2011年4月22日金曜日

中国の喫煙コスト

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)保健・加齢研究所の研究で、中国で喫煙による健康被害が急増しており、2000年から2008年にかけて喫煙に関連した直接コストは154%、間接コストは376%増加したことが分かった。
中国では2010年時点の喫煙者は3億人以上に上り、同国はたばこの最大の消費国かつ生産国であり、中央政府の歳入の7%はたばこ産業の利益と税金からもたらされているという。
今回の研究では、2003年および2008年に行われた中国の国民保健サービスの調査データを用いて同国における喫煙に関連したコストを推算した。調査データには被験者の喫煙状況、医療サービスの利用、そのコストに関する情報が含まれた。今回の研究では喫煙による数年後の影響を検討するため、35歳以上の成人のみを解析対象とした。
その結果、喫煙に関連したコストは2003年の171億ドルから2008年には289億ドルにまで増加していた。これは、同国のGDPの0.7%に相当した。
喫煙を直接的な原因とする医療コストは、2003年の42億ドルから2008年には62億ドルに増加していた。一方、介護や喫煙の影響による疾患および早死を原因とした生産性の低下などでもたらされる間接コストは、2003年の129億ドルから2008年には227億ドルに増加していた。
さらに、2000年のデータとの比較では、直接コストは2003年に72%、2008年に154%増加。間接コストは2003年に170%、2008年に376%増加していた。この原因として、急激な経済成長に伴い高価でハイテクな医療機器の導入が進んだほか、賃金や医療費の上昇などが影響したのではないかと考えられる。
中国の経済が成長を続け、喫煙率の低下が見られなければ、喫煙による将来の経済コストはさらに膨れ上がることが予想されため、強力な喫煙管理規制が迅速に施行されるべきであると思われる。

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