2010年7月31日土曜日

ハチ刺症の応急処置

・口で毒を吸い出さない(毒吸引器で吸い出す)
・きれいな水で患部を洗う
・患部を冷やす(毒の吸収を遅らせる)
・患部に残った針には触らない(針をつまむと残った毒を体内に押し込む可能性がある)
・(腕、足の場合)患部より上を軽く縛る
・患者を移動させるときは担架などを使う(背負うと患者の胸が圧迫されるため)

2010年7月30日金曜日

ハチ刺症

命にかかわることがある虫刺されがハチ。気分が悪い、息苦しい、体から力が抜けるなどの症状がある場合はすぐに救急車を呼ぶべきである。全身症状がなくても、複数個所を刺されたら早急に救急外来を受診しなければならない。ハチに刺されると有毒物質で痛みや皮膚の赤みが生じ、だんだん膨らみが増す。初めての場合は痛みだけで済むが、2回目以降では、刺された直後よりも2、3日後に症状が最も強くなり、1週間前後で治まることが多い。刺されたら、アウトドア専門店などで販売されている毒吸引器で吸い出し、患部をきれいな水で洗う。アンモニア水や尿にハチ毒を中和する効果はなく、患部にかけてはいけない。口内の粘膜や傷から毒が入り込む危険もあり、口で吸い出すことも避けたい。最も心配なのは、血圧低下や呼吸停止などの急性アレルギー反応「アナフィラキシーショック」。刺されて7分で死亡したケースもある。初めて刺されたときでも、一度に数十匹に刺されると何日も体内にハチ毒が残り、数日後にショックを起こすこともあるので注意が必要。

2010年7月29日木曜日

虫刺され

一口に虫刺されといっても、虫の種類や過去に刺された頻度などによって症状は千差万別。ハチはもちろん、蚊やブユでも炎症が強ければ皮膚科に相談した方が良い。虫刺されは、医療現場では虫刺症、虫咬症などと呼ばれる。原因は、①蚊やブユなどが血を吸うときに注入する血液の凝固を防ぐ物質と②ハチやムカデ、ドクガの幼虫(毛虫)などが攻撃や保身のために持つ有毒物質に大別される。家庭でも頻繁に経験するのは、蚊やノミ、ブユに刺され、かゆみやぷつんと膨らんだ赤い発疹などが出るケース。蚊などの血液凝固を防ぐ物質は有毒ではないが、人の体が「異物」と判断するため、アレルギー反応によるかゆみや赤みが起こる。一般的に、生まれて初めて蚊に刺されたときは無症状だが、何度か刺されると1~2日後に症状が出るようになる(遅延型反応)。繰り返し刺されて幼稚園~小学生くらいの年齢になると、刺されてすぐに出る症状(即時型反応)と遅延型の両方が出る。刺されて症状が出てから1、2時間程度でいったん治まったあと、再び赤みやかゆみ、腫れが数日以上続くケースだ。さらに同じ虫に刺され続けると、最後にはアレルギー反応が出なくなることがある。治療は、激しいかゆみがあるときは患部を冷やし、ステロイドの入った塗り薬などを使う。炎症が強ければ抗ヒスタミン剤なども内服する。虫刺されのように見えても実は肝疾患や血液疾患、金属アレルギーなど別の病気が原因のこともある。

2010年7月28日水曜日

肥満抑制タンパク

細胞内で脂肪のもととなる物質ができるのを妨げたり、脂肪を溶かして減らしたりする作用があるタンパク質を、東京大学疾患生命科学教室が見つけた。この研究が肥満治療の新薬開発につながる可能性がある。脂肪細胞には脂肪の貯蔵庫となる脂肪滴があり、滴の数が増えたり脂肪を蓄えて大きくなると肥満になる。研究では、「AIM」というタンパク質が体重の増減に関与することに着目。脂肪のもととなる「脂肪酸」を糖から合成する酵素の働きを、AIMが抑制していることを突き止めた。AIMは脂肪細胞の成熟を抑制、細胞外から脂肪酸を取り込めないように働いていた。脂肪細胞にAIMを加えると、脂肪滴が溶けて小さくなる。脂肪酸の不足を補うよう滴の脂肪が分解されるらしい。太り始めると血液中のAIM濃度が高まることも判明、AIMは太りすぎを抑える役割を果たし、その能力を超える脂肪蓄積が進むと肥満になるらしい。AIMはもともと人間が持つタンパク質なので副作用もない。肥満になってから投与しても効果があるという。

