2011年5月28日土曜日

加齢性難聴

カネカは、信州大学大学院医学研究科の研究チームと共同で、健康機能食品素材として知られる還元型コエンザイムQ10(CoQ10)に加齢性難聴に対し進行抑制効果のあることを確認した。老化モデルマウスを用いた実験で同素材配合のエサ摂取群と含まないエサ摂取群を、音刺激を脳波で調べる方法により比較。同素材摂取群に顕著な障害低減効果がみられた。また幼若期から摂取させると、老化度合の遅くなることが示されたとしている。
実験では、老化促進モデルマウスSAMP1を用いた。生後1カ月の幼若期、成熟期(7カ月目)、高齢期(13カ月目)それぞれに還元型CoQ10を0・3%混ぜ合わせたエサに調整し、自由摂取させた。また同素材を含まない通常のエサを摂取する対照群と、聴性脳幹反応法(音刺激により惹起させる脳幹の脳波測定法)と呼ばれる難聴の診断に使われる方法により、19カ月まで追跡し比較した。
同素材を摂取した成熟期マウスでは13カ月齢、高齢期も調べた全てのマウスの19カ月齢でそれぞれ中低音域の聴力を維持することが確認された。
また幼若期から摂取させたマウスでは、13カ月齢で高音域を良好に聞き分け、中低音域もほぼ良好な聴力を維持。19カ月齢でも若干障害はでるものの、各音域の聴力を保っていた。さらに老化の進行自体が抑制されている新知見も得られた。
一方、対照群では、13カ月齢から中低音域障害が起こり、19カ月齢にいたるとほぼ聴力を失ってしまった。
CoQ10は、酸化型をヒトが摂取すると体内で還元型に変換される。ところが加齢や病気の発症により、この変換力が低下する。還元型CoQ10素材は、同社が世界に先駆け開発したもので、これまでにモデルマウスの実験で老化を遅延させる機能がわかっている。
同社では、難聴という加齢にともなう問題に還元型CoQ10のもつ機能が対応し得る可能性が示唆されたとして、抗加齢分野でのエビデンスを積み、さらなる検証データの追求を進める考え。

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