2014年7月11日金曜日

新たな健診の検査基準

201444日、日本人間ドック学会・健康保険組合連合会が、「新たな健診の基本検査の基準範囲―日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー」を発表。この発表をめぐる報道が臨床現場に混乱をもたらしている。そこで、NPO 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)の理事長である桑島 巌氏のコメント転記する。

 今回の基準値は、いわば健康な人の検査値の分布範囲というべきもの。将来の疾病発症について言及しているものではない。つまり、疾病発症予防のために各専門学会が定める“基準値”とは異なるものである。したがって、各専門学会の基準値に変更はないことをご理解いただきたい。
 しかし、一部メディアにおいて、基準値が変更されたと誤認を招く報道があり、患者さんおよび臨床現場を混乱させている。また基準値緩和という表現も多く見られる。これは本来治療しなければならない患者さんの受診回避という、重大な問題を引き起こしかねないと警鐘をならす。

 桑島氏は、データについて正しい解釈をすること、そして患者さんの誤解を正していくことが重要であると述べた。

 以下、NPO 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)の見解を引用する。

J-CLEAR ホームページより転載

 本年4月に,日本人間ドック学会・健康保険組合連合会 検査基準値及び有用性に関する調査研究小委員会が,「新たな健診の基本検査の基準範囲―日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー」を発表しました。 この発表があたかも健康基準を緩和したかのような事実誤認の表現として一部マスコミなどで報道されていることに対し,当機構として遺憾の意を表するとともに以下のような見解を表します。

•このたび日本人間ドック学会が発表した基準値は,あくまでも2011年に人間ドックと健診を受けた人のデーターから,その時点で健康と考えられる人の血圧,コレステロールの分布範囲を示したものであり,将来の脳卒中や心筋梗塞などを発症する可能性に対する安全基準に言及した数値ではありません。
•日本動脈硬化学会や日本高血圧学会が発表しているコレステロールや血圧の基準値は,脳卒中や心筋梗塞などの発症予防のための基準値であり,世界や日本で行われてきた一般住民の科学的な長期的追跡調査の結果から導きだされたものです。 単年度の人間ドックや健診受診者の血圧やコレステロールの分布範囲からは,将来の心血管疾患の発症を予測する数字は,もとめられるものではありません。
•今回の報道に関して,メディアの方々には,脳卒中や心筋梗塞という取り返しのつかない疾患を未然に防ぐという予防医学の視点での科学的根拠にもとづいた正確な報道をされることを期待します。

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