国民の要請も強い。まずは国の補助事業として早期に接種を促進するなど、将来的な定期接種化に向けた動きを加速させてほしい。
同部会は年末をめどに提言をまとめる予定だったが、今年度補正予算の議論に反映させるため緊急に意見集約した。3ワクチンは、世界保健機関(WHO)が接種を勧告し、米、英など先進7カ国で定期接種のプログラムとして実施していないのは日本だけという。

2010年10月23日土曜日

不健康な四つの習慣

ノルウェーのオスロ大学の研究で、喫煙、運動不足、飲酒、偏った食事という四つの不健康な習慣の重複が、死亡リスクの大幅な増加と関連していることがわかった。
これまでの複数の研究で、(1)喫煙(2)運動不足(3)多量飲酒(4)重要度は劣るが野菜や果物の少ない食事—は、心血管疾患(CVD)、がん、早死などのリスク増と関連していることがわかっている。しかし、これら不健康な習慣の影響を調べた研究のほとんどは、各習慣の独立した影響を検討したものばかりである。
しかし現実には、複数の不健康なライフスタイル要因が併存している可能性がある。このような行動に対する公衆衛生上の影響を理解するには、一つの行動だけでなく、習慣の重複が健康に与える影響を調べる必要がある。
今回の研究では、1984~85年に18歳以上の参加者4,886例に聞き取り調査を行った。不健康な習慣一つにつき1点を加算して、健康習慣スコアを算出した。不健康な習慣は、(1)喫煙(2)果物と野菜の摂取が1日3回未満(3)1週間の運動時間が2時間未満(4)1週間の飲酒量が女性の場合は14単位超(1単位はアルコール8g)、男性の場合は21単位超—とした。
平均20年間の追跡期間中に1,080例が死亡したが、死因の内訳はCVD(431例)、がん(318例)、そのほか(331例)であった。
スコアが4点であった者は、0点であった者と比べて、CVDまたはがんで死亡するリスクが約3倍、そのほかの疾患による死亡リスクが4倍で、全死亡リスクは12歳年上の人と同等であった。また、不健康な習慣の数が一つ増えるごとに、全死亡と各疾患による死亡リスクが増加した。
ライフスタイルをわずかでも改善できれば、相当の効果が得られることが分かっている。今後の公衆衛生政策では、人口全体で健康的な食生活とライフスタイルを向上させるための効率的な方法について考える必要があるようだ。

2010年10月22日金曜日

乳児期の母親の愛情

米国のデューク大学の研究で、乳児期に母親から十分な愛情を受けた人は、成人後のストレス処理能力が高いことが分かった。
幼少期の経験が成人後の健康に及ぼす影響に関心が高まっているが、多くの研究は本人の記憶に頼っており、被験者を幼少期から成人期まで追跡した研究は少ない。今回の研究では、米ロードアイランド州の出生コホートにおける482例の分析を行った。
研究では、生後8カ月の定期的な発達検査において、心理学者が母親と乳児の交流の質を客観的に評価した。各セッションの終わりには、母親が小児の発達テストにどのように対処するか、また小児の成績にどのように反応するかについて質問票に記入した。母親の小児に対する愛情と注意のレベルは、「低い」から「非常に高い」までの範囲で分類した。
その後の追跡調査では、不安、敵意などの具体的な要素と全般的な苦痛レベルを示す有効な症状チェックリストを用いて、平均34歳時点で被験者の精神的な健康度を評価した。
生後8カ月の評価では、10例に1例(46例)の親子の相互反応において、母親の小児に対する愛情レベルが低いと分類された。大半(85%,409例)の母親の愛情レベルは正常と分類された。残りの6%(27例)の母親は、愛情レベルが非常に高いと判定された。
チェックリストの特定の要素を分析したところ、生後8カ月の時点で母親の愛情レベルが最も高いと評価された者は、不安、敵意、全般的な苦痛のレベルが最も低いことが分かった。
母親の愛情レベルが低い~正常に分類された者では、高いレベルに分類された者と比べて、不安スコアに7ポイント超の差が認められた。両群を比較すると、敵意スコアは3ポイント超、全般的な苦痛スコアには5ポイント超の差があった。
このパターンは、チェックリストの全要素にわたって観察され、母親の愛情が豊かであるほど成人期の苦痛レベルは低かった。
今回の研究結果から、人生のごく初期の経験が成人の健康に影響を与える可能性があるとする主張が裏付けられた。母親の高いレベルの愛情により、安心ときずなの形成が促進される可能性がある。その結果、苦痛レベルが低下するだけでなく、有効な社会的スキル、ストレス対応スキルなど生活全般にわたる処理能力を発達させることができ、成人後に安定した人生が可能になるだろう。

