米国がん協会(ACS)疫学研究で、大量飲酒者,特に蒸留酒を1日3杯以上飲む人では,非飲酒者と比べて膵がんで死亡するリスクが有意に高いことがわかった。
是正可能なライフスタイル因子である飲酒は,口腔,咽頭,喉頭,食道,肝臓,大腸,乳房などのがんと因果関係があることが知られている。膵臓との関連では,大量の飲酒が急性または慢性の膵炎を引き起こすことが知られているが,膵がんについては決定的な関連は示されていない。
そこで,今回の研究では,ACSが支援しているがん予防研究のデータ(30歳以上の米国人成人約100万人を対象)を用い,飲酒と膵がんの関連について検討した。
全参加者(男性45万3,770例,女性57万6,697例)のうち,男性の45.7%,女性の62.5%が非飲酒者だった。男性のみと男女混合の解析を行ったところ,非飲酒者と比べて飲酒量が1日3杯の群と4杯以上の群で膵がんによる死亡リスクが有意に高いことが分かった。女性のみの解析では,1日4杯以上の群で同リスクが有意に高かった。
また,アルコール飲料の種類別に見ると,母集団全体では,非飲酒者に比べてウイスキー,ブランデー,ジン,ラム酒などの蒸留酒を1日3杯以上飲む人で,膵がんによる死亡リスクが高いことが分かった。喫煙非経験者または喫煙経験のある非喫煙者に限って解析すると,蒸留酒を1日2杯以上飲む人で同リスクが高かった。しかしこれらの関連は,ビールとワインでは認められなかった。
喫煙非経験者(男女混合)の膵がんによる死亡リスクは,1日3杯以上の飲酒者で非飲酒者より36%高かった。喫煙経験のある非喫煙者では,喫煙歴などで調整後も同リスクは16%高かった。
今回の研究により,飲酒量,特に大量飲酒が,米国のがん死因で4番目に多い膵がんの独立した危険因子であるとするこれまでの仮説が強く裏付けられた。
2011年5月16日月曜日
2011年5月15日日曜日
がん患者増加
米国がん協会(ACS)は,肺がんや乳がん,大腸がんなどライフスタイルや経済発展に伴う行動様式の変化に関連するがんは,今後,広く予防策を講じなければ,発展途上国で増加の一途をたどるとの見通しを発表。全世界では,2030年までにがん患者,死亡者数が倍増すると予測している。
国際がん研究機関によると,2008年における全世界の新規がん患者数は1,270万人で,そのうち560万人は先進国,710万人が発展途上国で発生している。2008年のがん死亡者数は,全世界で760万人と推定され,内訳は先進国で280万人,発展途上国では480万人であった。世界のがん疾患負担は,2030年までにがん患者数2,140万人,がん死亡は1,320万人と,約2倍に膨らむと見込まれている。
患者数や死亡者数の増加は,人口増加や人口の高齢化など人口動態の変化によるものだけでなく,喫煙や不健康な食生活,運動不足など経済発展に伴うライフスタイルや行動様式の変化により,さらに悪化する可能性がある。
今回の報告では,先進国と発展途上国のがん罹患率の比較から,両者で発生しているがんの種類の違いが浮き彫りになっている。
先進国において,2008年に最も多く発生した上位3つのがんは,男性では前立腺がん,肺がん,大腸がん,女性では乳がん,大腸がん,肺がんだった。一方,発展途上国においては,男性では肺がん,胃がん,肝がん,女性では乳がん,子宮頸がん,肺がんだった。
発展途上国ではライフスタイルの変化によって,肺がんで死亡する患者が増加している。欧米のほとんどの国で男性の肺がん死亡率は低下しているが,中国やアジア,アフリカの一部の国では上昇しており,これらの国々では,早期からの喫煙習慣で喫煙率が上昇し続けている。
女性の肺がん率は,米国においては頭打ちとなっているが,多くの国で上昇しており,その傾向はスペインやフランス,ベルギー,オランダで顕著である。特に若年女性の罹患率が上昇していることから,これらの国々における女性の肺がんは,大規模な介入を実施しなければ,今後数十年にわたり増え続ける可能性が示唆された。
