2011年4月30日土曜日

抗うつ薬と動脈硬化

抗うつ薬を服用している男性は、心臓発作や脳卒中の発症をもたらすアテローム性動脈硬化症のリスクを高める可能性のあることが、米エモリー大学の研究でわかった。抗うつ薬は、脳に血液を送る頸動脈の厚さの増大(約5%)に関連しているという。
米エモリー大学は、中年男性双生児513例のデータを収集。被験者の16%が抗うつ薬を服用しており、その60%が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を、またそれ以外はより古い抗うつ薬を服用していた。
抗うつ薬が血管に及ぼす影響を検討するために、頸動脈の厚さ(頸動脈内膜中膜厚)を測定した結果、抗うつ薬を服用している一方の兄弟は服用していないもう一方の兄弟に比べて肥厚が大きかった。服用した抗うつ薬による違いはみられず、またうつ病自体と頸動脈肥厚との関連は認められなかった。
年齢や糖尿病、血圧、喫煙歴、コレステロール、体重などの因子について調整後もこの状態は同じであった。内膜中膜厚の増大と抗うつ薬服用は明らかに関連しており、同薬を服用し、抑うつ状態がより重症の患者ではこの傾向がさらに強まるようだ。
抗うつ薬と心疾患との間に関連性がある理由は不明としながらも、抗うつ薬によってもたらされるセロトニンやノルエピネフリンなどの脳内化学物質濃度の上昇が血管を硬くし、臓器への血流量の低下、動脈硬化症の危険因子である血圧の上昇につながるとみている。
今回の知見は非常に予備的なものであるため、この研究をもとに患者が抗うつ薬服用に懸念を抱いたり、服用を中止したりすべきではない。抗うつ薬使用とアテローム性動脈硬化症の因果関係の有無を調べるにはより厳正な研究が必要である。

0 件のコメント:

コメントを投稿