2010年6月30日水曜日

医療制度満足度

日米中など先進、新興22カ国を対象にした医療制度に関する満足度調査で、手ごろで良質な医療を受けられると答えた日本人は15%にとどまり、22カ国中最低レベルであることが分かった。日本は国民皆保険制度があり、長寿社会を誇っているが、高齢者の医療保険の財源確保で苦労している。自国の医療制度に満足している人の割合が高いのはスウェーデン(75%)とカナダ(約70%)で、英国では55%が「満足」と回答。韓国、ロシアなどの満足の割合は30%以下だった。国民皆保険制度が未導入で、オバマ大統領による医療保険制度改革の議論で国論が二分した米国は、回答者の51%が手ごろな医療を受けられると回答した。
日本の満足度が低いのはなぜか? 身近に感じるのは、認知症があると診療を断られるケースが多い。また、超高齢者の、いわゆる老衰を診てくれる医療機関が少なすぎる。

2010年6月29日火曜日

流行性角結膜炎

流行性角結膜炎はウイルスで起こる急性の結膜炎のことで、別名「はやり目」ともいわれ、感染力が強い。学校保健安全法上の学校感染症の一つで、感染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。また、児童に限らず成人が感染した場合でも原則的に出勤停止となり、特に医療従事者の感染は時に患者への二次感染を引き起こす。

原因・症状
主にアデノウイルス8型により引き起こされるが、19型・37型によっても引き起こされる。以前はプールでうつる夏の病気だったが、近頃では一年中見られるようになった。1~2週間程度の潜伏期の後、発症する。結膜炎+角膜炎を起こすため、角結膜炎と呼ばれる。また全例ではないが、耳前リンパ節の腫脹を伴う。

結膜炎
・充血し、眼脂(めやに)が出る(ひどいときには「めやに」で目が開かないくらいに    
 なる)
・片目発症後、4~5日後に反対側の目も発症する場合が多い
・涙目になったり、まぶたがはれることもある
・視力が少し低下する場合がある
・症状が重くなると、耳前リンパ節が腫れて触ると痛みを伴う
・症状が強い人の場合は、まぶたの裏の結膜に白い膜ができ、眼球の結膜に癒  
 着をおこす
・症状が治まるまで約2~3週間かかる

角膜炎
・透明な角膜に点状の小さな混濁が生じ、眼痛を感じる
・眩しさやかすみを感じる
・視力障害を感じることもある
・黒目の表面がすりむける角膜びらんを伴い、目がゴロゴロしたり、眼痛がひどく       
 なる
・症状が数ヶ月~丸一年に及ぶこともある

診断・治療
結膜炎の原因はウイルス性の他、アレルギー性、細菌性などもあり、初期の段階での判断は難しい。症状や所見から当該疾患が疑われ診断されるが、現在では迅速診断法として抗原抗体反応を利用したELISAクロマトグラフィー法により、簡易キットを用いた早期段階での判断ができるようになってきている。しかし、検査で陰性であっても必ずしもEKCが否定できる訳ではなく、以下に述べる治療をしつつ数日間は経過を見る必要がある。
ウイルスに対する有効な薬剤はない。充血・炎症に対しステロイドの点眼を行い、細菌の混合感染の可能性に対しては、抗菌剤の点眼を行う。 特に新生児や乳幼児では、細菌の混合感染で角膜穿孔を起こす事があるので注意が必要。
角膜炎が強度になり視力低下や場合によっては失明の危険もあるため、早期に治療を開始する事が望ましい。

注意点
主として手を介した接触感染で、ウイルスに感染した眼を手で触れると、手にウイルスが付着し、そのまま、いろんな物に触れると、その物にウイルスが付いて、他の人がそれに触れて感染するという経路がほとんどとなる。
・手をよく洗い、手で目をこすったり、顔に触れたりしないこと。
・休養をとって体力をおとさない。
・風呂は最後に入り、その湯はすぐに捨てる。
・タオル類の共有はやめる。
・治ったように見えても、しばらくの間は外出などは控える。
・流行時には、院内感染による流行拡大もあるため、乳幼児は、診察を受けると
 き以外は病院につれて行かない。また、入院中の患者が感染した場合、急性期
 でない限り強制退院の対象となり得る。
                               <Wikipediaより引用>