大腸がんの罹患率は米国では減少しているが,スペインや東南アジア諸国の多く,東欧諸国など歴史的にはリスクが低かった国々において,急激に上昇している。
今回の報告の中には,がんが大きな問題となっているアフリカについて,特別セクションが盛り込まれた。国際がん研究機関によると,アフリカにおける2008年のがん新規患者数は68万1,000人,がん死亡は51万2,400人だった。人口の高齢化や人口増加,さらに喫煙や不健康な食生活,運動不足など,経済発展や都市化に伴う行動やライフスタイルの変化により,2030年までに新規患者数は128万人,死亡は97万人に倍増すると見込まれている。
報告書は,アフリカでは資源不足やHIV/エイズ,マラリア,結核といった感染症など,差し迫った公衆衛生上の問題が山積していることから,がんの社会負担が増大しているにもかかわらず,がん対策の優先順位は低いと指摘している。
アフリカでは,がん検診制度などの医療サービスが欠如し,初期症状に対する市民や医療従事者の理解度が低いために,がんが進行した段階で診断されることが多い。
また,がん診断後の生存率も先進国に比べて低い。例えば,乳がんの5年生存率は,米国では90%であるのに対して,ガンビアやウガンダ,アルジェリアでは50%以下である。
喫煙は世界のがん死亡原因の20%を占め,最も予防効果の高い危険因子だが,アフリカのがん死のうち,喫煙によるものは6%にすぎない。喫煙の影響が少ないことは,アフリカではまだ喫煙がそれほど流行していないことや,女性の喫煙率が低いことを反映したものと考えられる。しかし,経済発展に伴うライフスタイルの変化や,たばこ産業によるアフリカを対象としたマーケティングの拡大などにより,多くのアフリカ諸国ではたばこ消費量が増加している。特に,10歳代の喫煙率の増加は重大な懸念材料である。
Global Youth Tobacco調査によると,アフリカの一部では,少年の喫煙率が成人の喫煙率より高い国もあるとされている。
アフリカの大半の国々は,たばこ規制枠組み条約を批准しているが,ガイドラインに沿って禁煙プログラムを実施している国はほとんどない。
2008年における760万人のがん死亡例のうちおよそ260万人,すなわち1日当たり7,300人の死亡は,喫煙や食生活,感染症や飲酒など,既知の危険因子を回避することで,予防可能であったという。
がん征圧に向けた知識を世界各国や地域の能力および経済の発展段階に応じた方法で応用することにより,次の20~30年間にがん死亡を減らすことができるかもしれない。そのためには,政府や公衆衛生機関,援助資金供給者,民間部門が,国や地域レベルでのがん征圧プログラムを世界規模で開発,導入する必要があろう。
国際がん研究機関によると,2008年における全世界の新規がん患者数は1,270万人で,そのうち560万人は先進国,710万人が発展途上国で発生している。2008年のがん死亡者数は,全世界で760万人と推定され,内訳は先進国で280万人,発展途上国では480万人であった。世界のがん疾患負担は,2030年までにがん患者数2,140万人,がん死亡は1,320万人と,約2倍に膨らむと見込まれている。
患者数や死亡者数の増加は,人口増加や人口の高齢化など人口動態の変化によるものだけでなく,喫煙や不健康な食生活,運動不足など経済発展に伴うライフスタイルや行動様式の変化により,さらに悪化する可能性がある。
今回の報告では,先進国と発展途上国のがん罹患率の比較から,両者で発生しているがんの種類の違いが浮き彫りになっている。
先進国において,2008年に最も多く発生した上位3つのがんは,男性では前立腺がん,肺がん,大腸がん,女性では乳がん,大腸がん,肺がんだった。一方,発展途上国においては,男性では肺がん,胃がん,肝がん,女性では乳がん,子宮頸がん,肺がんだった。