2010年7月27日火曜日

アレルギー抑制分子

筑波大免疫学教室は、花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギーの発症を抑える分子を突き止めた。この分子の活動を強める薬を開発すれば、アレルギーを抑える根本的な治療につながるかもしれない。花粉やダニなどのアレルギーの原因となる抗原が体内に侵入し、「IgE」という抗体と結び付き、肥満細胞と結合すると、肥満細胞から炎症を引き起こすヒスタミンなどの化学物質が放出されてアレルギー症状が出る。研究では、この肥満細胞の活性化を抑える分子を発見した。この分子に刺激を加えると活性化し、肥満細胞から放出される化学物質は約半分に抑えられた。今回の研究では、この分子を「アラジン1」と名付けたようだ。

2010年7月26日月曜日

酒かす

かす汁など冬の家庭料理で親しまれている酒かすに含まれる成分が、肝臓を保護する効果があるということが、月桂冠総合研究所の実験で明らかになった。強い酸化力をもつ「活性酸素」が体内で増えると、臓器が傷つくなどして、様々な病気を引き起こす。特に肝臓は血液にのって活性酸素や過酸化脂質が集まりやすく、酸化を防ぐことが重要だと考えられている。同研究所は、日本酒を製造する過程で副産物としてできる酒かすの約6割を占めるたんぱく質に注目。これを酵素で分解してペプチドと呼ばれる断片にし、その働きを調べたところ、肝臓内で活性酸素を防御する働きがあるグルタチオンという物質と同様の酸化抑制作用があることを確認した。このことから研究員らは、酒かすに含まれる成分に肝機能保護や肝障害予防の効果があると結論づけた。 http://www.yamawaki-iin.jp

2010年7月25日日曜日

人口動態

女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す2009年の合計特殊出生率が、08年と同じ1・37だったことが、厚生労働省の人口動態統計で分かった。06年以降続いていた上昇傾向が4年ぶりにストップ。赤ちゃんの出生数も減少し、出生数から死亡数を引いた人口の自然増減数はマイナス7万1895人で、過去最多の自然減になった。厚労省によると、出生率は05年に過去最低の1・26を記録したが、30代の出産が増えるなどしたため上昇が続いていた。09年は15~49歳の女性人口が約2653万1千人と08年に比べ約22万6千人減少。厚労省は「母親となるこの層の減少自体が出生率の横ばいにつながった」とみている。年齢別では、10~20代はいずれも08年より下降したが、30代以上は上昇。最も高かったのは30~34歳。都道府県別では沖縄が最高の1・79、次いで宮崎1・61、熊本1・58、鹿児島1・56。最低は東京の1・12で、次いで北海道1・19、京都1・20の順。国内で生まれた日本人の赤ちゃんは107万25人で、08年より2万1131人減少した。死亡数は487人減の114万1920人で、戦後の統計が残っている1947年以降では08年に次ぐ多さ。死因で最も多かったのはがんの34万3954人で29年連続首位。次いで心疾患18万602人、脳血管疾患12万2274人。自殺は3万649人で前年より420人増えた。結婚したカップルは70万7824組で1万8282組減。一方、離婚は2272組増の25万3408組だった。

2010年7月24日土曜日

メンタルヘルスケア

厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」は5月末に、企業が実施する職場の定期健康診断でうつ病などの精神疾患に関する検査項目を盛り込んだり、失業者へのメール相談事業を強化したりすることを柱とした自殺防止対策をまとめた。職場でのストレスなどに起因する精神疾患や失業による生活苦から自殺するケースも多く、早期発見で症状の悪化や自殺を減らすのが狙い。健康診断での検査方法は厚労省が既に作成している56の質問項目からなる「簡易調査票」などを使い、メンタルヘルス不調者を把握。不調者への対応が適切に行われるよう、都道府県の「メンタルヘルス対策支援センター」などの臨床心理士や精神科の医師が、産業医や中小企業の管理職を対象とした研修を実施する。ただ、不調者の把握はプライバシーの問題などで労働者が不利益を被る可能性もあるため、そうした問題に配慮しつつ効果的な方法を慎重に検討するとしている。メール相談事業の強化については、近く周知徹底のためハローワークでリーフレットを20万部配布。ハローワークに来所した求職者を対象に心の健康状態を尋ね、深刻なストレスがあった場合は専門家とメールで相談できる仕組み。厚労省の07年の調査によると、職場で強い不安や悩み、ストレスがあると回答した労働者は58・0%。警察庁調べでは、昨年の自殺者3万2845人のうち、「失業」が原因は前年度比65・3%増の1071人。