2010年6月28日月曜日

シナプス

慶応大学神経生理学の研究チームは、大人の成熟した脳で神経回路が形成、維持されるのに、2種類のタンパク質の複合体が重要な役割を果たしていることをマウスの実験で解明した。この複合体は、小脳で神経細胞の接着や成熟を促すことを確認。小脳の病気による運動障害の新たな治療法開発につながるのではないかという。人間の脳は、1千億個を超える神経細胞が結合し神経回路をつくっている。細胞と細胞のつなぎ目である「シナプス」は発達に伴って形成され、大人になってからも学習によって改変されるが、大人の脳でシナプスがどのように形成、維持されるかはよく分かっていなかった。研究チームは大人のマウスを使った実験で、小脳にある顆粒細胞とプルキンエ細胞という2種類の神経細胞の間で、「Cbln1」と「GluD2」という2種類のタンパク質が複合体を形成し、細胞と細胞の間で「のり」のように働いて接着を促していることを突き止めた。これらに似たタンパク質は、記憶や学習に関係する海馬や大脳皮質にもあり、将来は、認知症や精神神経疾患の治療法開発にも役立つかもしれない。

2010年6月27日日曜日

後期高齢者健診

75歳以上の後期高齢者の健診受診率が、2009年度は40都道府県で前年度より上がり、全国平均は3ポイント増の24%になる見込みであることが、厚生労働省のまとめで分かった。後期高齢者医療制度が導入された08年度は、ほとんどの都道府県で受診率が低迷。だが制度が浸透して各地で健診の仕組みが整い、増加につながった。受診率が最も高かったのは東京の55%で、次いで富山の44%、群馬と埼玉の36%の順。愛知と熊本は前年度比で10ポイント以上の伸びとなった。受診率が最も低いのは和歌山の5%で、広島の8%、愛媛、長崎の9%と続く。東京と和歌山で10倍以上の差となり、伸び悩む地域の受診率向上が課題となりそうだ。各都道府県の広域連合が昨年12月までに受診率を推計し、厚労省に報告した。10年度については、各広域連合が老人クラブなど地域団体を通じた広報の強化や健診期間の延長を図り、前身の老人保健制度だった07年度の全国平均(26%)を上回る27%を目指す。後期高齢者を対象とした健診は「努力義務」ではあるが、糖尿病など生活習慣病の早期発見などのため、自治体ごとに受診を呼び掛けている。

2010年6月26日土曜日

あんしん情報セット

独り暮らしをしている80歳以上に、医療情報などをまとめて保管するための「あんしん情報セット」を無料配布している自治体がある。緊急時の迅速な救命活動につなげるのが狙い。専用シートに、名前や生年月日、血液型、かかりつけの医療機関、緊急連絡先などを記入。本人の写真、服用中の薬、診察券や薬手帳の写しなどと一緒に、円筒形の専用容器に入れる。容器は救急隊員らが分かりやすいように冷蔵庫で保管し、冷蔵庫の扉に容器があることを知らせる磁石式のステッカーを張る。

2010年6月25日金曜日

悪玉免疫細胞

関節リウマチや多発性硬化症などの原因となる悪玉免疫細胞を作る遺伝子を、東京医科歯科大学などのチームが突き止めた。この遺伝子の働きを抑えれば、関節リウマチなどの新しい治療法になると期待される。英科学誌ネイチャーに12日発表した。免疫細胞は通常、ウイルスなど体内に侵入した異物を探知して攻撃するが、悪玉細胞は自分自身の体も攻撃。神経細胞が傷つけば多発性硬化症、骨なら関節リウマチを引き起こす。同大の研究チームは、関節リウマチ患者の悪玉細胞で「IカッパーBゼータ」という遺伝子が働いているのを発見。マウスでこの遺伝子を働かないようにすると、悪玉細胞の数が通常の5分の1以下に減り、多発性硬化症を起こす薬剤を注射しても発症しなかった。関節リウマチは国内に約70万人、多発性硬化症は約1万2000人の患者がいる。IカッパーBゼータを狙い撃ちする薬を開発できれば、副作用が少ない治療法になるという。

