2010年10月18日月曜日

受動喫煙

ロンドン大学の研究で、健康な成人では、受動喫煙が精神健康度の低下や精神科入院リスクと関連することがわかった。
受動喫煙が身体に有害であることを示す文献は増えている。しかし、受動喫煙のメンタルヘルスへの影響についてはほとんど解明されていない。
今回の研究では、1998~2003年にスコットランドの健康調査に参加した精神疾患の既往がない非喫煙者5,560人(平均年齢49.8歳)と喫煙者2,595人(同44.8歳)を対象に調査した。参加者に精神健康調査票(GHQ-12)に回答してもらい、スコアが3点以上の場合を「精神健康度が低い」とみなした。また、平均6年間の追跡期間中の精神科入院について記録した。非喫煙者の受動喫煙は、唾液中のコチニン(ニコチンの代謝産物で、ニコチン曝露の信頼性の高い生化学的マーカー)を用いて評価した。
その結果、参加者の14.5%で精神健康度が低かった。受動喫煙量の多い非喫煙者(コチニン濃度0.70~15μg/L)では、コチニンが検出されなかった者と比べて精神健康度低下がみられる者が多かった。
平均6年間の追跡期間中、41人が精神科に入院していた。喫煙者と受動喫煙量の多かった非喫煙者は、いずれも受動喫煙量が少なかった非喫煙者に比べてうつ病、統合失調症、せん妄などにより精神科に入院する傾向が強かった。
動物実験のデータでは、たばこはネガティブな気分を引き起こす可能性があることが示唆されており、ヒトでの研究でも喫煙とうつ病の潜在的な関係が示されている。これらの知見を考慮すると、今回のデータはニコチンへの曝露がメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることを示唆する他のエビデンスと一致する。

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