2010年12月11日土曜日

肥満患者でビタミンD欠乏

スウェーデンのウプサラ大学外科の研究で、肥満患者では重度のビタミンD欠乏を来しており、カルシウム(Ca)の代謝が不良であることがわかった。
今回の研究では、肥満患者のビタミンD欠乏だけでなく、全身のCa調節系まで検討された。このような広範囲にわたる検討の結果、肥満患者がCa代謝不良であるという仮説や、同代謝不良が副甲状腺機能になんらかの影響を及ぼしているというこれまでの推論を支持する知見が得られた。
ビタミンD欠乏に至る特異的な機序はいまだ解明されていないが、おそらく肥満がビタミンD欠乏を惹起し、その逆はないと考えられるとしている。
これまでにも肥満がビタミンD欠乏につながる機序については、(1)ビタミンDは脂溶性であるため、脂肪組織に取り込まれて、身体で不足する、(2)肥満の人は屋外で過ごす時間が少ない傾向にあるため、日光に当たる時間が不十分である、など多くの仮説が提唱されている。
研究結果から、肥満患者の治療では特に骨粗鬆症リスクを視野に入れた適切なフォローアップが重要であると言える。さらに、同大学肥満症ユニットでは現在、肥満患者に多量のビタミンDを処方しているが、プライマリケアの段階で、肥満とビタミンD欠乏症に関して意識を高める必要があるだろう。

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