2010年10月5日火曜日

睡眠と寿命

十分な睡眠を取らないと、寿命が縮む可能性があるという。新しい研究で、不眠症や睡眠時間の短い男性は14年の間に死亡する確率の高いことがわかった。
不眠症は非常に重い有害作用を有する可能性がある治療の必要な疾患であり、最善の治療選択のためにもっと力を注ぐ必要があると言われている。女性にも同様の影響がみられる可能性もあるが、今回の研究では追跡期間が10年と短く、死亡率に有意差を認めることはできなかったという。
以前の研究でも睡眠の寿命に対する影響が検討されているが、今回の研究は自分がどのくらい眠っているかという被験者自身の感じ方(間違っている可能性もある)と、実際の検査室での睡眠量をともに考慮している点がユニークである。
研究では、ペンシルベニア州中心部から1,700人強の被験者を集め、男性(平均年齢50歳)を14年間、女性(平均年齢47歳)を10年間追跡。被験者は質問に回答するとともに、睡眠検査室で1泊の検査を受けた。
研究期間中、男性の5人に1人、女性の5%が死亡。この男女差は、男性よりも女性の寿命が長いことと、女性の追跡期間が短かったことによるものと思われる。睡眠時無呼吸の罹病率などの因子による誤差のないよう統計結果を調整してもなお、不眠を訴え、検査室でも睡眠が6時間未満であった男性は、「安眠型」の人に比べて14年間に死亡する確率が高かった。安眠型の男性で研究期間中に死亡したのは約9%であったのに対し、不眠の男性は51%が死亡。全体では、女性の8%、男性の4%が不眠症を訴え、検査室でも十分な睡眠を取ることができなかった。
睡眠障害が動脈血栓や免疫系の乱れに寄与するといういくつかのエビデンス(科学的根拠)があるという。今回の研究は、睡眠不足が直接的に男性の早期死亡の原因となることを明確に立証したわけではなく、他の因子が関与している可能性もある。女性の場合は寿命が長いため、さらに長期的な研究を実施する必要があるようだ。

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