2010年9月20日月曜日

子宮頸がんワクチン

若い女性に増えている子宮頸がんの本格対策として、政府が、予防ワクチンの接種費用を、来年度から公費で助成する方針を打ち出した。
子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの感染が原因で起きる。
HPVは主に性交渉を通じて感染するが、10歳代前半でHPVワクチンを接種すれば、6-7割の感染を防ぐことができる。
子宮頸がんを予防する効果は極めて大きいと期待され、世界で接種が拡大している。日本でも昨年10月、このワクチンの安全性と有効性が政府に承認された。
公費助成により、HPVワクチン接種が国内でも広く普及するだろう。厚生労働省は今後、助成額や対象年齢などを詰め、来年度予算案に盛り込むという。
現在、HPVワクチンは任意の接種。期間を置いて計3回繰り返す接種の費用約5万円は、原則全額を自己負担する。はしか、ポリオのワクチンのように、定期接種の対象にはなっていない。
厚労省の6月末の集計では国内114自治体が、負担軽減のため公費助成している。ただ、全自治体の1割足らずだ。助成額も半額以下という所が少なくない。医学関連学会、患者団体などから、国の助成を求める声が出ていた。
子宮頸がんは国内で年に約1万5000人が発症すると推計され約3500人が死亡している。特に近年は、20-30歳代に患者が急増している。
10代前半の特定の年齢全員に接種費用を助成すると、年に約200億円の予算がかかるとの試算もある。だが、ワクチン接種で多くの女性の命が救われることを考えると、多額ではない。
ただ、どんなワクチンにも、わずかながら副作用がある。HPVワクチンの重い副作用はほとんど報告されていないが、他のワクチンと同じく、副作用への迅速な対応と、補償制度の充実策も十分詰めておくことが欠かせない。
がん検診の重要性も忘れてはならない。ワクチン接種の主な対象となるのは、10代の女性にとどまる。しかもワクチンは、がんを100%防げるわけではない。
子宮頸がんの検診を受ける人はまだ2割程度という。多くの女性が定期的に検診を受け、異変があれば、早期に適切な措置を受けられるような体制が必要。
検診費用の公的助成も一部に限られる。これも国の助成の強化を検討すべきだろう。

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