2010年10月21日木曜日

生殖医療

「インドでの代理出産プログラムをご提供」。インターネットで「インド、代理出産」と検索すると、こんな文言の並ぶウェブサイトにたどり着くらしい。"生殖ツアー"関連業者の広告だ。費用予想約700万円。先進国の不妊夫婦らの間では"安い費用"で済むインド女性に人気があり、同国では代理出産が外貨獲得のための重要産業になっているとされる。
これを可能にした技術こそ「体外受精」。今年のノーベル医学生理学賞受賞者に、1978年に世界初の体外受精児を誕生させ、同技術を開発したロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授(85)が決まった。
この技術開発を機に現在に至る「生殖革命」が始まったが、今日の世界的な状況を見ると同技術は不妊治療の枠を超えて利用され、負の側面があることも否定できない。生殖革命が無秩序に進めば人類自体を変化させる恐れすらあり、各国はその影響を注視することも求められるだろう。
こうした中、日本では50人に1人が体外受精で誕生しながら、これらを規制・管理する法律が全くなく、どこまで利用可能とするかの議論も尽くされていない。野田聖子自民党衆院議員(50)も第三者からの提供卵子を使った体外受精での妊娠を公表したばかりだ。国会は法制化に向け、生殖補助医療について本格的な討議を行うべきだ。
体外受精は当初、卵管の通過性が悪いことが原因で妊娠できない女性が対象だったが、技術発展などに伴い対象範囲も拡大。第三者提供の卵子や精子を使った体外受精や、第三者の女性が妊娠・出産する「代理出産」も、もたらした。
ただ、生殖技術の利用は(1)女性の身体的リスクが大きい(2)親子関係が複雑になる-などの問題が存在するほか、海外では生殖の商品化も進行。米国の一部では人種や美ぼう、学歴などの特性を記したカタログによって精子や卵子が売買されているほか、金銭目的の代理出産も行われている。
韓国では男女産み分けのために体外受精が行われるなど「命の選別」も進む。遺伝子操作が認められれば、望みの特性を持つ「デザイナー・ベビー」を産んだり、"スーパー人類"が誕生する可能性すらある。
日本では、エドワーズ氏の成功から5年後、東北大で初の体外受精児が誕生。一部クリニックでは提供卵子の利用や代理出産も実施されている。
政府は2003年、代理出産禁止や卵子提供制限などを柱とした法案を提出しようとしたが、自民党内の反対で頓挫。代理出産を限定的な範囲で事実上容認する民法特例法案を議員立法で提出する動きはあるが、親子関係をどう規定するかも含め、政府による法整備の動きは止まったままだ。
憲法13条の幸福追求権から導き出される「産む権利」と「生命の尊厳」などとのバランスをどう図っていくのか。根源的問題も含めた議論が求められている。

2010年10月20日水曜日

カナダの禁煙法

トロント大学臨床評価科学研究所の研究で、公共スペースや職場に加えてレストランなども禁煙とする禁煙法の施行により、心血管疾患による入院が39%、呼吸器疾患による入院が33%減少したことがわかった。
これまでの研究では,禁煙法の施行が心血管疾患、特に心筋梗塞のアウトカムにどのように影響するかについて検討されることが多かった。しかし、呼吸器疾患による入院への禁煙法の影響について調査した研究は少ない。
今回の研究では、1996年1月~2006年3月の10年間にわたり住民対象研究を行い、トロントで施行された禁煙法が、心血管疾患(急性心筋梗塞,狭心症,脳卒中)と呼吸器疾患(喘息,慢性閉塞性肺疾患,肺炎,気管支炎)による入院に与える影響について調査した。
トロントでは1999~2004年に、フェーズ1~3の3段階に分けて段階的に禁煙法を施行。入院の減少が最大だったのは、公共スペースや職場に加えてレストランでの喫煙が禁止されたフェーズ2施行後3年間であった。この期間に急性心筋梗塞、呼吸器疾患、心血管疾患による粗入院率はそれぞれ17%、33%、39%低下した。
今回の結果は、受動喫煙への曝露は健康に有害なため、曝露量を減らすための法制化が必要とするこれまでのエビデンスと一致している。さらに、どのような状況下で禁煙法が最も効力を発揮するかについて、さらなる研究が必要なようだ。

2010年10月19日火曜日

花粉症

気象情報会社「ウェザーニューズ」は、来春のスギとヒノキ(北海道はシラカバ)の花粉飛散量予測を発表した。全国平均で今年の5倍、近畿だと10倍、関東は7~8倍とみている。シラカバ花粉は今年と同等か多くなる見込み。
今夏の記録的猛暑と日照時間の長さから、雄花生産量が多くなるとみられるという。花粉症は無関係と思っていた人も来春は油断できなくなりそう。早めの対策が必要なようだ。
今春と比べた各地域の予測は以下の通り。
北海道1~2倍▽東北北部5~6倍▽東北南部2~3倍▽関東、甲信、北陸、東海7~8倍▽近畿10倍▽山陰2~3倍▽山陽5~6倍▽四国6~7倍▽九州2倍。

2010年10月18日月曜日

受動喫煙

ロンドン大学の研究で、健康な成人では、受動喫煙が精神健康度の低下や精神科入院リスクと関連することがわかった。
受動喫煙が身体に有害であることを示す文献は増えている。しかし、受動喫煙のメンタルヘルスへの影響についてはほとんど解明されていない。
今回の研究では、1998~2003年にスコットランドの健康調査に参加した精神疾患の既往がない非喫煙者5,560人(平均年齢49.8歳)と喫煙者2,595人(同44.8歳)を対象に調査した。参加者に精神健康調査票(GHQ-12)に回答してもらい、スコアが3点以上の場合を「精神健康度が低い」とみなした。また、平均6年間の追跡期間中の精神科入院について記録した。非喫煙者の受動喫煙は、唾液中のコチニン(ニコチンの代謝産物で、ニコチン曝露の信頼性の高い生化学的マーカー)を用いて評価した。
その結果、参加者の14.5%で精神健康度が低かった。受動喫煙量の多い非喫煙者(コチニン濃度0.70~15μg/L)では、コチニンが検出されなかった者と比べて精神健康度低下がみられる者が多かった。
平均6年間の追跡期間中、41人が精神科に入院していた。喫煙者と受動喫煙量の多かった非喫煙者は、いずれも受動喫煙量が少なかった非喫煙者に比べてうつ病、統合失調症、せん妄などにより精神科に入院する傾向が強かった。
動物実験のデータでは、たばこはネガティブな気分を引き起こす可能性があることが示唆されており、ヒトでの研究でも喫煙とうつ病の潜在的な関係が示されている。これらの知見を考慮すると、今回のデータはニコチンへの曝露がメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることを示唆する他のエビデンスと一致する。