2010年7月23日金曜日

減量のための運動量

運動が健康に良いことはよく知られているが、実際に体重増加の予防に必要な運動量はどのくらいなのだろうか。この問題を調べた論文が、米国医師会雑誌に掲載された。論文によると、いったんBMI【体重(kg)を身長(m)の2乗で割った肥満度】が25以上になると、運動だけで体重を維持するには手遅れで、食事によるカロリー制限が必要となる可能性があるようだ。また、米国心臓協会などのガイドラインが勧める『週150分程度の運動』は、(心臓病や糖尿病など)慢性疾患のリスクを下げるには十分だが、体重増加じたいを予防するには不十分な可能性があると論じている。この研究の対象者のエネルギー摂取量は1日約1,740kcal程度で、日本人の50~59歳女性の1,771kcalとほぼ同程度だ。したがって今回の結果は、日本の中年女性にもある程度当てはまるのではないかと思われる。それにしても、体重増加を予防するには1日1時間以上の早歩きなどの運動が必要というのは、継続して実行するにはかなりの運動量に思える。ただ、これより少ない運動でも、多少の体重増加はあったとしても、糖尿病や心臓病の予防には有効である。

2010年7月22日木曜日

糖尿病新基準

日本糖尿病学会は5月末に総会を開き、日をあらためて2回の検査が必要だった糖尿病の診断を、1回の検査でできるように改定した診断基準を正式決定した。7月1日から施行されている。この改定が診断の間口を広げ、早期発見につながることを期待したい。これまでの診断基準は、空腹時やブドウ糖摂取後などの血糖値3項目に基準値を設定。1項目で数値が高いと再検査し、再び基準値を超えると糖尿病と診断していた。新基準は、血中の糖と結合する性質があり、過去1~2カ月の血糖状態の指標となる「ヘモグロビン(Hb)A1c」を主な検査項目に採用。HbA1c値と血糖値の同日検査を推奨している。血糖値が高く、同時にHbA1cの数値が日本で使われている「JDS値」で6・1%以上なら、1回の検査で糖尿病と診断する。

2010年7月21日水曜日

男・女の脂肪

男性と女性の脂肪組織は遺伝的に異なることがマウスを用いた新しい研究で明らかにされた。これによって、男性は腹部に脂肪が蓄積しやすく、女性は腰まわりに脂肪がつきやすい理由を説明できる可能性があるという。米テキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンター(UTSMC)の研究グループは、この疑問を解明するために、ヒトに類似したマウスの脂肪分布パターンに着目。雄雌のマウスのほか、女性の閉経を再現するため卵巣を摘出した雌マウスの腹部および臀部の脂肪細胞から遺伝子を採取し、比較した結果、約4万個の遺伝子のうち雌雄に共通するのはわずか138個であることが判明した。男性は消化管の周辺に余分な脂肪がつきやすいのに対して、閉経前の女性は臀部、腰部および大腿部に脂肪がつきやすい。閉経後の女性では、卵巣ホルモンの値が低下するにしたがって、ウエスト周囲に脂肪がつくようになってくるという。遺伝子の差とは別に、脂肪組織にも基本的な違いがあると思われ、高脂肪食を12週間与えた雄マウスは同じ食餌を与えた雌マウスよりも体重増加が大きかった。また、雄の脂肪組織は雌よりも炎症を起こしやすい傾向があるという。一方、卵巣を摘出した雌マウスには、体重増加および雄マウスに似た炎症パターンがみられるようになった。 このような所見から、女性の脂肪が蓄積する部位については卵巣ホルモンが重要な役割を担っていることが示されると、研究チームは述べている。

