2011年5月10日火曜日

加糖飲料

インペリアルカレッジ(ロンドン)公衆衛生学部が,2,500人を超える英国人および米国人のデータを用いて横断的研究を行った結果,加糖飲料の過剰摂取が血圧上昇と直接的に関連することが分かった。
心疾患は世界で最も多い死亡原因で,高血圧はその主要な危険因子として知られている。例えば,血圧値が135/85mmHgの人では,115/75mmHgの人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍高い。
今回行った研究では,1日当たりの加糖飲料の摂取量が1缶(355mL)増えるごとに,収縮期血圧(SBP)が平均で1.6mmHg,拡張期血圧(DBP)が同0.8mmHg上昇することが示された。また,体重や身長などの因子で調整した後も,この差は統計学的に有意であった。
今回,加糖飲料の過剰摂取が血圧を上昇させる機序については検討されなかった。しかし,研究者らは、加糖飲料の摂取によって血中尿酸値が上昇し,一酸化窒素(NO)活性が低下することで,血圧の上昇がもたらされるのではないか」と考察している。
また,加糖飲料の摂取と血圧上昇との関連は,糖分だけでなく塩分を過剰に摂取している人でも強かったことから,塩分の過剰摂取により高血圧リスクが高まることは既に知られているが,糖分の摂取量についても注意すべきことが示唆された。
今回の研究では、国際研究(INTERMAP)に参加した米国人および英国人2,696人(40~59歳)のデータを用いて加糖飲料,ダイエット飲料,糖類(フルクトース,グルコース,スクロース)と血圧値との関連について検討した。これらのデータには,平均3週間の追跡期間中に4回行われた24時間以内に摂取した飲食物に関する調査への回答,2回採取された尿サンプル,8回測定された血圧値のデータが含まれた。
その結果,加糖飲料の摂取は血圧に直接的な影響をもたらすことが分かった。一方,ダイエット飲料の摂取と血圧低下との関連が認められたが,一貫したデータは得られず,その関連も弱かった。
さらに,加糖飲料を多く摂取する人には,栄養の偏った食事を摂取する人が多い傾向が認められた。1日に1本以上の加糖飲料を摂取している人では,摂取しない人に比べて糖分摂取量が多いだけでなく,摂取カロリーが平均で1日当たり397kcal高く,食物繊維やミネラルの摂取量は少なかった。
加糖飲料を大量に摂取する人では健康的な食事を取っている割合が低いようだ。このような人は食品からのカリウムやマグネシウム,カルシウムの摂取量が少ない。今回の研究結果だけで加糖飲料が血圧を上昇させるとは断定できないが,加糖飲料を飲むなら適量にすることが勧められる。

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