2011年2月18日金曜日

ビフィズス菌

理化学研究所、東京大学、横浜市立大学の研究チームは、ヒトの腸内にいるビフィズス菌の作り出す酢酸が病原性細菌である腸管出血性大腸菌O157の感染抑止に役立つことを発見した。異物からのバリア機能をもつ大腸下部の腸管上皮に酢酸が間接的に作用すると、O157に対する抵抗力が増強、予防機能を発揮するという。
ビフィズス菌は、ヒト腸内に常在する乳酸菌の仲間。善玉菌として有害菌の増殖を抑え、腸内環境を整えるなど健康維持によいとされる。
研究チームは、マウスにO157を感染させ、ビフィズス菌の感染予防効果を調査。O157感染前に、経口投与すると感染死が起きないビフィズス菌(予防株)3株と感染死するビフィズス菌(非予防株)2株のあることを確認したうえで、その違いは腸内で産生される代謝物の異なることが関与しているとみて解析をスタート。
解析作業では、まずビフィズス菌投与直後にマウス糞便を解析。予防株投与群では非予防株投与群に比べ、ブドウ糖など糖類が消費され半分に減少。これにともない、短鎖脂肪酸の1つ酢酸の量が約2倍高いことがわかった。
酢酸には、異物侵入のバリアとして働く腸粘膜上皮の増殖・保護作用があることを踏まえ、次に腸粘膜上皮の解析を行った。予防株投与群では細胞エネルギー代謝や抗炎症作用に関する遺伝子群の発現量が非予防株投与群よりも2~3倍高かった。酢酸の効果によりバリア機能が高まることがわかった。大腸の下部で果糖から効率よく酢酸が作られると腸粘膜上皮が保護される。これによりO157の毒素による腸粘膜上皮の細胞死を減らし、結果としてO157による炎症や感染死を予防できることが示唆された。

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