2010年6月24日木曜日

喫煙と肺がん

喫煙率は年々低下しているのに、肺がんで亡くなる人は増えている。たばこは多くの発がん物質を含み、がんの原因の3分の1を占めるとされる。なかでも肺がんは、喫煙と強く関係しており、喫煙者の方が男性で4・4倍、女性で2・8倍なりやすい。日本での肺がんによる死者は1960年に5000人余りだったのが、98年には5万人を超え、胃がんを抜いてがんの種類別死亡原因のワースト1になった。その後も増え続け、2008年は約6万7000人が肺がんで亡くなっている。がんは、正常細胞がゆっくりとがん化していく病気。このため、喫煙率低下の影響が表れるのには、時間がかかる。世界でいち早く、たばこによる健康被害に警鐘を鳴らし、1960年代半ばから消費量が減り始めた米国でも、肺がん死亡率が低下に転じたのは90年代に入ってから。約25年かかった。日本人男性の喫煙率は60年代半ばから年々下がり、09年は39%にまで下がった。だが、たばこ消費量全体の伸びに歯止めがかかったのは90年代半ばになってから。米国の例をあてはめると、日本で肺がん死亡率が減るには、あと10年かかる計算になる。日本人男性の喫煙率は、欧米先進国に比べると、まだまだ高いのも問題。20-50歳代では40%を超える。むしろ、たばこを自由に手に入れることができなかった戦後混乱期に青年期を迎えた1930年代後半生まれの人の肺がん死亡率は低い。ちなみに、がんで亡くなる人が増えている最大の要因は、実は寿命が延びたこと。高齢化の影響を排除した「年齢調整死亡率」でみた場合には、男性の肺がん死亡率は90年代後半から下がり始めている。ただし40年代生まれの患者が増えることで、再び上昇に転じるとの見方もある。禁煙の効果は、個人レベルではもっと早く表れる。国際機関の研究では、禁煙後5-10年以内で肺がんの危険は減り、禁煙期間が長いほど危険度が下がる。たばこの価格を継続して大幅に引き上げる、職場、公共の場所を禁煙化するなどの対策が重要なようだ。

2010年6月23日水曜日

アルツハイマー病

アルツハイマー病の特徴の一つとされる脳の老人斑(アミロイド斑)がなくてもアルツハイマー病の症状が起きることを、大阪市立大などの研究チームがマウスで実証した。このことから、老人斑を抑制するだけでは有効な予防や治療にならない可能性がある。老人斑はアミロイドベータ(Aβ)というたんぱく質が繊維状につながったもので、アルツハイマー病の原因の一つと考えられている。だが、実際の患者の症状の重さと老人斑の数が比例しなかったり、老人斑がなくても発症するケースがヒトで報告されている。大阪市立大の研究チームは、患者の脳では老人斑だけでなくAβの分子が数個~数十個集まった「重合体」も蓄積されていることに着目した。そこで重合体はできるが老人斑はできない遺伝子改変マウスを作製。8カ月ごろからAβの重合体が目立って増えた。それに伴い、記憶中枢である海馬では神経細胞が減少し、平均寿命に近い24カ月(ヒトの80歳程度)では普通のマウスの半分近くになった。プール内の休憩場所を覚えさせる記憶テストでも、8カ月の遺伝子改変マウスは同月齢の普通のマウスが1週間程度で覚える課題をこなせなかった。チームはこうした症状から、老人斑のないマウスもアルツハイマー病を発症したと結論づけた。

2010年6月22日火曜日

末梢血幹細胞移植

骨髄移植推進財団は、白血病の治療のために、健康な人の血液から、血液のもとになる造血幹細胞を取り出して移植する末梢血幹細胞移植について、これまで血縁者間に限られていた移植を、非血縁者間でも行う方針を決めた。厚生労働省の了承を得た上で、今年10月から実施する予定。末梢血幹細胞移植は、骨髄移植と違い提供者に全身麻酔をする必要がないのが利点。海外では白血病治療の主流となっているが、国内では、血縁者間に限り実施されているため、年間500件程度にとどまっている。同財団は運営する日本骨髄バンクへの登録者の約36万人の中からドナーを選ぶ考えで、年内は施設を限定して1~2件実施、来年は15~20件を実施する方針。5年後以降は160施設程度での実施を目指す。末梢血幹細胞移植を行う場合、ドナーには移植前に幹細胞を増やす薬剤を投与するが、2002年にドナーの女性が白血病を発症して死亡。厚労省研究班が、幹細胞を提供した3264人を追跡調査した結果、薬剤と白血病の関係は否定できると結論付けていた。非血縁者間の末梢血幹細胞移植の導入は今後、移植件数の増加につながるだろう。