2010年7月20日火曜日

カウンセリングの目的

頭がモヤモヤっとした状況の場合、多くの人が自分の過去の経験や価値観に基づいて「落ち込んでいるのかな?」などと原因についての仮説をあれこれ立てるものです。こうした「自分の過去の経験や価値観」はいつも無意識に自分の心にあります。そして、物事を見るときに、フィルターのような役割を果たすのです。カウンセリングでは、この「自分の過去の経験や価値観」の傾向について知ってもらい、自分がどのように現実を捉える傾向にあるのか検討します。たとえば、過去にたくさん人から傷つけられて辛い目にあった方は、これから先、人と接するときにも「またひどい目に遭うのではないか」と身構えてしまうでしょう。これは、人間が身を守るために身に付けた防衛策なのですが、時に現実を歪めて受け取ってしまう元になることもあるのです。すると、「私はどこにいっても、他人からひどい目に遭わされてしまう」というルールが心の中に出来上がるのです。そうなると、「偶然食事に誘われなかった」という出来事も、「私はみなに嫌われている」と捉えることになるでしょう。または、「初対面の人ととても仲良くなった」という出来事ですら、「いや、まてよ。この人も私を裏切るのかもしれない」と捉えることになるかもしれません。こう捉えた方が、自分の心の中にあるルールと出来事が一致するので、少し安全なかんじがしてしまうのです。もちろん本人は「私は今度こそ、人とうまくやりたい」と思っているのですが、心の奥底では気づかないうちに、「どうせうまくいきっこない、私は他人にひどい目に遭わされてしまうんだ」と何度も自分に言い聞かせているのです。カウンセリングでは、辛い状態を引き起こしているメカニズムについて、上のような説明をご本人と共に探って検討していきます。過去にどんな印象的な体験があって、それがどんな風な体験として自分の中で意味づけられていて、それが今の自分の価値観にどのような影響を与えていて、それで今、現実をみつめるときにどのように捉える傾向があるのか。その結果、どんなことが起こっているのか。そんな自分が今つらい原因を丁寧に丁寧に探って、紐解いていきます。その作業の中で、「なんとなくいつも人間関係が苦手でつらい」という悩みが、「私は小さい頃からひどい目に遭ってきて、そのせいで被害的な捉え方をするようになった。今もその傾向は残っていて、新しい人間関係においても"またひどい目に遭うのではないか"と構えてしまう。そのため、人間関係を築くことに臆病になって人との交流を避けるようになった。その結果、誰からも必要とされていないような気がして落ち込んでいる。」と分析できれば、心が少しだけ整理できるでしょう。もちろん、分析しただけでは、悩みは解決しません。このような分析はカウンセリングの第一歩です。しかし「なんとなく」つらいという漠然とした状況では、人は不安を感じたり混乱したりします。多少でも説明がつくと、少しだけ安心します。そして対処するための手がかりを得ることができるのです。

2010年7月19日月曜日

ヘモグロビンA1c(HbA1c)

日本糖尿病学会は、総会で糖尿病の新診断基準を決めた。従来の血糖値による診断に加え、過去1-2カ月の平均的な血糖状態を示すヘモグロビンA1c(HbA1c)を取り入れる。早期発見しやすくなり、糖尿病や合併症の減少が期待できるという。7月1日から適用している。学会によると、診断基準の改訂は99年以来11年ぶり。糖尿病患者は07年の調査で国内に約890万人いるとされ、早期の診断や治療を目指して診断基準を見直した。新基準では、慢性的な血糖状態を反映するHbA1cを補助的役割から格上げした。血糖値の基準値は変わらないがHbA1cの基準値は厳しくなった。検査は併用し、いずれも基準値を超えた場合に糖尿病と診断される。また、HbA1cの数値を国際基準に合わせる方針も確認された。7月1日から国際学会の発表などで新しい基準を使用している。ちなみに、特定検診におけるHbA1c測定は今年から必須となった。

2010年7月18日日曜日

インフルエンザワクチン

国内でインフルエンザワクチンを製造販売するメーカー4社は、現行の子どもへの接種用量を増量して世界保健機関(WHO)が推奨する用量に変更するため薬事法に基づく申請を国に提出した。審査が順調に進めば今冬の流行シーズンの前までに用量が変更される可能性がある。申請したのはデンカ生研、北里研究所、阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所の4社。現在承認されている用量は、1回の接種につき1歳未満は0・1ミリリットル、1~6歳未満は0・2ミリリットル、6~13歳未満は0・3ミリリットルをそれぞれ2回接種するが、効果が低いとの指摘が出ていた。WHOが推奨する用量は、3歳未満に0・25ミリリットル、3~13歳未満に0・5ミリリットルをそれぞれ2回接種する。独立行政法人国立病院機構がこの用量による臨床試験を全国の8医療機関で実施し、効果が確認されている。近年、10~11月、インフルエンザワクチン接種希望者が殺到する。年齢で細かく接種量を分けているインフルエンザワクチンは、間違いが生じないように気を配るのに一苦労だ。

2010年7月17日土曜日

1型糖尿病

イタリア北部のインスブリア大の研究チームは、主に若年層に起こる1型糖尿病の患者の83%に、腸管内で増殖する「エンテロウイルス」への感染歴が確認されたとの研究結果を明らかにした。1型糖尿病は、生活習慣病で成人に多い2型と異なり、思春期の子どもなど主に若年層が発症。何らかの原因で膵臓の細胞が破壊され、血糖値を下げるインスリンが欠乏して起こる。ウイルス感染に対し免疫細胞が過剰に反応し、膵臓の細胞まで攻撃してしまうことも要因の一つとして指摘されているが、詳しい仕組みは分かっていない。研究チームは、2~16歳の1型糖尿病患者112人を対象に、DNA検査などによってエンテロウイルスに感染したことがあるかどうかを調査、83%で感染歴を確認した。一方、糖尿病でない子どものうち感染歴があったのは全体の7%だった。エンテロウイルスは、腸の中で増殖するさまざまなウイルスの総称。ありふれたウイルスで経口感染する。感染しても大半は症状が現れないが、風邪症状や手足口病、無菌
性髄膜炎などを引き起こすこともある。

