2010年9月26日日曜日

大脳白質病変

MRIで発見される大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクと有意な相関を示すため、その予測因子となり得ることが、イギリスSt George’s University of London臨床神経科学部の研究でわかった。
研究グループは、1966~2009年11月23日までのデータベースを検索し、MRIを用いて大脳白質の高信号域が脳卒中、認知機能低下、認知症、死亡に及ぼす影響を評価した研究や、大脳白質の高信号域をカテゴリー別に分けてこれらの疾患のリスクを予測した試験を抽出した。
46の研究が抽出され、そのうち大脳白質の高信号域と脳卒中のリスクを評価したものが12試験、認知機能低下のリスクを検討したのは19試験、認知症は17試験であり、死亡については10試験が検討を行っていた。これらの試験の内、解析は22の試験(脳卒中9試験、認知症9試験、死亡8試験)ついて実施した。
脳卒中のリスクについては、9試験の解析で、大脳白質病変の存在は脳卒中の発症リスクを3.5倍に高めていた。
認知症のリスクについては、9試験の解析で、大脳白質病変の存在は認知症の発症リスクを1.9倍に高めていた。
死亡率との関連については、8試験の解析で、大脳白質病変により死亡のリスクが2.0倍に増大していた。
大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクの予測因子である。すなわち、診断中に発見されたMRI上の大脳白質病変は脳卒中のリスクの増大を示している。この研究結果が、脳卒中や認知症のリスク因子の詳細なスクリーニングに道を開くことになるかもしれない。

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