発展途上国ではライフスタイルの変化によって,肺がんで死亡する患者が増加している。欧米のほとんどの国で男性の肺がん死亡率は低下しているが,中国やアジア,アフリカの一部の国では上昇しており,これらの国々では,早期からの喫煙習慣で喫煙率が上昇し続けている。
女性の肺がん率は,米国においては頭打ちとなっているが,多くの国で上昇しており,その傾向はスペインやフランス,ベルギー,オランダで顕著である。特に若年女性の罹患率が上昇していることから,これらの国々における女性の肺がんは,大規模な介入を実施しなければ,今後数十年にわたり増え続ける可能性が示唆された。
大腸がんの罹患率は米国では減少しているが,スペインや東南アジア諸国の多く,東欧諸国など歴史的にはリスクが低かった国々において,急激に上昇している。
今回の報告の中には,がんが大きな問題となっているアフリカについて,特別セクションが盛り込まれた。国際がん研究機関によると,アフリカにおける2008年のがん新規患者数は68万1,000人,がん死亡は51万2,400人だった。人口の高齢化や人口増加,さらに喫煙や不健康な食生活,運動不足など,経済発展や都市化に伴う行動やライフスタイルの変化により,2030年までに新規患者数は128万人,死亡は97万人に倍増すると見込まれている。
報告書は,アフリカでは資源不足やHIV/エイズ,マラリア,結核といった感染症など,差し迫った公衆衛生上の問題が山積していることから,がんの社会負担が増大しているにもかかわらず,がん対策の優先順位は低いと指摘している。
アフリカでは,がん検診制度などの医療サービスが欠如し,初期症状に対する市民や医療従事者の理解度が低いために,がんが進行した段階で診断されることが多い。
また,がん診断後の生存率も先進国に比べて低い。例えば,乳がんの5年生存率は,米国では90%であるのに対して,ガンビアやウガンダ,アルジェリアでは50%以下である。
喫煙は世界のがん死亡原因の20%を占め,最も予防効果の高い危険因子だが,アフリカのがん死のうち,喫煙によるものは6%にすぎない。喫煙の影響が少ないことは,アフリカではまだ喫煙がそれほど流行していないことや,女性の喫煙率が低いことを反映したものと考えられる。しかし,経済発展に伴うライフスタイルの変化や,たばこ産業によるアフリカを対象としたマーケティングの拡大などにより,多くのアフリカ諸国ではたばこ消費量が増加している。特に,10歳代の喫煙率の増加は重大な懸念材料である。
Global Youth Tobacco調査によると,アフリカの一部では,少年の喫煙率が成人の喫煙率より高い国もあるとされている。
アフリカの大半の国々は,たばこ規制枠組み条約を批准しているが,ガイドラインに沿って禁煙プログラムを実施している国はほとんどない。
2008年における760万人のがん死亡例のうちおよそ260万人,すなわち1日当たり7,300人の死亡は,喫煙や食生活,感染症や飲酒など,既知の危険因子を回避することで,予防可能であったという。
がん征圧に向けた知識を世界各国や地域の能力および経済の発展段階に応じた方法で応用することにより,次の20~30年間にがん死亡を減らすことができるかもしれない。そのためには,政府や公衆衛生機関,援助資金供給者,民間部門が,国や地域レベルでのがん征圧プログラムを世界規模で開発,導入する必要があろう。
2011年5月14日土曜日
肺がんの予測マーカー
足指の爪のニコチン値は喫煙歴とは独立した肺がんの強い予測因子であると,米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループが発表した。
同グループは,男性の医療専門家の追跡調査で1988〜2000年に肺がんを発症した210例とマッチさせたコントロール630例を対象に研究を実施。1987年に採取した足指の爪サンプルのニコチン値と肺がんとの関係を検討した。