2010年7月16日金曜日

母乳

出産直後に自分の母乳だけで赤ちゃんを育てる母親が宮城県内は約65%に上り、上昇傾向にあることが、NPO法人「みやぎ母乳育児をすすめる会」の調査で分かった。全国的にも高い割合という。母乳で育てることにより、赤ちゃんの免疫が高まり、母子が精神的に安定する。子供が将来、生活習慣病になる危険性が低いことも知られている。近年は、出産直後から母親と乳児を同室にして、いつでも母乳を与えられるようにする施設が増えている。調査は、医師、助産師らで作る同会が昨年11、12月、産科、小児科を持つ延べ190施設にアンケート調査し、同49施設から回答があった。それによると、出産直後に母乳だけで乳児を育てる「完全母乳」の母親は、1999人のうち1296人と、64・8%を占めた。2005年の前回調査に比べ、4・1ポイント上昇した。母乳と人工ミルクを併用する母親も含めると、1983人(99・2%)と、ほとんどを占めた。ミルクだけとの回答は0・8%にとどまった。1歳健診時でも、完全母乳の母親は、回答した117人のうち65人と、55・6%に上り、前回の28・9%を大きく上回った。単純比較できる全国的なデータはないが、厚生労働省の2005年度の調査では、産後1か月時の完全母乳率は全国平均が42・4%だった。医学的には早期に離乳する必要はなく、自然に卒乳するのを待てばいい。(読売新聞)

2010年7月15日木曜日

認知症介護(ケース3)

「同じ事を数分おきに聞いてきて、いらだつ」

患者が繰り返し聞く内容で多いのは、日時やお金のこと。柱時計の針が読めなくなっていると気付き、大型のデジタル時計を買ってきて解消することもある。時間を聞かれたら時計を指さすようにする。少しはイラつかなくなるだろう。家族だけでは大変なので、ヘルパーやデイサービスのスタッフも含め、一日のうち誰かがじっくり話を聞く時間を作るのも効果的。1日1回でも満足な気分になると違うかもしれない。(毎日新聞) 

2010年7月14日水曜日

認知症介護(ケース2)

「デイサービスのない日は自宅で何をさせてもすぐ飽きる」

午前は畑仕事や草取りなどで体力を使い、午後は本人の好きなことをさせる。入浴は早めにし、一緒に入る時は小声で話すと落ち着いてきて、お互いに穏やかな気分になれるという。本人のやることを事前にリストアップ。まずは散歩で季節の移り変わりを感じ、気分転換。その後は縫い物、洗濯物の整理、ボタン付け、野菜や果物の皮むき。本人に合わせたメニュー。(毎日新聞)

2010年7月13日火曜日

認知症介護(ケース1)

「防虫剤や花、ペットの餌などを食べてしまう」
食べられないものを食べる行為は異食と呼ばれ、脳障害の進行が原因とされる。危ないものをのみ込んでしまったと思ったら、24時間対応の中毒110番に電話し、応急処置の方法や対応を仰ごう。そもそも家庭内で異食を防ぐ工夫が必要だ。危なそうなものは本人の手の届かない所に置く。ティッシュペーパー、脱脂綿、たばこ、薬品、洗剤、化粧品などは要注意。目につくところにちょっとしたおやつを用意してみるのも一案。(毎日新聞)

2010年7月12日月曜日

笑いの効果

笑うことはやはり、健康によかった。笑いが人体にもたらす効能を検証する実験をしていた吉本興業と江崎グリコ、健康食品会社ファーマフーズの3社が、ストレスや疲労感軽減などの傾向があるとの結果を発表した。実験では、20代~40代の男女18人から唾液や血液を採取。4月14、21、28日の同時刻に、計算問題を解くというストレスをかけてから、吉本興業所属タレントの演芸を見たり、ストレス軽減に効果があると言われるアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」を摂取したりした後に、ストレスの指標となるタンパク質の変化などを調べた。実験の結果、演芸を見ることでやる気の向上、疲労感やストレスの軽減などの効果が見られた。併せてギャバを摂取することで、より高い効果が確認されたという。ファーマフーズ総合研究所によると、ずっとお笑いばかり見るのは問題かもしれないが、仕事や勉強の息抜きとしてのお笑いは集中力回復につながると言う。

2010年7月11日日曜日

百日咳(2)