2010年6月21日月曜日

ポリオワクチン

厚生労働省は、ポリオ(小児まひ)のワクチン開発を行っている国内4社に対し、生きたウイルスを使っておらず、予防接種による感染の恐れがない「不活化ワクチン」の開発を急ぐよう依頼する文書を出した。国内では現在、毒性は弱いが生きたウイルスを使った「生ワクチン」による予防接種を実施。生ワクチンでは数十万~数百万人に1人の割合でまひなどの症状が出ることがあるため、先進国の多くで使われている不活化ワクチンへの切り替えを求める声が患者団体などから上がっている。厚労省によると、国内4社はジフテリア、百日ぜき、破傷風に不活化ポリオを加えた4種混合ワクチンを開発中で、来年にも薬事承認が申請される見通しという。

2010年6月20日日曜日

日本人の腸内細菌

日本人の腸内細菌には北米人で見られない海藻を消化する酵素の遺伝子があることが、フランスとカナダの研究でわかった。のり巻きずしなどを食べる習慣を通じ、ノリに潜んでいた海の微生物が持つ能力を腸内細菌が取り込んだ可能性が高いという。研究グループは、日本人13人と北米人18人の腸内細菌のゲノム(全遺伝情報)を網羅的に解析。すると日本人の腸内細菌だけから、ノリの仲間を餌にしている海洋微生物が持つ、炭水化物を分解する酵素を作る遺伝子が見つかった。人間は自力では消化できない食物からも栄養を摂取するため、細菌に腸というすみかを与え、代わりに、細菌が持つ消化の力を借りている。研究グループは、腸内細菌の働きは多様だが、食べ物に付着した微生物からその機能がもたらされているのだろうと分析。地域の食文化と、腸内細菌の特性の関連を示すものだ。

2010年6月19日土曜日

環境と脳の発達

幼児期に脳の神経回路が形成される際、神経細胞が外部から刺激を受けて活発に活動することで細胞間の結合がより強化されることを大阪大と東京大のチームが突き止めた。先天的な要因だけでなく、視覚や聴覚などの五感から受ける後天的な環境も脳の発達に影響しているようだ。研究では試験管内で脳の神経細胞の配線を再現。神経回路をつくる軸索の起点となる脳の「視床」と、軸索がのびる標的となる「大脳皮質細胞」で、刺激を受けたときに出る電気的パルスをそれぞれ観察し、細胞の活動が軸索の枝分かれに与える影響を調べた。すると、視床と大脳皮質細胞のどちらか一方でも活動が弱いと枝分かれは起こらず、両方が同時に活発な場合にのみ枝分かれが促進され、神経細胞間の結合が強化されることが分かった。

