2010年9月14日火曜日

運動による脂質代謝促進効果

マサチューセッツ総合病院心臓病学・心血管研究センターの研究で、運動により血中の化学物質がどのように変化するかを測定し、運動によって産生される代謝物について調べた結果、健康状態の良好な人では、不良な人に比べ脂質代謝産物が明らかに増加していることを見出した。
運動により汗をかき、心拍を速めることは、疾患を予防し、ひいては寿命を延長させることが知られている。しかし、運動によってこうした効果が得られる理由については、いまだ解明されていない。
エネルギーを消費するすべての体内活動からは代謝物が生じる。代謝物は、血液検査により測定可能であるが、血液には何百種類もの代謝物が含まれ、これらは個人の健康状態を示す化学的情報になる。
今回の研究では、健康状態の良好な人と不良な人とでは運動後の血中代謝物変化が異なるのか否かを検討すべく、参加者がトレッドミルで身体活動を行う前後と最中に血液を採取し、血液中に含まれる200種類を超える代謝物について測定した。
その結果、運動後の血中では脂質、糖、アミノ酸の代謝物が増加し、インスリン分泌や血糖管理に重要なナイアシンアミドや、酸化ストレスの指標となるアラントインも増加していた。また、健康状態の良好な集団では脂質代謝物が98%増加しているにもかかわらず、不良な集団では60~70%しか増加していないことも明らかになった。また驚くべきことに、ボストンマラソンを完走した健康状態のきわめて良好な集団では、1,128%という顕著な増加が見られた。
以上の結果から、健康状態の良好な人では、健康状態の不良な人と比べてカロリーを効率的に燃焼することができるような生化学的変化が循環血中に認められることが示唆された。

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