百日ぜき菌が原因で、せきやくしゃみ、接触で感染し、感染力は強い。潜伏期間は1週間~10日程度で、風邪に似た症状で始まり、次第にせきがひどくなる。息を吸い込むときに「ヒュー」という音が出たり、夜間に発作が起きたりする。定期接種で乳幼児期にジフテリア、破傷風との3種混合ワクチンの接種を4回受けるが、接種を受けるまでは感染のリスクが高く、乳幼児は肺炎や脳症など重い合併症が起きる恐れもある。大人は特徴的な症状は少ない。

2010年7月10日土曜日

百日咳(1)

感染するとしつこいせきが長期間続き、乳児では死亡する場合もあるため、子どもの流行が警戒されてきた百日ぜきで、大人の患者が急増し、今年は小児科から報告される患者の半数以上を20歳以上が占めていることが国立感染症研究所の分析で分かった。現状のまま有効な対策をとらなければ成人を中心とした流行が毎年継続的に発生し、大人から乳児への感染の増加が懸念される。現在の乳幼児期に加え、思春期などにワクチンを追加接種する方法を早急に検討すべきなようだ。百日ぜきは夏に患者が多いため、今後増加が予想される。近年は大学で集団発生が確認されるなど大人の患者が多い傾向があるが、今年は5月上旬までに報告された患者全数のうち20歳以上が56・0%で、2000年以降で大人の割合が最も高い。百日ぜきの治療には抗菌薬が有効で、早期の投与で症状を軽くし菌を排出する期間の短縮が期待できる。さらに免疫を強めるには、ワクチンの追加接種が有効という。せきが出た場合は、周囲に感染を広げないためにマスクを着用するなど、せきエチケットを心掛けることが重要だ。

2010年7月9日金曜日

経口免疫療法

食物アレルギーの原因となる食物を食べることで、アレルギーを治す経口免疫療法(経口減感作療法)が注目を集めている。治療につながる仕組みには不明な点も多いが、原因食物を食べないことしか対処法がなかった食物アレルギーを食べて治す方法として期待は高い。経口免疫療法は、最初に食物負荷試験と呼ばれるテストを行う。微量の原因食物を摂取し、食べてもアレルギーが起きない限界量を調べ、それを下回る量から徐々に摂取量を増やしていく。食べてアレルギーを治すという考え方は以前からあった。しかし長年食物アレルギーの治療は、原因食物を食べない除去食療法中心という考えが支配的。国内では08年、神奈川県立こども医療センターが、卵アレルギー患者に経口免疫療法を行った成功例を日本アレルギー学会で発表し、注目が集まった。前後して海外でも成功例が多く報告されている。同センターのアレルギー科は食べる量、回数は、アレルギー治療として行っていた減感作注射を参考にしている。現在、経口免疫療法は、国立病院機構相模原病院など各地の病院で実施されている。いずれも臨床研究として取り組んでいる段階で、摂取量を増やすペースなど手法は各病院によって違う。アナフィラキシー発症の危険もあるため、医師の監視下で行うのが大原則。成果の一方で課題も多い。一度飲めるようになりながら、アナフィラキシーを起こしたり、耐性が元に戻ってしまうケースもある。そもそも、食べることがどのように免疫系に作用してアレルギー克服につながるのか、はっきりとはわかっていない。一般的に、乳児期に食物アレルギーだった子どもでも、小学校入学時には9割ほどが自然に耐性を獲得する。相模原病院臨床研究センターは「経口免疫療法が最も適しているのは、学童以上で重度のアナフィラキシータイプのアレルギーが残る子ども。未就学児の場合は、食物負荷試験で食べられる量を決めながら、耐性獲得を待つ対応でいいのではないか」と話す。同センターは昨年度から厚生労働省研究班として、重症例に対する経口免疫療法の治療効果の解析を始めている。患者の選択や応用できる食品の範囲など、研究しなければならない課題は多いが、重症の患者を誤食の恐怖から解放できるようになることの意義は大きい。

