2011年6月29日水曜日

リンゴの皮

リンゴの皮に含まれるウルソル酸と呼ばれる天然化合物が、加齢や疾患による筋肉消耗の予防に有用である可能性が、マウスを用いた研究でわかった。
米アイオワ大学の研究では、最初にヒトとマウスの双方において絶食に反応して変化する63の遺伝子と、絶食をした人と脊髄損傷患者の筋肉で発現が変化する29の遺伝子が同定された。次に1,300の小分子を検討し、筋萎縮を抑制する可能性のある化合物としてウルソル酸に着目した。
次の段階で、ウルソル酸により、食餌を与えていないマウスの筋肉消耗を予防することができ、正常マウスの食餌にウルソル酸を何週間も加えると筋肉成長が促されることが判明した。また、ウルソル酸を投与したマウスのほうが痩せ、血糖値、血中コレステロール値およびトリグリセリド値が低下した。
マウスでみられた健康上の便益は、筋肉のインスリンシグナル伝達の強化と、筋萎縮に関連する遺伝子シグネチャーの修正によるという。ただし、この知見がヒトを対象とした臨床試験で確認されるかどうか、通常の食事で摂取する量のウルソル酸が筋肉消耗を予防するかどうかは不明である。しかし、この知見がヒトで確認されれば新薬の開発につながる可能性がある。
ウルソル酸は興味深い天然化合物であり、リンゴの皮の成分で通常の食事の一部となっている。1日1個のリンゴは医者いらずとも言われる。筋肉消耗は疾患や加齢に伴いみられることが多く、消耗により入院期間が延長し、回復が遅れ、患者が自宅に帰れない場合もある。筋肉消耗については十分に理解されておらず、それに対する薬剤もない。

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