2011年6月11日土曜日

70-74歳医療費に税金

税と社会保障の一体改革に関し、厚生労働省は、大半を現役世代の保険料で賄っている70~74歳の医療給付費(約3兆円)に、税金を投入する方向で検討に入った。当面は給付費の15%分を入れ、現役の負担を軽減する。新たに約3800億円(13年度)が必要となるため、民主党や財務省と調整し、政府が社会保障改革案への盛り込みを目指す。
75歳以上の後期高齢者医療制度には給付費(10年度予算、11・7兆円)の5割に税金が充てられている。しかし、65~74歳の前期高齢者医療(同5・3兆円)には直接税を投入する仕組みがなく、厚労省は税を入れる制度改革を目指してきた。
しかし、財源を調達できるメドが立たず、対象を前期の中でもより医療費がかかる70~74歳に絞ることにした。制度を分断する形で、特定の年齢層だけに税を投入するのは異例のことだ。それでも財務省との調整は難航する可能性がある。
一体改革で厚労省は「現役と高齢世代の負担の公平化」を打ち出した。前期医療は、大企業の健康保険組合などが支払う納付金で大半を賄っているが、健康保険組合連合会によると、11年度予算では健保組合全体で前期医療に1兆4621億円を払う。後期医療への支出も含めると保険料収入の45%を占め、保険料率アップや健保組合の解散を招いている。
このため前期医療について、70~74歳だけでも税を投入し現役の負担を軽くすることにした。08年度の1人当たりの給付費のうち保険料で賄った額は75歳以上が約39万円なのに対し、70~74歳は約46万円。水準をそろえるには70~74歳の給付費の15%に税を充てる必要があると判断した。
高齢者の医療費について、現役の会社員らは従来もOB向けに「退職者給付拠出金」を負担してきた。しかし、08年度の医療制度改革ですべてのお年寄りを支える仕組みに変わり、支払いが急増した。

0 件のコメント:

コメントを投稿