2010年7月8日木曜日

睡眠時無呼吸症候群

NPO法人の睡眠時無呼吸症候群(SAS)ネットワークは、SASの認知や検査、治療の促進を目的としたSAS発見プロジェクトをスタートさせ、記者会見を開いた。実際にSAS患者だったタレントのパパイヤ鈴木さんが出席、「いびきがすごくて、角田信朗さんにSASじゃないかと指摘されて検査したら、重度のSASでした。以前はいつも眠かったけれど、持続陽圧呼吸(CPAP)療法を始めてからは5~6時間ぐっすり寝たらパッと目が覚めるし、体の調子もよくなった。ちゃんと病気だと認識して治療するのが大切」と呼び掛けた。SASは、睡眠中に呼吸が止まった状態が継続的に繰り返される状態で、心筋梗塞や脳卒中など数々の生活習慣病とも密接な関係があることを指摘されている。また、日中に眠気を感じるため、中等症以上の患者が交通事故を起こす確率は健康な人の約7倍に上るという。国内の患者数は推計で200万人以上ともいわれるが、肥満者だけがかかる病気という誤った認識もあり、これまでに医療機関で治療を受けたのは20万人程度にとどまっている。昼間の眠気や倦怠感などを感じる場合は1時間当たり5回以上、自覚症状がない場合は1時間当たり15回以上呼吸停止や低呼吸があれば、閉塞性SASの可能性があるという。検査でSASと診断された場合、専門の器具を使用したCPAP療法などが有効で、検査、CPAP療法ともに保険が適用される。

2010年7月7日水曜日

受動喫煙と高血圧

自分は吸わないのに、家や職場で他人のたばこの煙にさらされている女性の最高血圧は高め。東北大薬学研究科が岩手県花巻市・大迫地区の住民を対象に実施した大規模調査で、受動喫煙の害がはっきりした。研究員らは同地区の家庭に血圧計を配り、循環器の病気と生活との関係を解明する研究を20年以上続けている。このデータの中から、35歳以上で一度もたばこを吸ったことがなく、血圧の薬も飲んでいない計474人の女性を抜き出し、受動喫煙の有無と血圧の関係を分析した。この結果、高い頻度で受動喫煙の状態にある女性の最高血圧は、受動喫煙がない女性に比べ「4」(単位はミリ水銀柱)ほど高かった。最低血圧や心拍数に差はなかった。日本人全体の最高血圧が平均で『2』下がれば、脳卒中による死亡が9千人減るとされる。全面禁煙を進める価値はありそうだ。

2010年7月6日火曜日

食事とうつ症状

野菜や大豆食品、果物、海藻などをよく取る「健康的な日本食パターン」の人は、うつ症状の頻度が半分以下だった。こうした傾向を国立国際医療研究センターの研究員が見つけ、論文を発表した。食事のパターンに分けて解析した研究は欧州に2例あるが、日本では初めてという。自殺者が1998年以来年間3万人を超え、うつ症状も増えているが、食事も視野に入れ、日本食の価値を見直す時かもしれない。研究グループは2006年、福岡県の勤労者(21~67歳)521人に、1カ月間に食べたものを質問票で尋ね、それを基に食事のパターンを調べた。同時に、世界的に広く使われている質問票でうつ症状を聞いた。統計手法で「健康日本食」「肉などが多い動物性食」「パンなどの洋風朝食」の3種類について、各人の食事パターンを強、中、弱に3分類、うつ症状との関連を見た。健康日本食パターンの傾向が強い人は、その傾向が弱い人に比べ、うつ症状の頻度が44%と低かった。動物性食と洋風朝食のパターンでは、うつ症状との明白な関連は見られなかった。今回の調査は、特定の栄養素でなく、食事のパターンで解析したことに意味がある。うつ症状になった人がきちんと食べていないこともあり得るので、因果関係までは言えないが、うつの予防に日本食が役立つ可能性はあるようだ。国立国際医療研究センターのグループが今回の研究で「健康的な日本食パターン」とした主な食品は、ニンジン、カボチャ、キノコ、緑の葉野菜、キャベツ、白菜、大根、カブ、その他根菜、豆腐・厚揚げ、納豆、海藻、芋、果物、緑茶、小魚。

2010年7月5日月曜日

引きこもり

「引きこもり」に悩み精神保健福祉センターに相談に訪れた人のうち、16~35歳の184人について厚生労働省研究班が原因を調べたところ、ほぼ4分の1に当たる49人が統合失調症などの精神疾患と認められ「薬物療法などの治療が必要」と診断されたことが分かった。厚労省は「『引きこもり』とされる人の中には精神疾患と診断されず、具体的な治療に結び付いていない人がいる恐れがある」と指摘。こうしたケースを見落とさず、適切な医療支援につなげるため、相談機関や家族に向けた新たなガイドラインを策定した。調査対象となった184人は社会参加を避けて6カ月以上、自宅などにとどまっている人で、岩手、埼玉、山梨、石川、和歌山の各県にある精神保健福祉センターを訪れた。薬物療法などの治療が必要と診断された49人以外の135人の内訳は、「広汎性発達障害で精神療法的なアプローチが必要」48人、「適応障害などで心理、社会的支援が必要」51人、「特定不能な精神障害」1人、「情報不足で確定診断できず」35人だった。新ガイドラインは、引きこもり者への支援について、当初は個人的に心を開いてもらうことからスタートし、集団療法、就労、就学へと段階的につなげていくことが大切としている。