2010年6月18日金曜日

認知症

認知症患者が介護保険制度開始当初の予想を大きく上回る勢いで増えている。施設不足の中、長期ケアに適さない精神科が受け皿になる現状もある。今後、認知症患者を誰がどこでみるのかが課題である。精神科病院に入院し、徘徊などの症状が落ち着いても、退院のめどが立たない。「これ以上面倒を見られない」と、家族が引き取りを拒否するからだ。介護施設はどこも満杯で入れない。医療費を滞納し、まるで家族が捨てていったような場合もある。今、精神科病院で認知症の入院患者が増えている。暴力や暴言で家族や施設が困り果て”最後のとりで”として頼ってくるからだ。症状が治まれば退院できるのに行き先はない。結果的に社会的入院を続けることになる。厚生労働省によると、2008年の精神病床の認知症入院患者は1999年に比べ4割多い約5万人に増加。長期入院患者の退院促進などで空きベッドを抱える精神科病院と介護施設不足で行き場のない利用者のニーズがマッチした形だ。精神科では重い精神症状がある患者などを治療してきたが、すべての医師が認知症に詳しいわけではない。認知症病棟ではなく、一般病棟に入るケースもあり、長期入院には適さない。認知症で要介護度が重い人や合併症のある人、低所得者などへの早急な対策が必要で、精神科病院への安易な受け入れは社会的入院患者を多く抱えた過ちを繰り返してしまう恐れがある。厚労省は、08年に「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」を開始、対策の軸足を介護から医療にやや移した。しかし対策は遅々として進まない。治療の中核として全国150カ所に設置予定だった「認知症疾患医療センター」は今年2月時点で半分以下にとどまっている。認知症を診る医師は増えてきたが、全国で千人程度との見方もある。国内でアルツハイマー型認知症の薬を販売する製薬会社によると、まだ患者の5割強にしか届いていない計算になるという。認知症患者は15年には250万人になる見通し。認知症を専門医や専門機関だけで診ていくのは今後は難しいというのが関係者の見方だ。施設以外での受け皿となるグループホームが急増中だが、防火など設備面の対策も課題となっている。介護現場からは「早期発見のための医療と介護の連携や24時間対応の見守りを可能にする包括的サービス導入が必要」などの声が上がる。認知症に特化した介護サービスの提供は制度見直しの大きな柱となりそう。

2010年6月17日木曜日

さする

打撲したり骨折したりした場合に痛む場所を「さする」という動作には、傷ついた神経回路を修復する効果があることが、群馬大大学院の研究でわかった。研究では、神経細胞にあって熱を感じるセンサーの役割を果たすタンパク質「TRPV2」に注目。マウスやニワトリの細胞を使った実験で、TRPV2があると、TRPV2をなくした細胞に比べて、刺激を伝える神経の「突起」という部分が長く伸びた。「さする」行為と同様の刺激を与えるため、TRPV2がある人間の神経細胞を載せた膜を引っ張ると、細胞が反応することを確認。TRPV2が物理的な刺激を受け止めるセンサーの役割を果たし、人間でも突起が伸びて神経が再生するのを促していると考えられるという。将来、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞などを使った再生医療技術と組み合わせると、効果的な神経再生に役立つ可能性があるのではないかとしている。

2010年6月16日水曜日

はしか・風しんワクチン

総務省は今年3月、海外へ修学旅行に行く高校2年生も、はしかの無料予防接種の対象に含めることができるか検討するよう厚生労働省に要請した。定期の予防接種の対象は現在、1歳と小学校入学前の1年間、中学1年生、高校3年生。2008年度に修学旅行で海外に出た約17万人の高校生のうち、約9割は2年生。海外で発症した例もあり、防止のため検討する必要があるとした。要請は、行政相談を受けた総務省が、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ行った。このほか総務省は「薬の処方せんの使用期間は4日以内」などの広報啓発を厚労省に求めた。

2010年6月15日火曜日

朝食

内閣府が発表した「食育の現状と意識に関する調査」によると、朝食を「ほとんど食べない」と答えた人が、20代男性で24・8%となり、年代別で最高だった。女性でも20代が11・8%と最も高かった。調査は2005年に始まり今回で5回目。朝食を食べる頻度に関する質問は初めて。内閣府による調査でも男女ともに若年層ほど朝食を抜く実態が浮き彫りになった。30代男性も21・4%と20代に次いで高かった。一方、60歳以上では90%を超える男女が「ほとんど毎日食べる」とした。結婚との関係では、「ほとんど食べない」と答えた男性のうち未婚者は22・7%だったが、既婚者は7・1%。女性も未婚者11・5%、既婚者3・9%で、未婚者の方が朝食を食べない傾向にあった。

