2010年12月16日木曜日

認知症回避には・・・

仏国立衛生医学研究所は、認知症減少のために最も有効と考えられるのは、糖尿病とうつの予防、果物と野菜の摂取、そして教育レベルの改善であるとの研究結果を発表した。
認知症の正確な原因は分かっていないが、修正可能な危険因子はいくつか同定されている。それは、血管系の危険因子(心疾患、脳卒中、高血圧、肥満、糖尿病、高コレステロール)、うつの既往、食事内容、飲酒、学歴などである。
研究では、これらの危険因子のいずれの修正が将来の認知症の減少に最も効果があるかについて推計を試みた。1999~2001年に、南仏在住の65歳超の健康な男女1,433人を登録。被験者は認知機能テストを調査開始時および2、4、7年後に受けた。生涯の知性の指数として読解テストのスコアを用いた。既往症、身長、体重、学歴、月収、食事習慣、飲酒、喫煙などに関する情報を入手し、認知症の遺伝的リスクも測定した。
検討の結果、糖尿病やうつの予防、果物と野菜の摂取により、認知症の新規発症を全体で21%減少できると推定された。中でも、うつの予防がもたらす効果が10%強で最大であった。ただし、うつと認知症の間に直接的な因果関係があるかどうかについては不明のようだ。また教育レベルを高めることで、一般人口における7年以内の認知症発症が18%減少すると推定された。一方、既知の主要な遺伝的危険因子の除去によって見込める一般人口における7年以内の認知症発症の減少は7%にすぎなかった。
研究の結果から、公衆衛生上の施策としては、読み書き能力の向上、うつの迅速な治療、耐糖能低下とインスリン抵抗性の早期スクリーニングに重点を置くべきだとしている。
英国の研究では、認知症の診断後1年間の死亡率は認知症でない人の3倍超であることが明らかにされ、プライマリケアにおいて、より早期かつより的確に認知症を発見することが重要だとされている。

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