2010年6月5日土曜日

RSウイルス

かぜ症状を起こす呼吸器感染症の原因ウイルスは、数百種にも及ぶといわれる。中でも乳幼児が最も感染しやすいのがRSウイルス。2歳までにほぼすべての子どもが感染し、持病があったり早産だった子どもは重症化しやすいにもかかわらず、認知度は低い。冬季に乳児が鼻汁、せきに続いてゼイゼイ言うような場合は30~40%がRSウイルス感染症によると考えられる。大人は鼻孔などの上気道の感染で済むため症状は軽いが、乳幼児は気管支などの下気道に感染するため、重症化する恐れがある。気管支炎にかかると呼吸困難のため不機嫌になったり、哺乳量が減少し、食欲の減退、嘔吐などを起こす。呼吸の度にゼイゼイ、ヒューヒューという音を伴って小鼻をピクピクさせる様子が見られ、さらに悪化すると血液中の酸素濃度が低下し、唇や顔色が紫色になる「チアノーゼ」が見られるようになる。鼻が詰まって息苦しそうな場合には、早急に小児科を受診すべきだ。RSウイルスは、感染した人のせきで生じた飛沫や気道から分泌された鼻水などに接触することで感染する。さらに鼻や口の粘膜に加えて目からも感染すると考えられている。看護する人や家族、特にかぜ症状の人はマスクをして、手を洗うことも重要になる。RSウイルスは非常に感染力が強く、ウイルスがおもちゃなどに付いて4~7時間は感染力を持つとされる。乳幼児は手近に置いてあるものを何でも口に入れたがる。家庭内にかぜをひいている人がいるときは、アルコールティッシュなどで赤ちゃんの周りのものをこまめに消毒することが大切。ウイルスはエンベロープという表面膜を持つが、せっけんや消毒用アルコール、塩素系消毒薬などに触れると、すぐに感染力を失う。また、流行する秋から春にかけては、特に小さな子どもを人ごみに連れて行かない配慮も必要。RSウイルスは感染しても持続的な免疫ができにくい。予防のためのワクチン開発は30年近く続けられているが、実用化には至っていない。抗体医薬は高価で、最善の予防法は周囲の大人も含めた手洗いなどの励行。

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