2010年6月14日月曜日

喫煙率

喫煙率は東が高く西は低い。国立がんセンターがん対策情報センターは、都道府県別の成人喫煙率を公表。最新の2007年の集計では、最も高い北海道(31・5%)と最も低い島根(21・0%)は10ポイント以上の差があった。受動喫煙防止条例を制定した神奈川のように、都道府県でも独自にたばこ対策に取り組む余地があるのではないだろうか。厚生労働省の「国民生活基礎調査」のうち、01年から3年に1回調査している喫煙状況で「毎日吸う」と「時々吸う」と答えた人数を集計、分析した。全国平均は01年に30・5%だったが、07年に25・6%になり、年に1ポイント程度のペースで下がっていると推測される。07年の喫煙率が高いのは北海道、青森、宮城の順で、低いのは島根、鹿児島、奈良の順。男女別では、男性は青森、北海道、福島など北関東以北、女性は北海道、東京、神奈川など政令市がある地域などで高い傾向があった。

2010年6月13日日曜日

手足口病

ピコルナウイルス科のエンテロウイルスの一種が原因となっておこるウイルス性疾患。病名は手のひら、足の裏、口内に水疱が発生することに由来する。原因となるウイルスに、コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71などが挙げられる。本症は中等度の感染力があり、粘液や外気からの直接感染または感染者の糞便により伝染する。症状としては、発熱 や口唇周囲の紅潮 、手掌と足底の水ぶくれやただれなどがある。ただし、常に全ての徴候が出現するとは限らない。手足口病のための特別な治療はない。ただれた部位の熱や痛みといった個々の症状は、薬物を用いて緩和することができる。本症は、一定の過程を経て進行するウイルス性疾患であり、症状が重篤でない限り、薬が出さないことが多い。通常、感染症が治るまで自宅で安静にすることが病気に苦しむ子供にとって最も大切なことである。熱冷ましは高熱を下げるのに役立ち、水やぬるま湯による入浴もまた、乳幼児の熱を下げるのに役立つ。なお本症は、家畜感染症である口蹄疫とは異なる(口蹄疫の原因もピコルナウイルス科の一種であるが、ヒトにおいては発症しない)。手足口病は通常、乳幼児に感染し、病気としてはごくありふれたものである。 本症は通常、保育所幼稚園での流行として、夏季に起こるのが一般的である。

2010年6月12日土曜日

ヘルパンギーナ2

臨床症状
2~4日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2mm 、場合により大きいものでは5mmほどの紅暈で囲まれた小水疱が出現する。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴う。発熱については2~4日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失する。発熱時に熱性けいれんを伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがあるが、ほとんどは予後良好である。エンテロウイルス感染は多彩な病状を示す疾患であり、ヘルパンギーナの場合にもまれには無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがある。前者の場合には発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきであるが、項部硬直は見られないことも多い。後者に関しては、心不全徴候の出現に十分注意することが必要である。鑑別診断として、単純ヘルペスウイルス1型による歯肉口内炎(口腔病変は歯齦・舌に顕著)、手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多い)などがあげられる。

治療・予防
通常は対症療法のみであり、発熱や頭痛などに対してはアセトアミノフェンなどを用いることもある。時には脱水に対する治療が必要なこともある。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要であるが、後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれる。特異的な予防法はないが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどである。

学校保健法における取り扱い
ヘルパンギーナは学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定されてはなく、一律に「学校長の判断によって出席停止の扱いをするもの」とはならない。したがって、欠席者が多くなり、授業などに支障をきたしそうな場合、流行の大きさ、あるいは合併症の発生などから保護者の間で不安が多い場合など、「学校長が学校医と相談をして第3 種学校伝染病としての扱いをすることがあり得る病気」と解釈される。本症では、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあるので、急性期のみの登校登園停止による学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができない。本症の大部分は軽症疾患であり、登校登園については手足口病と同様、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられる。

2010年6月11日金曜日

ヘルパンギーナ1

発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎であり、いわゆる夏かぜの代表的疾患。その大多数はエンテロウイルス属、流行性のものは特にA群コクサッキーウイルスの感染によるもの。

疫 学
我が国では毎年5 月頃より増加し始め、6~7月にかけてピーク を形成し、8月に減少、9~10月にかけてほとんど見られなくなる。国内での流行は例年西から東へと推移する。患者の年齢は4歳以下がほとんどであり、1歳代がもっとも多く、ついで2、3、4、0歳代の順となる。

