2010年9月29日水曜日

たばこの誤嚥

子どもが、たばこを食べてしまったら。そんなとき、どうすればいいのか。まずは、落ち着こう。たばこ1本に、乳幼児の致死量に近いニコチンが含まれてはいるが、そのニコチンが、すぐに全部吸収される訳ではない。いくつか、医学的な理由がある。
1) ニコチンは吐き気を催す作用があるため、多くの場合、胃に入ったたばこは、割とすぐ吐き戻される
2) ニコチンは塩基性なので、酸が多い胃の中では葉からニコチンが溶け出しにくいなど。
つまり、たばこを食べてしまった場合でも、胃の中にとどまっている間はそれほど怖くない。胃から腸に移動してしまうと、ニコチンの吸収がとても速まる。腸の中は酸がないため、急速にニコチンの吸収が進むからだ。
食べてしまってから、30分ぐらいは様子を見て、具合が悪くなさそうならそのまま様子を観察し、4時間以上すぎても顔色が悪い、興奮している、息が苦しそうなどの症状がないなら、まず問題はない。念のため、翌日にでもかかりつけ医に相談するといいだろう。もちろん、異常な症状がでたら、すぐに病院へ行こう。
この、様子を見る間に、絶対にしてはいけないことがある。
「水や牛乳は飲ませない!」
吐かせようとして水などを飲ませると、たばこが比較的安全な胃から、危険な腸に押し流されてしまう。動物実験でも、たばこを食べた後に水を飲むと、血中のニコチン濃度が急上昇することが確かめられている。

さらにさらに危険なのは、水に溶けたニコチン。吸い殻をジュースの空き缶に入れる喫煙者がいるが、幼い子どものいる家庭では、決してしてはいけない。吸い殻に含まれるニコチンは、30分も水につけるとほぼ全量、溶け出る。水に溶けたニコチンは、葉を食べるよりずっと吸収が速い。
子どもがジュースと思いこんで、ニコチン汁を「ぐいっ」と飲み干してしまう。こんな事故はまれではない。ニコチン汁を誤って飲んでしまったら、すぐに救急車を。大量のニコチンは、呼吸を止めてしまう。適切な人工呼吸が、命を救う決め手となる。

0 件のコメント:

コメントを投稿