その結果,足指の爪の平均ニコチン値は症例群が有意に高値だった。ニコチン値の最低五分位と比較した最高五分位の肺がんの相対リスクは単変量解析で10.50,喫煙歴の報告から喫煙指数を補正した多変量解析でも3.57と有意に高かった。
同グループは,男性の医療専門家の追跡調査で1988〜2000年に肺がんを発症した210例とマッチさせたコントロール630例を対象に研究を実施。1987年に採取した足指の爪サンプルのニコチン値と肺がんとの関係を検討した。
その結果,足指の爪の平均ニコチン値は症例群が有意に高値だった。ニコチン値の最低五分位と比較した最高五分位の肺がんの相対リスクは単変量解析で10.50,喫煙歴の報告から喫煙指数を補正した多変量解析でも3.57と有意に高かった。
2011年5月12日木曜日
ベリー類
ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)の研究で、ベリー類の摂取によってパーキンソン病(PD)の発症リスクが低減され,さらに男性ではリンゴやオレンジなどフラボノイド含有率の高い食品の摂取によって低減効果が高まることがわかった。
研究では,男性4万9,627例と女性8万171例を対象に,質問票とデータベースを用いて算出したフラボノイド摂取量と,PD発症リスクとの関係を分析。この研究には20~22年間に及ぶ追跡調査を伴っている。なお,フラボノイド摂取量に関しては,含有率が最も高い紅茶,ベリー類,リンゴ,赤ワイン,オレンジ(果物と果汁)を対象に,品目別に分析された。
その結果,研究期間中にPDを発症したのは782例だった。そのうち,男性におけるフラボノイド摂取量の最高位20%では,最低位20%よりもPD発症率が約40%低かった。一方,女性ではフラボノイド摂取量とPD発症率との相関関係は認められなかった。しかし,フラボノイドに関するサブ解析によると,男女とも主にベリー類によるアントシアニンの習慣的な摂取と,PD発症率低下との間に有意な相関関係が認められた。
この研究は,フラボノイドとPD発症リスクとの相関関係についてヒトを対象に分析した初めてのもの。今回の結果から、フラボノイド,特にアントシアニンを含む一連の食物に,神経保護作用があることが示唆された。
研究では,男性4万9,627例と女性8万171例を対象に,質問票とデータベースを用いて算出したフラボノイド摂取量と,PD発症リスクとの関係を分析。この研究には20~22年間に及ぶ追跡調査を伴っている。なお,フラボノイド摂取量に関しては,含有率が最も高い紅茶,ベリー類,リンゴ,赤ワイン,オレンジ(果物と果汁)を対象に,品目別に分析された。
その結果,研究期間中にPDを発症したのは782例だった。そのうち,男性におけるフラボノイド摂取量の最高位20%では,最低位20%よりもPD発症率が約40%低かった。一方,女性ではフラボノイド摂取量とPD発症率との相関関係は認められなかった。しかし,フラボノイドに関するサブ解析によると,男女とも主にベリー類によるアントシアニンの習慣的な摂取と,PD発症率低下との間に有意な相関関係が認められた。
この研究は,フラボノイドとPD発症リスクとの相関関係についてヒトを対象に分析した初めてのもの。今回の結果から、フラボノイド,特にアントシアニンを含む一連の食物に,神経保護作用があることが示唆された。
2011年5月11日水曜日
コーヒーの効能
コーヒーの摂取により脳卒中のリスクが低下する可能性があることが、スウェーデンのグループの研究でわかった。
これまでの研究では,コーヒーの摂取と脳卒中発症との関係は一貫していない。同グループは,スウェーデンの心血管疾患やがんの既往のない女性3万4,670例を前向きに追跡し,コーヒー摂取と脳卒中発症との関係を検討した。