2010年7月4日日曜日

筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子

運動神経が侵され全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新たな原因遺伝子を広島大原爆放射線医科学研究所が突き止めた。この遺伝子の変異によって、炎症などに関与する物質が過剰に活性化し運動神経に影響を与えるとみられる。研究では、両親ともに保因者の可能性が高い家族性のALS患者の遺伝子を調べ、「OPTN」という遺伝子に変異を見つけた。OPTNは「正常眼圧緑内障」の原因遺伝子として知られていたが、ALSでは緑内障とは異なる場所に変異があった。家族性ではない孤発性のALS患者でも、OPTN遺伝子に変異がある患者が見つかった。これまで知られている別の原因遺伝子の変異がある患者でも、OPTN遺伝子が作るタンパク質に異常があり、これがALSの病態に広く関与すると考えられるという。日本では1年間にALSに新たにかかる人は10万人当たり約1人で、患者は約8300人、家族性は10%程度とされる。

2010年7月3日土曜日

自閉症治療

自閉症患者が「オキシトシン」というホルモンを服用すると症状が改善したとの臨床結果を、金沢大などの研究グループが発表した。3歳から自閉症とされてきた20代男性で、会話ができず、人と交流ができずにいた。両親が2008年、スイスからオキシトシンの点鼻薬を輸入し服用すると、男性は診察で担当医の目を見て笑い「はい」「いいえ」と答えるようになり、担当医が驚いたという。男性は10カ月以上服用を続けた。オキシトシンは視床下部などで作られるホルモンで、男性は血中のオキシトシン濃度が低かったことが判明。これまでアスペルガー症候群などに効果があった例は海外で報告があるが、重度の知能障害がある自閉症患者が長期間服用し、改善が確認されたのは初めて。オキシトシンは母乳を分泌させたり、出産で子宮を収縮させる働きがあるという。信頼感を強める機能があり、人が社会で活動するために必要なホルモンと指摘する研究者もいる。自閉症の治療薬としては認められておらず、男性の点鼻薬は母乳分泌用だった。

2010年7月2日金曜日

妊婦のインフルエンザ治療

日本産科婦人科学会は、新型インフルエンザに感染し、治療薬のタミフルやリレンザの投与を受けた妊婦と、その妊婦から生まれた赤ちゃんに、先天性の異常などの副作用がないかを調査すると発表した。全国約500施設で、昨年9月以降に登録した妊婦らが対象。計1万人が目標で、赤ちゃんは2歳になるまで追跡する。こうした大規模調査は世界でも例がないといい、学会は年内に一定の結果をまとめ、公表するとしている。胎児に対するタミフルの安全性は、国立成育医療研究センターが約90人を対象にした調査で「安全」とするデータしかなかった。昨年新型インフルエンザが流行した後、海外で感染した妊婦の死亡例が相次いだことを受け、学会は妊婦へのタミフル投与を推奨した。同学会は「学会として積極投与を勧めた責任があり、きちんと検証する。しっかりしたデータが得られ、問題がなければ、今冬の流行時にも積極的に使える」と話している。また、同学会は、国内で妊婦の死者が出なかった理由を、厚生労働省研究班で検討する考えを示した。重症化して入院した妊婦74人について、タミフル投与の有無や投与時期、妊娠段階との関係などを調べる。

2010年7月1日木曜日

若年性パーキンソン病

40歳までに発症する家族性の「若年性パーキンソン病」は、遺伝子の変異によって細胞内に「異常なミトコンドリア」がたまるのが原因だとの研究結果を、東京都臨床医学総合研究所の研究チームが発表した。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生産する小器官。高齢者のパーキンソン病も同様の仕組みで発症すると考えられている。異常なミトコンドリアの除去を促す薬が開発できれば、治療につながるかもしれない。研究チームは、若年性パーキンソン病患者で変異があることが分かっている2種類の遺伝子「Parkin」「PINK1」の機能を研究。両方の遺伝子が正常な場合は、異常なミトコンドリアを「PINK1」が選別、「Parkin」が除去しやすい形にすることで、協調して排除していることを突き止めた。遺伝子に変異があると異常ミトコンドリアがたまってエネルギーが生産できなくなる上、有害な活性酸素も出て、神経細胞が影響を受けパーキンソン病につながるのではないかという。パーキンソン病は明確な原因は不明だが、神経細胞が失われ、手足の震えや運動障害が起きる。日本の患者は約15万人と推定され、若年性は10%程度とみられる。