病原体
エンテロウイルスとは、ピコルナウイルス科に属する多数のウイルスの総称であり、ポリオウイルス、A群コクサッキーウイルス(CA)、B群コクサッキーウイルス(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71 型)など多くを含む。ヘルパンギーナに関してはCA が主な病因であり、2、3、4、5、6、10型などの血清型が分離される。なかでもCA4がもっとも多く、CA10、CA6 などが続く。またCB 、エコーウイルスなどが関係することもある。エンテロウイルス属の宿主はヒトだけであり、感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染であり、急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いが、エンテロウイルス感染としての性格上、回復後にも2~4週間の長期にわたり便からウイルスが検出される。

2010年6月10日木曜日

肺炎球菌ワクチン

三重大学大学院・呼吸器内科の研究グループは、これまで明らかにされていなかった、施設入所者に対する肺炎球菌ワクチンの有効性について試験の結果、ワクチン接種が入所者の肺炎発症および死亡率の低下をもたらし有効性が確認されたことを報告した。研究グループは、三重県内の高齢者施設(9病院および23の病院関連施設)から1,006名の被験者を登録し試験を行った。被験者は、2006年3月~2007年1月の間に登録され、ワクチン接種群(502例)とプラセボ群に無作為化され、2009年3月末まで観察が行われた。結果、肺炎発症が確認されたのは、ワクチン接種群63例(12.5%)、プラセボ群104例(20.6%)だった。肺炎球菌性肺炎と診断されたのは、ワクチン接種群14例(2.8%)、プラセボ群37例(7.3%)だった。全原因肺炎および肺炎球菌性肺炎の発生率は、ワクチン群よりもプラセボ群で有意に高かった。また肺炎球菌性肺炎による死亡も、プラセボ群が有意に高かった。全原因肺炎による死亡率とその他原因による死亡率については、ワクチン接種群とプラセボ群とで差異はなかった。日本では現在、施設入所者への肺炎球菌ワクチン接種は国策として推奨されていない。しかし、海外におけるこれまでの報告(施設肺炎リスクは地域の14倍、発生施設の接種率は5%、接種施設の緊急搬送の減少)、過去の実態調査(日本の高齢者施設の接種率は3%未満)および今回得られた知見は、日本の高齢施設入所者の死亡率および医療費低減のため、肺炎球菌ワクチン接種を国策として行うことの必要性を提起するものである。

2010年6月9日水曜日

妊娠糖尿病

妊娠中、特に妊娠初期(1~12週まで)における過度の体重増加は、妊娠中期(13~24週まで)から後期(25週~出産まで)の妊娠糖尿病の発症リスクを上昇させることが、米カイザーパーマネンテ研究所の研究で明らかになった。研究では、1996年から1998年の3年間に出産した女性の記録から、妊娠糖尿病345例および非妊娠糖尿病800例のデータを検討した。出産時年齢や経産歴、妊娠前のボディ・マス・インデックス(BMI)、人種などの因子を調整した結果、妊娠中の体重増加が米国医学研究所推奨範囲を超えた妊婦では、増加が推奨範囲内あるいはそれ以下だった妊婦に比べて、妊娠糖尿病の発症リスクが50%上昇することが判明した。妊娠中の体重増加と妊娠糖尿病の関連は、過体重や非白人女性において最も強かったという。研究では、妊娠初期の体重増加は修正可能な危険因子であることも明らかになった。医療従事者は、患者が特に妊娠初期のうちに適切な妊娠体重について話しを行い、妊婦の体重増加を監視していく必要がある。妊娠糖尿病は米国で全妊娠の7%に合併するとされ、早産や帝王切開、産後の2型糖尿病発症の原因になるだけでなく、出生児の将来の糖尿病発症や肥満リスクも上昇させる。