平均10.4年の追跡で1,680例に脳卒中の発症が確認された(脳梗塞1,310例,脳出血154例,くも膜下出血79例,不明137例)。他の危険因子を調整した結果,コーヒーの摂取は脳卒中全体,脳梗塞およびくも膜下出血の有意なリスク低下と関係していた。脳出血については有意なリスク低下は見られなかった。
1日のコーヒー摂取1杯未満を参照(1.00)とした脳卒中全体の相対リスクは1〜2杯が0.78,3〜4杯が0.75,5杯以上が0.77だった。コーヒー摂取と脳梗塞の関係は喫煙,BMI,糖尿病または高血圧歴,アルコール摂取によって変わることはなかった。
これまでの研究では,コーヒーの摂取と脳卒中発症との関係は一貫していない。同グループは,スウェーデンの心血管疾患やがんの既往のない女性3万4,670例を前向きに追跡し,コーヒー摂取と脳卒中発症との関係を検討した。
平均10.4年の追跡で1,680例に脳卒中の発症が確認された(脳梗塞1,310例,脳出血154例,くも膜下出血79例,不明137例)。他の危険因子を調整した結果,コーヒーの摂取は脳卒中全体,脳梗塞およびくも膜下出血の有意なリスク低下と関係していた。脳出血については有意なリスク低下は見られなかった。
1日のコーヒー摂取1杯未満を参照(1.00)とした脳卒中全体の相対リスクは1〜2杯が0.78,3〜4杯が0.75,5杯以上が0.77だった。コーヒー摂取と脳梗塞の関係は喫煙,BMI,糖尿病または高血圧歴,アルコール摂取によって変わることはなかった。
2011年5月10日火曜日
加糖飲料
インペリアルカレッジ(ロンドン)公衆衛生学部が,2,500人を超える英国人および米国人のデータを用いて横断的研究を行った結果,加糖飲料の過剰摂取が血圧上昇と直接的に関連することが分かった。
心疾患は世界で最も多い死亡原因で,高血圧はその主要な危険因子として知られている。例えば,血圧値が135/85mmHgの人では,115/75mmHgの人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍高い。
今回行った研究では,1日当たりの加糖飲料の摂取量が1缶(355mL)増えるごとに,収縮期血圧(SBP)が平均で1.6mmHg,拡張期血圧(DBP)が同0.8mmHg上昇することが示された。また,体重や身長などの因子で調整した後も,この差は統計学的に有意であった。
今回,加糖飲料の過剰摂取が血圧を上昇させる機序については検討されなかった。しかし,研究者らは、加糖飲料の摂取によって血中尿酸値が上昇し,一酸化窒素(NO)活性が低下することで,血圧の上昇がもたらされるのではないか」と考察している。
また,加糖飲料の摂取と血圧上昇との関連は,糖分だけでなく塩分を過剰に摂取している人でも強かったことから,塩分の過剰摂取により高血圧リスクが高まることは既に知られているが,糖分の摂取量についても注意すべきことが示唆された。
今回の研究では、国際研究(INTERMAP)に参加した米国人および英国人2,696人(40~59歳)のデータを用いて加糖飲料,ダイエット飲料,糖類(フルクトース,グルコース,スクロース)と血圧値との関連について検討した。これらのデータには,平均3週間の追跡期間中に4回行われた24時間以内に摂取した飲食物に関する調査への回答,2回採取された尿サンプル,8回測定された血圧値のデータが含まれた。
その結果,加糖飲料の摂取は血圧に直接的な影響をもたらすことが分かった。一方,ダイエット飲料の摂取と血圧低下との関連が認められたが,一貫したデータは得られず,その関連も弱かった。
さらに,加糖飲料を多く摂取する人には,栄養の偏った食事を摂取する人が多い傾向が認められた。1日に1本以上の加糖飲料を摂取している人では,摂取しない人に比べて糖分摂取量が多いだけでなく,摂取カロリーが平均で1日当たり397kcal高く,食物繊維やミネラルの摂取量は少なかった。
