2014年7月6日日曜日

筋力低下から骨折への悪循環

整形外科では、変形性関節症や骨粗鬆に伴う、椎体の圧迫骨折による疼痛を訴える高齢者が多い。高齢者は、心疾患や呼吸器疾患のために運動が制限されることが多く、筋力低下は避けられない。筋力が低下すれば関節に負担がかかり、痛みの元となる。そして、痛いから動かない。動かないからますます筋力が低下して、痛みが増すという悪循環の中で、日常生活動作が低下して、さらに骨粗鬆化も進んで、転倒骨折の頻度が高くなるという結果を招いている。骨粗鬆症を予防することは、整形外科診療の中で非常に重要な治療のひとつであると考えている。
日常できる予防法
骨粗鬆症の治療手段は医師によってさまざまであるが、普段の食事からカルシウムやその吸収を助けるビタミンDを積極的に摂取すること、そして、何にも増して重要なのが、日ごろから運動を心がけることである。太陽に当たることは、摂取したビタミンDを人間にとって役に立つように活性化させると同時に、運動することは、骨に縦の力を加えて骨形成を促進させる。さらに筋力を鍛えることによって、関節への負担が減り、また関節周囲の靭帯を柔らかくして、関節の拘縮を予防することができる。その結果、転倒による骨折の頻度を低下させることも可能だ。
薬物療法

核家族化が進み、高齢者世帯が増えている現在、栄養バランスの取れた食事をすることが困難なケースが多くなっている。そこで、副作用が少なく、飲み忘れを気にすることなく長期に服用できる、活性型ビタミンD3製剤の処方が第1選択となる。

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