2011年6月9日木曜日

大うつ病性障害

ピッツバーグ大学内科・小児科の研究で,ティーンエージャーを対象に各種メディアの利用と大うつ病性障害リスクとの関連を検討。音楽をよく聞く青少年では大うつ病性障害リスクが高い一方,本や雑誌などを読むことが多い者では同リスクは低かった。
今回の研究では,携帯電話を用いて,各種メディアの利用状況が調査された。
具体的には,各被験者に電話を計60回かけ,そのときに(1)テレビや映画(2)音楽(3)ビデオゲーム(4)インターネット(5)雑誌,新聞,書籍などの活字媒体—のいずれかを利用していたかどうかを尋ね,これまでの連続的な生活様式の指標とした。対象は青少年106例(大うつ病性障害46例,健康対照60例)で,2カ月にわたる調査期間中の5回の三連休を利用して電話がかけられた。
多変量解析の結果,音楽の視聴と大うつ病性障害リスクに正の相関が認められた。一方,本など活字媒体の利用との間には負の相関が見られた。それ以外のメディアとの間には有意な関連は認められなかった。
現在のところ,うつ病患者が現実から逃れるために音楽をより多く聞くようになるのか,音楽を多く聞くことで抑うつ状態に至るのかなどの因果関係については分かっていない。今回の研究結果はメディアとうつ病との関連性を理解する上で役立つだろう。読書が大うつ病性障害リスクの低下と相関することが示されたことも重要だ。米国では全体的に読書量が少なくなってきている一方,それ以外のメディアに関しては,ほぼ使用が増えている。
大うつ病性障害は,臨床的うつ病または大うつ病ともいわれ,世界各地で障害の主因となっている。米国立精神保健研究所によると,青少年期に大うつ病性障害を発症することは珍しくなく,ティーンエージャーの12人に1人が罹患すると考えられている。

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