加糖飲料を大量に摂取する人では健康的な食事を取っている割合が低いようだ。このような人は食品からのカリウムやマグネシウム,カルシウムの摂取量が少ない。今回の研究結果だけで加糖飲料が血圧を上昇させるとは断定できないが,加糖飲料を飲むなら適量にすることが勧められる。
心疾患は世界で最も多い死亡原因で,高血圧はその主要な危険因子として知られている。例えば,血圧値が135/85mmHgの人では,115/75mmHgの人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍高い。
今回行った研究では,1日当たりの加糖飲料の摂取量が1缶(355mL)増えるごとに,収縮期血圧(SBP)が平均で1.6mmHg,拡張期血圧(DBP)が同0.8mmHg上昇することが示された。また,体重や身長などの因子で調整した後も,この差は統計学的に有意であった。
今回,加糖飲料の過剰摂取が血圧を上昇させる機序については検討されなかった。しかし,研究者らは、加糖飲料の摂取によって血中尿酸値が上昇し,一酸化窒素(NO)活性が低下することで,血圧の上昇がもたらされるのではないか」と考察している。
また,加糖飲料の摂取と血圧上昇との関連は,糖分だけでなく塩分を過剰に摂取している人でも強かったことから,塩分の過剰摂取により高血圧リスクが高まることは既に知られているが,糖分の摂取量についても注意すべきことが示唆された。
今回の研究では、国際研究(INTERMAP)に参加した米国人および英国人2,696人(40~59歳)のデータを用いて加糖飲料,ダイエット飲料,糖類(フルクトース,グルコース,スクロース)と血圧値との関連について検討した。これらのデータには,平均3週間の追跡期間中に4回行われた24時間以内に摂取した飲食物に関する調査への回答,2回採取された尿サンプル,8回測定された血圧値のデータが含まれた。
その結果,加糖飲料の摂取は血圧に直接的な影響をもたらすことが分かった。一方,ダイエット飲料の摂取と血圧低下との関連が認められたが,一貫したデータは得られず,その関連も弱かった。
さらに,加糖飲料を多く摂取する人には,栄養の偏った食事を摂取する人が多い傾向が認められた。1日に1本以上の加糖飲料を摂取している人では,摂取しない人に比べて糖分摂取量が多いだけでなく,摂取カロリーが平均で1日当たり397kcal高く,食物繊維やミネラルの摂取量は少なかった。
加糖飲料を大量に摂取する人では健康的な食事を取っている割合が低いようだ。このような人は食品からのカリウムやマグネシウム,カルシウムの摂取量が少ない。今回の研究結果だけで加糖飲料が血圧を上昇させるとは断定できないが,加糖飲料を飲むなら適量にすることが勧められる。
2011年5月9日月曜日
パイロット
ブリティッシュ・ミッドランド航空(ロンドン)が,英国の民間航空会社に勤務するパイロット約1万5,000人を対象に心血管疾患(CVD)の危険因子の保有率について後ろ向き研究で検討した結果,パイロットでは一般人口に比べて喫煙者や肥満者が大幅に少なく,CVD危険因子の保有率が低かった。
今回の研究は航空機の乗務員を対象にCVD危険因子の保有率について検討した最大規模のもの。英国でパイロットの免許を行使する際に求められる医学的適正の認定書を保持する1万4,379人(女性805人)を対象に,BMI,過体重および肥満,喫煙,高血圧,糖尿病などのCVD危険因子の保有率を調べ,一般人口の保有率と比較した。
その結果,平均BMIは一般人口に比べてパイロットで大幅に低かった。しかし,男性パイロットでは,過体重(BMI 25~30)の割合は一般人口と同様に加齢とともに増加し,25歳未満および35~64歳の年齢層では一般人口よりも高い傾向が認められた。一方,女性パイロットでは,過体重の割合は一般人口よりも低い傾向が認められた。
