2010年9月30日木曜日

コレステロール

日本脂質栄養学会が、「コレステロール値は高めの方が長生きで良い」とする指針をまとめた。
これまでの常識を覆す内容だが、コレステロールは下げなくてもいいのか?
コレステロールには、LDLとHDLがある。全身の組織に運ばれるコレステロールがLDL、全身から回収される余分なコレステロールがHDLで、それぞれ「悪玉」「善玉」と呼ばれる。
生活習慣病の専門家が集まる日本動脈硬化学会は、LDLが高すぎると心臓病の要因になるため、食生活の改善や薬の服用により下げるべきだとしている。
同学会は2007年、高脂血症(脂質異常症)と診断されるコレステロールの基準値を、男女ともLDL140(ミリ・グラム/デシ・リットル)以上、またはHDL40(同)未満と定めた。
これまでの国内外の研究から、LDLが高くなるにつれて動脈硬化が進み、心臓病の発症率が上がることが分かっている。心臓病を起こしやすくなるLDL140以上を妥当と判断した。
だが、日本脂質栄養学会の指針をまとめた富山大学和漢医薬学総合研究所は「心臓病だけでなく、がんや肺炎などすべての死亡原因を含めると、現在の基準値の140より高い方が死亡者が少ない」と反論する。指針では新たな基準値を示していないが、その根拠となる研究報告を複数紹介した。
神奈川県伊勢原市の男女約2万6000人を8年間追跡した研究では、男性はLDL100~160で死亡率が低く、100未満で上昇した。女性はLDLによる影響は少なかったが、120未満で死亡率が上昇した。また、全国の脳卒中患者1万6850人を調べた別の調査では、高脂血症の人の方が脳卒中による死亡率が低く、症状も軽かった。
コレステロールは細胞の膜やホルモンを作る大事な成分。食事や薬でむやみに数値を下げるのはよくないとの意見もある。
LDLの数値には、男女差もある。女性は閉経するとコレステロールが急激に上がるが、動脈硬化の進行や心臓病の発症には影響しない。少なくとも女性にコレステロールの基準値は必要ないとの意見もある。
今回の指針をきっかけに、男女の差や個人の病気のリスクに合わせた治療が必要になるかもしれない。

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