2011年6月1日水曜日

腸内細菌叢

瞳の色や血液型と同じように、腸内に繁殖する細菌によってヒトを分類できることが新しい研究で判明した。研究グループによると、ヒトの腸内細菌叢(bacterial flora)には3つの型があり、存在する細菌種とその比率によって区別できるという。
研究によると、ヒトの腸には500~1,000種の細菌が生息しており、それぞれがミクロの生態系の中で互いに競合や協力しながら宿主である人体と共生的関係をもちバランスを保っている。微生物は単独ではなくコミュニティとして活動しており、宿主であるわれわれの食べるものなどにも適応しなくてはならない。
今回の研究では、ヨーロッパ諸国(デンマーク、フランス、イタリア、スペイン)居住の2人から便検体を採取し、DNAを抽出して細菌種を判定。さらに、日本人13人および米国人2人の過去のデータ、別のデンマーク人、米国人154人のデータを追加した。分析の結果、細菌叢を3つのカテゴリーに分類できることが判明。例えば、タイプ1はバクテロイデス(Bacteroides)属の比率が高く、タイプ2はバクテロイデス属が比較的少なくプレボテラ(Prevotella)属の比率が高かった。タイプ3ではルミノコッカス(Ruminococcus)属が多かった。さらに多くのデータを検討すればサブタイプ(亜型)が見つかる可能性もあるようだ。
腸内細菌叢がヒトの健康に重要な役割を果たすことが理解されはじめて以来、どれほどの細菌が存在するのかが課題となっていた。もし無限にあるのならば、その情報を利用するのは不可能である。今回の研究は、細菌叢のバリエーションが無限ではないことを明らかにする上で大きな飛躍にとなるものだ。研究グループによると、年齢、性別、体重などの特徴と腸内細菌叢の型に相関があるとの証拠は得られなかったが、検体をすべて検討すると年齢、性別、体重と細菌の特定の遺伝子マーカーとの間に相関がみられ、いずれはこのような情報から、疾患や疾患になりやすさを知る上で活用できる可能性があるという。

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