2010年6月8日火曜日

統合的ケアプログラム

慢性腰痛のため仕事ができない患者が特定のタイプのリハビリテーションプログラムを受けると、平均4カ月早い回復がみられることが新しい研究で示された。オランダおよびカナダのグループによる今回の研究では、仕事のできない状態が平均6カ月続いている18~65歳の慢性腰痛患者134人を対象に、通常の治療を受ける群と「統合的ケア(integrated care)」と呼ばれるプログラムを受ける群に無作為に割り付けた。統合的ケアプログラムでは、労働環境に適応するための調整や、患者に安全な動き方と積極的に動くことを教える運動プログラムを実施した。1年の間に、統合的ケアプログラムを受けた患者は平均88日で仕事に復帰することができたが、通常の治療を受けた患者は復帰までに平均208日を要した。疼痛の改善レベルについては両群間に統計学的有意差は認められなかったものの、統合的ケアプログラムによって患者の機能的状態が有意に改善され、自宅と職場の両方で身体障害が軽減されたと研究著者らは指摘している。

2010年6月7日月曜日

職場検診

厚生労働省は、職場で実施する定期健康診断で、血液、血圧、心電図などの検
査結果に何らかの異常が見られた労働者の割合(有所見率)が高かった事業場に対し、改善に向けた取り組みを強化するよう指導する方針を決めた。厚労省が50人以上の事業場を対象に2008年に実施した調査によると、有所見率は51・3%で9年間で約8ポイント増加。脳・心臓疾患による労災支給決定件数も08年度は377件と増加傾向にある。労働局ではこれまで事業場に健康診断の結果報告を求めるだけだったが、過労死を防止するためにも取り組み強化が不可欠と判断した。全国に300以上ある労働基準監督署が、有所見率が高いと判断した事業場をそれぞれ一つ以上抽出。労働者の作業内容の転換や労働時間短縮などの措置を確実に実施するよう指導し、保健指導や健康教育も行うよう要請する。厚労省の05年の調査では、有所見者に対し作業内容の転換や労働時間の短縮などの措置をした事業場は39%、保健指導は35%にとどまっていた。

RSウイルスチェック

RSウイルスチェック
□38度以上の熱がある
□呼吸が浅く、呼吸数が1分間に60回近くなる
□ゼイゼイせきが続く
□たんが詰まる
□発症後、数時間で急激にぐったりする
 (以上の項目に一つでも当てはまったら受診を)

2010年6月5日土曜日

RSウイルス

かぜ症状を起こす呼吸器感染症の原因ウイルスは、数百種にも及ぶといわれる。中でも乳幼児が最も感染しやすいのがRSウイルス。2歳までにほぼすべての子どもが感染し、持病があったり早産だった子どもは重症化しやすいにもかかわらず、認知度は低い。冬季に乳児が鼻汁、せきに続いてゼイゼイ言うような場合は30~40%がRSウイルス感染症によると考えられる。大人は鼻孔などの上気道の感染で済むため症状は軽いが、乳幼児は気管支などの下気道に感染するため、重症化する恐れがある。気管支炎にかかると呼吸困難のため不機嫌になったり、哺乳量が減少し、食欲の減退、嘔吐などを起こす。呼吸の度にゼイゼイ、ヒューヒューという音を伴って小鼻をピクピクさせる様子が見られ、さらに悪化すると血液中の酸素濃度が低下し、唇や顔色が紫色になる「チアノーゼ」が見られるようになる。鼻が詰まって息苦しそうな場合には、早急に小児科を受診すべきだ。RSウイルスは、感染した人のせきで生じた飛沫や気道から分泌された鼻水などに接触することで感染する。さらに鼻や口の粘膜に加えて目からも感染すると考えられている。看護する人や家族、特にかぜ症状の人はマスクをして、手を洗うことも重要になる。RSウイルスは非常に感染力が強く、ウイルスがおもちゃなどに付いて4~7時間は感染力を持つとされる。乳幼児は手近に置いてあるものを何でも口に入れたがる。家庭内にかぜをひいている人がいるときは、アルコールティッシュなどで赤ちゃんの周りのものをこまめに消毒することが大切。ウイルスはエンベロープという表面膜を持つが、せっけんや消毒用アルコール、塩素系消毒薬などに触れると、すぐに感染力を失う。また、流行する秋から春にかけては、特に小さな子どもを人ごみに連れて行かない配慮も必要。RSウイルスは感染しても持続的な免疫ができにくい。予防のためのワクチン開発は30年近く続けられているが、実用化には至っていない。抗体医薬は高価で、最善の予防法は周囲の大人も含めた手洗いなどの励行。