全パイロットにおける肥満(BMI 30超)の割合は,一般人口に比べて大幅に低かった。例えば,25~34歳の年齢層における肥満の割合は,一般人口の21.0%に対してパイロットでは8.3%であった。
パイロットの喫煙率を見ると,最も喫煙率が高い年齢層は,男性が25~34歳(10%),女性が25歳未満(8%)であった。ただし,全体の喫煙率は一般人口の約3分の1とはるかに低かった。
高血圧の割合は,25歳未満および35~44歳では一般人口よりも高く,45~54歳および55~64歳では一般人口よりも低かった。
なお,糖尿病に罹患している場合は民間航空会社のパイロット免許は保持できないため,今回検討の対象となったパイロットで糖尿病と判明したのは男性で0.2%,女性では皆無であった。
さらに,パイロットは一般的に社会経済的地位が高いとされているため,社会経済的因子の影響を調整するために一般人口のうち,所得が最高五分位の集団と比較した。その結果,同集団と比べても,パイロットでは喫煙率と肥満率が大幅に低かった。
近年,世界中の航空当局の間で,民間のパイロットにおける心血管リスクプロファイルを重視する傾向が強まっているという。
今回の研究結果では,喫煙と肥満という2つの重要なCVD危険因子の保有率が,英国のパイロットでは一般人口よりもはるかに低いことが示された。過体重の割合はパイロットで高かった原因として(1)坐位時間が長い職務内容(2)不規則なシフト勤務パターン(3)外泊の機会が多いために食事内容が不健康になりがちである—などが考えられた。
今回の研究は航空機の乗務員を対象にCVD危険因子の保有率について検討した最大規模のもの。英国でパイロットの免許を行使する際に求められる医学的適正の認定書を保持する1万4,379人(女性805人)を対象に,BMI,過体重および肥満,喫煙,高血圧,糖尿病などのCVD危険因子の保有率を調べ,一般人口の保有率と比較した。
その結果,平均BMIは一般人口に比べてパイロットで大幅に低かった。しかし,男性パイロットでは,過体重(BMI 25~30)の割合は一般人口と同様に加齢とともに増加し,25歳未満および35~64歳の年齢層では一般人口よりも高い傾向が認められた。一方,女性パイロットでは,過体重の割合は一般人口よりも低い傾向が認められた。
全パイロットにおける肥満(BMI 30超)の割合は,一般人口に比べて大幅に低かった。例えば,25~34歳の年齢層における肥満の割合は,一般人口の21.0%に対してパイロットでは8.3%であった。
パイロットの喫煙率を見ると,最も喫煙率が高い年齢層は,男性が25~34歳(10%),女性が25歳未満(8%)であった。ただし,全体の喫煙率は一般人口の約3分の1とはるかに低かった。
高血圧の割合は,25歳未満および35~44歳では一般人口よりも高く,45~54歳および55~64歳では一般人口よりも低かった。
なお,糖尿病に罹患している場合は民間航空会社のパイロット免許は保持できないため,今回検討の対象となったパイロットで糖尿病と判明したのは男性で0.2%,女性では皆無であった。
さらに,パイロットは一般的に社会経済的地位が高いとされているため,社会経済的因子の影響を調整するために一般人口のうち,所得が最高五分位の集団と比較した。その結果,同集団と比べても,パイロットでは喫煙率と肥満率が大幅に低かった。
近年,世界中の航空当局の間で,民間のパイロットにおける心血管リスクプロファイルを重視する傾向が強まっているという。
今回の研究結果では,喫煙と肥満という2つの重要なCVD危険因子の保有率が,英国のパイロットでは一般人口よりもはるかに低いことが示された。過体重の割合はパイロットで高かった原因として(1)坐位時間が長い職務内容(2)不規則なシフト勤務パターン(3)外泊の機会が多いために食事内容が不健康になりがちである—などが考えられた。
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