2010年12月7日火曜日

地中海料理で皮膚がん予防

テルアビブ大学は「抗酸化物質とω3脂肪酸の豊富な食事を取る東部地中海諸国では、黒色腫の発症率は極めて低く、このような食生活には皮膚がんの予防効果がある」と発表した。同大学は、帽子や日よけの上着、スポーツウエアを着て日光を遮るとともに、「ギリシャ流」の食生活、つまりオリーブオイル、魚介類、ヨーグルト、カラフルな果物と野菜をしっかり取るよう勧めている。
太陽光線は皮膚を通過し、光酸化を起こすことで皮膚と免疫系に損傷を与え、直接細胞に影響を及ぼすだけでなく生体に備わる修復機能も低下させる。
以前の研究によると、太陽の紫外線は皮膚組織の分子を励起して酸化させることで皮膚の損傷をもたらす。同大学は「十分量の抗酸化物質を摂取しておけば、紫外線による損傷を低減させることができる」としている。
またその後の研究で、食品中の抗酸化物質、特にカロチノイド(果物や野菜に含まれる色素で、トマトやスイカの赤色や、ニンジンやカボチャのオレンジ色をつくる)は皮膚に蓄積されて防衛の第一線で働き、紅斑の発現を遅らせることが分かった。紅斑は皮膚がんにつながる恐れもある組織やDNAの初期損傷の徴候である。
同大学は「今回の研究結果は、気候変動が問題視される昨今の状況では特に重要だ」と強調。気温と湿度が上昇するほど太陽の紫外線による影響は大きくなり、日焼け止めだけでは完全に予防できなくなるとしている。つまり、肌の健康促進には、日よけや日焼け止めを十分に用い、日差しが最も強くなる時間帯の外出を避けるとともに、食生活の改善も考慮する必要がある。
食生活を改善する代わりにサプリメントを多量に摂取すればよいと考えがちだが、同大学は、サプリメントは簡便だがさほど効果がないと説明。「食品に含まれる栄養成分は相乗作用を示す。食品にはさまざまなビタミン、抗酸化物質が含まれ、これらの成分は相互に作用し合って生体に備わる防御機能を支援する。このような成分の相乗作用は健康に大きく役立ち、特定の成分しか含まないビタミンのサプリメントより優れた効果を示す」と述べている。
地中海料理を求めて、わざわざギリシャやイスラエル、トルコなどに行く必要はない。これらの食材は各国の食料品店でも手に入る。同大学は「オリーブオイル、新鮮な魚介類、果物や野菜、適量の赤ワイン、全粒穀類、豆類と十分な水を買えばよい」と助言している。
また同大学は、避けるべき食品も挙げている。牛肉などの赤身肉、加工食品、アルコールは控え(飲むなら赤ワインが良い)、紫外線に対する皮膚の感受性を高めるソラレンを含む食品(パセリ、セロリ、ディル、香草、イチジクなど)は取り過ぎないよう気を付けるべきだという。

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