2010年10月4日月曜日

骨粗鬆症治療薬

ボナロンやフォサマック、アクトネルやベネットなどの骨粗鬆症治療薬を使用すると、食道がんリスクが増大する可能性のあることが、英国の研究グループにより報告された。研究を率いた英オックスフォード大学は、現在のところ、これらの薬剤の長期使用に関するリスクとベネフィット(便益)の全体像はつかめておらず、今回の結果は、そのほんの一部にすぎないと述べている。
食道癌は稀な癌であり、たとえリスクが2倍になったとしても1人当たりのリスクが低いことに変わりはない。また、この結果が真に薬剤の影響を反映するものであるとは限らない。よってこの報告がすぐに臨床現場に直接影響を及ぼすものではない。
今回の研究では、英国一般診療研究データベース(GPRD)を用いて、1995~2005年に診断を受けた食道癌患者約3,000人、胃癌患者2,000人強、大腸癌患者1万人強のデータを収集し、年齢および性別をマッチさせた上記疾患のない人と比較。その結果、上記薬剤を10回以上処方された人または5年以上処方を受けている人は、同薬を服用していない人に比べ食道癌リスクが2倍(1,000人あたり2人の割合)であったほか、胃癌および大腸癌のリスク増大もみられたという。
同じデータベースを用いたつい最近報告された別の研究では、これらの薬剤による食道癌の増加は認められなかったが、今回の新しい研究では、追跡期間が2倍長く、統計学的パワー(検出力)が得られたという。
米国食品医薬品局によると、これらの薬剤の使用により、食道内膜のただれや炎症、食道の狭窄および穿孔、食道癌などのいくつかの有害作用が報告されているという。食道癌の発症率は低いものの、同薬が慢性疾患に広く利用されていることから、この結果が裏付けられれば多数の患者に影響があるだろうと述べ、医師および患者への注意を促している。

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